「書斎」にこもる夫


夫は「書斎」に直行する。
両手にさっきポストから出した
郵便の束を抱えて。

息子たちがその音を聞きつけて
群がっていく。
まるで、ボスゴリラにじゃれる
2匹のチビゴリラ。

うちでは、夫のほうが子どもと
よく遊ぶので、帰ってくるなり
息子たちの関心は夫一筋になる。

たぶん、それから寝るまでの間に、
300回ぐらいは呼ばれてるんじゃ
ないだろうか。
「ダディ、ダディ、ダディ、ダディ、
ダディ、ダディ、ダディ・・・・・・・」

夫だって、毎日これじゃたまらない。
だから、「書斎」へ直行したがるのだ。

彼の「書斎」とは、つまりトイレのこと。
はぁ~と一息つくためのクサイ、いや、
心休まる大事な場所なのだ。

元々、人づきあいが得意でない夫だから、
コンピューター系の職種を選んだものの、
クライアントと仕事をするということは、
否が応にもたくさん人と接する事になる。

だから夫は家に帰ってくると、本当は本を
読んだり、CDを聞いたりして1人静かに
していたいみたいだ。

しーかーしだぁ、
2匹のチビゴリラに容赦の2文字はない。
なにしろ、ボスの帰りを今か今かと首を
ながーくして待っているのだから。

私といえば、綿密な計画を続行中。
息子たちが夫にじゃれている間に、
パッパと夕食を作り、後は寝るまで
あれこれするとしよう、ウッシッシ。

すると、夫が反撃に出る。
「書斎」にこれでもかとこもりまくる。
郵便物だけならともかく、わざわざ
読む本を選び、「書斎」に入っていく。

そんなにこもっていて、よくオシリが
痛くならないなぁと感心するくらい。

しばらく、トイレのドアの前で待って
いた息子たちも、あきらめたようだ。
スゴスゴ引き上げてくる。

その隙を突いて、今度は風呂に入ると
言い出す。(トイレとバスは一緒なの)
しかも、右手にはコーラの缶が・・・・・。

これがまたまた、長いのなんのって。
フンフン鼻歌まじりに「一杯」やって、
まったく、温泉じゃないっつうの。

そのうち、次は寝袋でも持って入って、
オヤスミ~なんて言うんじゃないか?

そして、私の機嫌がわるくなる寸前に
ちゃんと計ってたかのように出てきて、
息子たちと遊びだす。

まあ、ゆっくりお風呂に浸かったから
気分はリフレッシュされたんだろう。
単純な夫は、「今、気分爽快です!」と
顔に書いてあるもん。

この先、この家をリフォームする時が
あったら、ぜひおフロを充実させたい。
日本式の深い浴槽に肩まで浸かる快感。

そういえば、夫は日本に行ったとき、
うちの実家のおフロにもこもっていた。

結局好きなのね、前世は日本人かも。



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