花巻、附馬牛人形(岩手)


 岩手県は玩具の種類も多く実に充実しております、各県一点ずつ紹介してきましたが、今回は写真も二点ですし、話の方も少しややこしいかも知れませんが、御容赦を願います。

 岩手と言えば「花巻土人形」なのです。
 全国的にも知られ、収集家にとってどうしてもほしくなる物の一つが幻の花巻なのです。
 この花巻土人形、照井家が270年守ってきたのですが、7代目が昭和34年に他界され一時廃絶となります。
 重厚華麗な姿を何とか復興したいと、行政と照井家の協力を得て、郷土玩具作者 平賀孫左衛門、章一親子が苦心の末昭和50年頃にはかつての美しさそのままに復興されました。
 しかし二代目章一氏が53歳の若さで逝かれたためまたしても廃絶の危機を迎えるのです。
 福次郎が猫収集に本格的に取り組んでいた時期がまさに平賀氏が逝かれる時期に当たったため、入手のもくろみは一度潰えたのであります。
 照井家の作品ともなれば骨董的価値が極めて高く、色もはげていても数万円代で取引され、まして人気の猫ともなれば市の価格は想像も出来ません(だいいち手放す方もおられないでしょう)。
 平賀家の作品にしても、制作数が少なかったこともあって
そのほとんどが、マニア、コレクターの下にあり、市場に出ることも無くまさに幻、であります。
 最近になって、平賀章一さんの奥様が再度復興され少数ずつですが制作されており、その作風はまさに平賀章一氏の物に匹敵するものであると聞きました。
 福次郎もさっそく猫の製作をお願いいたしておりますが、制作には大変な時間を要するものと思われ、全国から復興を知ったマニア、コレクター、収集家、骨董商、などから注文が殺到しているに違いなく、何年待つ事になるのか皆目判らない状況です。平賀家の花巻土人形、未だ幻です。

 そんな状況の中、花巻土人形はもう一つ存在します。
 それが松岡家の人形で、こちらは比較的入手しやすく福次郎も数点所有しておりますが、平賀家の物とは比べようも無く、色彩と口周りの通称泥棒と呼ばれる黒が似ている程度に思われます。
 写真上が松岡工芸社の花巻人形、しろと黒。
価格比較的お手ごろですが、多くの収集家にとって花巻はやはり、平賀家の物が本物という意識があります。

岩手の玩具


 下の写真は遠野に古くから伝わる附馬牛人形で、花巻の影響を受けた型も多いのですが、こちらは土を素焼きせず、土と和紙を練りこみ乾燥させたものに胡粉を重ね塗りしたもので、厳密には土人形とは違います。
 これも長く途絶えていたものを佐々木孝氏が再興したもので独特の製法が手間がかかるものですので他の土人形よりも高価な感は致します。
 写真の作は、佐々木氏が大阪のデパートで実演販売されたときに求めたもので、五つの型をあわせた大作です。
 通常は白地に彩色されるのですが、これはぶどうの汁で色づけされた珍しいものです。
 上の写真に顔だけ見せているのが白いほうです。
 当時、土人形を始めたばかりの福次郎は、佐々木さんからいろいろと教わりました。
 そのことが、自信にも、戒めにもなっております。

 平賀花巻は幻、松岡花巻はレア度☆、附馬牛はレア度☆☆



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