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What’s シドニーライフ!?
2000年
もも’s ヒストリー
2000年7月
人間界では、ペットとして動物を飼っている人は非常に多いと思う。あたしもそんな中の一人(自分で望んだ訳じゃないけど)。元々野良猫の母さんから産まれたんだけど、ラッキーなことに母さんにはいつもご飯をくれるおうちがあった。そこの家の人ってば、周りの人に言わせると猫さらい、もとい猫姉さん。どんな時にも鞄には猫缶を欠かさず、おなかをすかせた野良をみたらかまってあげずにはいられない。自分の庭に通おうものなら、すきあらば捕獲して雌でも雄でも避妊・去勢手術に連れて行っちゃう。
で、母さんがその人の庭で産んだ子供の中の一匹があたし。夏本番これからという7月初旬の暑い日だったけど、人間に見つかったら何をされるかわかんないから母さんは物置の隅で私たちを育ててくれた。でもそこのおうちの人は優しい(=ご飯をくれる)って知ってたから、自分で歩けるようになったら兄弟それぞれ自分たちでご飯場所(ベランダの隅にえさのボールを朝晩置いてくれている)に行って食べるようになった。でももちろん注意はかかさない。どんなに優しい人間でも野良社会に生きる猫としては簡単には信用しちゃいけない。ちょっとでもヘンな動きを見せたら素早く逃げるんだから。
9月
産まれて2ヶ月目くらいのときだったかな。あたし、ひどい風邪と結膜炎を併発。もう、目なんか開けられないくらいどろろ~んって瞼腫れちゃって体よれよれ。ご飯は食べなきゃ死んじゃうと思うんだけど、なにしろ目がほとんど見えないから、逃げようにも逃げられない。で、おかしい、と気づいた姉さんに捕まっちゃった。姉さんはびっくり。だってそのときのあたしの顔、まるでETだもん!(って、人間がいってた。なんだろ、それ)
まあ、そのおかげで今のあたしの自慢のうるうるうるんだ大きい目ができたんだけど(事実かどうかは定かではない)。姉さんはすかさず病院にあたしを連れて行った。そこの病院は東京でもちょっと有名な大きいところでまあつまりお金もそれなりにかかっちゃうんだけど、とにかくいつ死んでもおかしくないって言う状態だったから緊急入院したわけ。ご飯も食べられないから点滴と目の治療で一週間ばかり入院して、それから療養のために姉さんちにお世話になることになった。
そこの人たち(あと兄さんもいた)は毎日手厚く看病してくれたな。手のひらに乗るほどの大きさしかなかったあたしも少しずつ元気になってきた。相変わらず目はET状態だったようだけど、毎日目薬も差してもらって姿も体力も回復。一ヶ月もすると、チビのくせに暴れん坊でよくピアノやカーテンによじ登っては姉さん達をびびらせてたっけ。
まあそんなわけですっかり人間界に入ってしまった。体もまだ小さいし、目は治ってきたとは言え普通の子とはちょっと違う。野良に返すのは忍びないと言うことで、新しい家族を捜してくれることになった。
10月下旬
そこで決まったのが今のおうち。動物好きで前から猫を飼いたがってた。まあこれがあたしの奇想天外な猫生(!?)の始まりになるとは思わなかったけど。何しろそこのおうちも兄さんと姉さん(まああたしの新しい両親だから父さんと母さんと呼ぶことにする)が住んでたんだけど、これが二人ともほとんど家にいない。夜は帰ってくるけど遅いし、たまに数日間から一週間くらいいなくなっちゃうときもある。あ、勿論そんなときにはどこかに預けられたり、だれか他の人が様子見にきてくれるんだけど。他の猫もそうだと思うけど、普通猫は自分の場所ってちゃんと決めてるから知らないところにいきたくないの。ストレスがたまるしものすごーく不安になっちゃう。なのに、ある時は他の猫や犬が何匹もいるヘンな建物に連れて行かれてケージに入れられたり、電車や車っていう大きな音を出すうるさいものに長い間乗せられたりしてやんなっちゃう。
まああたしも家にいるときは好き勝手やらしてもらってるからあまりわがままは言えないんだけど・・・まだちっちゃい時は母さんのお気に入りのワイングラスやお皿をわっちゃったり、物を壊したりカーテンによじ登ってぼろぼろにしたり、あげていけばきりがない。でも一緒にいるといつも「ももち~ん、かわいい~~」って甘い声だしてるの。それに夜はいつも一緒に寝てくれたしね。
12月
なんだかんだでそこのおうちと父さん母さんにも慣れて新しい生活も快適になってきた。あ、ちなみにあたしは“家猫”っていって、野良上がりのくせに病気以来一度も外にでない生活をしてる。その方が病気にもなりにくいし、遊ぶことがあれば家の中でも特に不満はない。もっとも父さん母さん達はいろいろ初めての経験でびっくりしたことも沢山あるみたい。2000年の暮れも迫った頃、あたし突然“発情期”ってやつになっちゃった。ちょっと待てよ、って思うでしょ?その年の暮れって言ったらあたしまだ産まれて4,5ヶ月。普通は早くて6ヶ月、大体8ヶ月くらいで発情が始まるっていうから、ちょっと、というよりかなり早熟だったみたい。前の家の姉さんもお医者さんもまさかとびっくりしてた。ちなみに姉さんのところにも一匹お姉さん猫がいたんだけどその子は8ヶ月過ぎても発情期がはじまらなかったらしい。
でもとにかく見てられないほどひどい状況(母さん曰く)になってしまったので、緊急に避妊手術のために違うお医者さんへ連れて行かれた。幼少のころの病気のせいもあるのか、あたしは他の子と比べてもだいぶ小さかったんだけど、とりあえずその時にはかろうじて体重2kgあったので手術は可能ということになった。避妊手術って大変なんだよ!お医者さんにしてみれば日常茶飯事なんだけど、全身麻酔打つんだから。女の子の場合は子宮丸ごととっちゃうんだから当然よね。だからあんまり小さいと麻酔が回りすぎて危ないんだって。あたしたちみたいな動物は子宮も一個じゃなくて房のように5,6個ついてる(だからいっぺんにたくさんの兄弟が産まれる)らしいんだけど、発情期になるとその近辺が赤く染まっているらしい。後から聞いたところによると、お医者さんもびっくりするくらいまっピンクになってたんだって!うわぁー。きれいに取り除くのが大変だったって。でもあたしとしてはそれどころじゃない。怖い音のする電車に散々乗せられたとおもったら、いやーな匂いのするおじいさんの所に連れて行かれて、いきなり一人にさせられちゃうんだもん。その後はよく覚えてない。
気が付いたらなんかぐったりと疲れてて、また母さんが迎えに来てくれたときにか細く「ふにゃ・・・」って鳴いたことだけ。だけどその夜は苦しかった!体をぐるぐる巻きにされてふらふら、ちゃんと歩けずにこてっとすぐ倒れちゃう上に、30分おきに吐き気が襲ってきた。でも朝からご飯を食べてないから出るのは緑色した胃液だけ。なんなの、これ!もう眠れない!(母も同じく)。そして一晩中吐きつづけた。翌朝すぐ母さんが鬼のようになってお医者さんに電話してくれたけど、「当然だよ」だって。小さい体で全身麻酔打ったから麻酔薬がなかなかぬけないせいらしい。もう麻酔なんてごめんだ。
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