シャチョ~が行く!

シャチョ~が行く!

第十一章 ~義務~


……
………


中学三年生である俺たちは、修学旅行の変わりにオーストラリアへのホームステイという行事を迎えることになる。

もちろんその間は部活も行けないわけだ。

いやー残念だねー、二週間ばかり大先生の顔が見れないのは。

今のうちに網膜に焼き付けておくか。

そう思って俺は挌技場に足を運んだ。


前言撤回、あんなの見たくも無い。


「よぉ!シャチョ~ww」


あっ、こんち…


「お前オーストラリアいくねんな?www」


挨拶もそこそこに・・というか挨拶をする前に話を振る大先生である。

もうどうにでもなれってんだ。


「あっ…はい、行ってきます」


適当に返答し、そのまま大先生の横を通り過ぎようとする俺の襟首を、何か強い存在が引っ張った。


「ちょ待てよww一つ言っとかなあかんことがあんねんwww」


…あーなんですかね?お土産ですか?土産ならしっかり…


「向こうでも素振りしとけよww」


…はい?


「だから向こうでも素振りしとけよってww体なまるやろwww」


ちょっと待って頂きたい。

俺が1億歩譲ったとして向こうで素振りをしよう。

何になる?

「無駄」という言葉がこのためにあるのかと思うぐらいだ。

俺のインテル頭脳プロセッサでもってしても次の言葉が出てこない。

いわゆる「フリーズ」というやつだ。

大先生の「じゃww」という言葉が無ければ、俺は一生その場に固まっていたかもしれない。

何とか俺は助かったのだ。


先ほどの会話はスルー推奨だと自己解釈した。

そのまま受け取る奴なんか、今のキャプテンか、よっぽどのピュアハート所持者だろう。

仕方ない、土産ぐらいは買って来てやるか…。


………
……
…


結局のところ、俺はオーストラリアに竹刀を持っていった。

用法はもちろん、外国人に剣道文化を教えるためである。

そこで「素振りするため!」と答える奴がいたらご連絡いただきたい。

大先生とお友達になれる権限をさし上げよう。


オーストラリアでぬくぬくしたホストファミリーに出迎えられ、ぬくぬくとした生活を送り、ぬくぬくと帰国した俺を待っていたのは、


満面の笑みを浮かべた、顔面ヘドロ塗りたくりお化けだった…


(つづく)

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