2008年07月27日
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カテゴリ: OPERA
パリ国立オペラ
初来日公演 2008
ワーグナー「トリスタンとイゾルデ」

2008年7月27日(日)
東京・渋谷・Bunkamuraオーチャードホール

演出:ピーター・セラーズ
映像:ビル・ヴィオラ

指揮:セミヨン・ビシュコフ

トリスタン:クリフトン・フォービス

ブランゲーネ:エカテリーナ・グバノヴァ
クルヴェナル:ボアズ・ダニエル
マルケ王:フランツ・ヨーゼフ・セリグ
メロート:サムエル・ユン
牧童/若い水夫:アレス・ブリシャイン
舵手:ユリ・キッシン

パリ国立オペラ管弦楽団・合唱団

※内容を書きますので未見の方はご注意ください。

セミヨン・ビシュコフ!
すばらしかった。
オケ鳴らしすぎだ~(笑)。

パリ国立オペラ管弦楽団の音は重厚で、
最初から最後まで音がビンビン飛んでくる。
気持ち良かった。
オーチャードの音響のせいもあるだろうが、
NHKホールで聞いたベルリン国立の音がOFFだとすると

その分歌手は大変!
でも実力派揃いだったんで大丈夫でした。

歌手ですが、
ブランゲーネのグバノヴァがすばらしかった。
ウルマナも貫禄ボディに貫禄の歌唱、すばらしかった。
心配していたクリフトン・フォービス、
彼のいつもヴィヴラートがかかった歌い方は好きではないが、
彼も圧倒的な歌唱だった。
最後までもったし、どんどん幕が進むにつれてすばらしくなった。
さすがトリスタン歌いだ。
クルヴェナルのボアズ・ダニエル君はいちばん多分歳が若い。
若々しくてすてきな歌唱でした。
音量はオケに負け気味だったけど、ローマン・トレケルに比べたらぜんぜん大きい声。
そしてゼーリヒ!
彼は役者ですね~
彼が出てきた瞬間にドラマが現実のものとなった。

他の人はね~まったく演技してない。
だいたいこの演出は演技ってものがゼロに等しいの。
その理由はおわかりのとおり。
そう映像演出のせいなんです。

全編偏執的にこだわりのある絵が流れ続ける。
水がテーマ。ちょこっと炎。
ほとんど水に溺れているような感覚をずっと味わい続ける。
この演出は賛否両論あると思う。

ともすると、というか絶対、映像が主役になってしまっている。
歌手は影絵のように歌うだけで、歌っているのにスポットが当たっていないシーンもある。照明もまったく疑問だった。

しかし、しかし。その疑問符のつく演出、
最後のシーンですべてが相殺されるんです。

これは絶対体験するべき!
(テーマパークか?)
というか衝撃的で立ち直れなくなる。
ヴィオレッタ・ウルマナにちょっと悪い気がします。

どばーと出ていた涙が、ピタッと止まり、
え?え?え? 何これ?
というわけで口をあんぐり開けたまま衝撃的に終わってしまう。

やっぱヨーロッパだな~と、しかもフランスから来たオペラだな~と納得の舞台でした。

ちょっと思ったんですよね、これからこういうのがオペラ演出の主流になっていくんじゃないかって。
だってはるかに映像の方がかきわりよりリアリティあるわけですよ。
美男で若いトリスタンが出てくるわけですよ。
オールヌードが出てくるわけですよ…
森、そして海、河、水の中、炎、逢引の夜の闇…見事に表現されてしまうわけですよ、視覚的に。
う~ん、う~ん でもきっと日本人のオペラ好きのほとんどはこの演出を嫌だと言うでしょう。
歌手がそえものになるからです。
こんな豪華の歌手が添え物かよ!って思っちゃいますもんやっぱり。

まあ、その映像に酔うね、ちょっと。今でも森の匂いや、海や水で溺れそうだ。
そして現実の歌手の存在と至高の音楽にはさまれtoo much 情報量多すぎじゃん~となる。だからセットも演技もないんだな~と
ひとつのおとぎ話の伝え方ではある。


