シャチョ~が行く!

シャチョ~が行く!

第八章 ~引退後~


……
………

三年生が引退して次の日、俺たち二年生以下の面々は大喜びで学校に足を運んだ。

何あろう、彼が引退したのである。

涙をのんでいた三年生は、ちょっと嬉しそうに口々にこう言った。


「やっと引退やww」


そりゃそうだ。

あんなわけわからん部活に足を運んだ日々も、これで終わるのだ。

俺なら両手をめいっぱい広げて数百メートル走りまわるだろう。


挌技場につくやいなや、俺の穏やかな日々は、ある圧倒的な存在によって撃沈した。


「よぉ!シャチョ~!来てもうたわwwww」


そいつは入り口で門番のように一人で素振りをしていた。

俺は正直腰が抜けそうになった。

いつもいじめられっこだった奴が人を殺したと聞いたぐらいにビックリしたな。


「先輩…何やってんですか?」


「いやいやwwOBとして来たww」


つくづく暇な奴である。


「昨日やっと引退したんですから、遊びにとか言ったらどうですか?」


「いやーなんか来てしもたわww」


しまった、気まずいことを聞いてしまった。

以前言ったかもしれんが、彼には友達という生命体が存在しないのである。

だから「なんとなく来た」なんざ意味不明な理由しかでなかったのだ。

この分析を学会で発表したらノーベル賞でも何でももらえる気がするのは俺だけか?


そのまま練習が開始される。

彼の存在はスルー推奨といわんばかりの説明不足だが、言わんでもわかるだろう。七章も読んできたんだからな。そこのキミ、自信を持っていいぞ。

練習には顧問も顔を出していた。

昨日まで選手だった大先生と親しげに話す顧問の顔も、どこか不自然な微笑をかもし出している。


俺たちはせっせと無駄な練習メニューをこなす中、ドンドンドンと太鼓が鳴らされる。

また先生の指導か、と思って振り向いた場所にいたのは大先生にそっくりの顧問…あれ?

「他人のそら似」という言葉をご存知であろうか。この状態はそうであって欲しい。


「おいお前ら!声が全然出てないぞ!」


一日で太鼓で練習を止めて指導するまでって…えらくなったもんだな大先生も。

腕に「OB」と書かれた腕章をつけてないかと探しているうちに、練習は再開された。

おい、言いたかったのはそれだけかよ。

それで俺たちを止めたのかよ?

現役生の怨念の視を受けながら大先生は顧問のもとに走っていった。

スネ夫かあいつは。


………
……
…


この日々がほぼ毎日あるのだ。

もうノイローゼでも何でもなりやがれってんだ俺。

正直うんざりだぜ。

そのうんざりな日々を変えようと高二の先輩二人が、ある陰謀を立ち上げた。

次はその話を少しばかりしようかね…


(つづく)

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