ちびっこアジア人その後



見知らぬ会社の非常ドアから、これまた
見知らぬアメリカ人の皆さんの目の前に、
いきなり降って湧いたかのように現れた
ちびっこアジア人は、何を隠そうこの私。

一斉に向けられる不思議そうな視線。

(もっと一心不乱に働いたらどうなの?
私のことなんて気付かないくらいにさ)

そうは思ってみても、見るなと言う方が
無理かもね。

誰も、
こんなところから出てきたりしないもの。

とにかく、突如現れてしまったからには
仕方が無い。

腹をくくって正直に話そう、そうしよう。

「あの、上の○○という会社の者です。
非常階段だって知らなくって・・・・」

一番近くにいた女の人。
「プププッ」とは噴出しこそしなかったが、
顔をかなりゆがめてエレベーター口まで
案内してくれた。

ああ、背中に感じる大勢の熱い視線。
ここでパッと振り向いて、

「お騒がせしました、避難訓練終了!」

と言えば、ジョーク大好き人間の国民、
私は拍手喝采を浴びたであろう。

そして、1階のロビーですれ違うたびに、
「今日はエレベーターを使うのかい?」
とか、「そう、訓練はもう終わったの?」
などと、声を掛け合う楽しい付き合いが
始まったに違いない。

が、そんなことを空想してみたところで、
小心者の私にできるわけはなし。

ああ、
この一部始終を見ていた方々の中に、
どうかうちの会社の知り合いがいません
ように・・・・・。

そう願いつつ、エレベーターに乗り込む
Happydaysであった。

PS. 少しやつれて(というか実はかなり)
(そりゃ、20ウン階もヒールで歩けばね)
やっとこさ自分のデスクに戻ってきた私。

隣の同僚に、
「今ね、すっごいアドベンチャーをしてきた
トコロなの」
と、最初から最後まで身振り手振りを加え、
話して聞かせた。

「なんだってぇ、今までそんなことをした人
聞いたことないわよぉ」

ゲッ、私のウッカリは前代未聞だったのか。

まっ、この話をしたおかげで、それまで話す
話題と言えば、戦争とかお固い話ばっかり
していたこの同僚と、それからはTV番組の
話で盛り上がるほど、打ち解けられたのは
よかったと言えよう。

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