第1幕

舞台上に大きなスクリーン。

寝台の上に女性が2人。

序曲が終わるといきなり3F上手バルコニーで歌いだす若い水夫。

イゾルデとブランゲーネ。

トリスタンとクルヴェナルが現れる。

セットも何もなく、四角いスポットが上手と下手にきってあるだけ。

衣裳は黒。全員黒。男は現代のかっこう。
女性はロングドレス。

一方映像のほうはすごくめまぐるしい。
最初は海面の絵。
このへんはまだ良かったが波が激しく打ち付けだす。
歌っているのに映像が強いので気がそらされる。
そのうち男と女(中年?)が登場する。
まあ…その…予想はしてたんですけど、
脱ぎだす。

ブランゲーネがやってくるとクルヴェナルがかばうように歌う。

傷つけられたブランゲーネにイゾルデはタントリスの話を始める。
トリスタンは寝台に横になっている。

毒の薬を飲むつもりで実は媚薬を飲んでしまう2人。

第2幕

第2幕良かった~
暗い夜。森の中。狩に向かう人々のサーチライトがだんだん遠くなる。

イゾルデがトリスタンを思って女神について歌うとき、背後で炎が燃え上がる。
これははまったなあ…
松明を消すとトリスタンがやってくる。
炎を越えて。

イゾルデ(映像)は何百ものろうそくの明かりを灯す。
乙女心が表現されている。

トリスタンがやってくる。

このえんえんと続く二重唱がめちゃめちゃすばらしかったです。
ほんとにすばらしいのですばらしいとしか書きようがない。

降り来よ 愛の夜…
夜の帳が愛を連れてくる。

しかし彼らは実は監視されていた。メロートとマルケ王に。

下手のバルコニー?で歌う見張りのブランゲーネ。
実にすばらしい。

映像はとにかく水の中に沈んでいく男女のイメージ。
入水のイメージ。
彼らは水の中で死んでいく、そういうイメージ。
映像の男女がさきほどは中年だったのに20前ぐらいの若い男女になっている。

ゼーリヒが登場する。マルケ王。オーラがただよっている。
舞台で存在感のある人ってほんと違うよねえ。
今まで彼は好みではなかったが大好きになった。
意外とハンサムです。

彼が慟哭して歌う。
ゼーリヒはトリスタンに抱きつくがその手を押し戻すのはトリスタン。
トリスタンはまるで王の嘆きなど聞いていなかったように歌いだす。
二人の世界。
二人は死出の旅に出ようと歌っているのだ。
現実世界に二人はもういないのにそれがわからないメロートは背後からトリスタンを刺す。

ゼーリヒはそのナイフを取り上げ信じられないように見つめている。
マルケ王はトリスタンを殺そうとは微塵も思っていなかったのだ。
メロートが最後の音でがくっとひざをつく。

第2幕了

第3幕

故郷のカレオールで死んだように眠るトリスタン。
今度は3Fバルコニー下手にコールアングレ。
うまい~
めちゃうまですわ。
その下の階に羊飼い(多分)

舞台上の下手で彼にこたえるクルヴェナル。
ダニエルの見せ場。
彼はグレーのGパンにグレーのトレーナー。普段着か(笑)。
実に良かった~
この歌手はまた別の演目でぜひ見たいと思った。

哀しい調べで目を覚ますトリスタン。
トリスタンの歌唱もほんとすばらしかった。
ほんとにすばらしいのですばらしいとしか書きようがない。

トリスタンが忠義者のクルヴェナルを褒める。
「お前は俺に忠誠を誓ってくれた」
うん。うん。(ダニエルうなずく)
「マルケ王にも忠実だった」
そう。そう(ダニエルうなずく)
「王を裏切った俺にもついてきてくれた」
まあね(ダニエル仕方ないという身振り)これ受けた~

演技らしいものはほんとここだけ。それも離れている。
ふつう主君を心配して寄り添うとか抱きつくとかしそうだがいっさいそういう演出はないの。
不思議だよねえ~
まるで紙芝居の声を出している人みたいな。

トリスタンがイゾルデを思うとき、イゾルデの映像が浮かびあがる。
砂漠のような蜃気楼でよく見えないが女性がやってくる。
早く会いたいイゾルデに…
この映像は効きますよね~

イゾルデがやってくる。
トリスタンはもう虫の息で顔をわずかに上げて彼女を見る。
そして絶命。
イゾルデは彼にすがるでもなく、絶望を歌い続ける。

ブランゲーネとマルケ王らがやってきて、死体の数が増える。

そしてイゾルデの絶唱!
ここが…

ということで音が消えてたっぷり10秒近く沈黙が支配していた。
あとは嵐。

おつかれさま~








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最終更新日  2008年07月27日 22時50分14秒


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