中野(立ヶ花)土人形~西原家(長野)


皆様のご意見をうかがっても暖かさが伝わるのがよくわかります。奈良家の制作が途絶え無い事を祈ります。
 さて今回は、中野人形のもう一人の作者西原さんの招き猫の紹介です。
 始めに、同じ中野土人形であるにも関わらず、西原さんの作風は奈良さんの作風と大きく異なる点に付いて説明したいと思います。
 前回書きました様に、奈良さんの作品はそのルーツは京都伏見の土人形にありますが、今回紹介する作品のルーツは明治30年ごろ、愛知県三河(三河系人形で有名)の瓦職人斉藤梅三郎が、冬場の副業として人形作りを教えたとされています。奈良さんが小品に冴えを見せる様に、西原さんは三河系の大作の歌舞伎物や歴史上の人物が多いのも特徴です。

 つまり、同じ中野にありながら異なる原型が存在するとても珍しいケースなのです。現在の作者四代目西原邦男さんの本業はりんご栽培で、冬の副業として人形を作られています。
 さて、下の写真(急いでとったので出来が悪くてすみません)が中野(立ヶ花)土人形の招き猫です。
 型は大きさ違いの二種、これは大きい方(高さ約25cm)で長くとがった耳、ややきつめの(犬、狐系)顔、体全体のバランスなど三河系の特色を持っています。

中野(立ヶ花)


 そして最大の特徴は体の前に控えめにつけられた、招く手にあります、このような形は土人形にはほとんど例が無く、
愛知県瀬戸市で作られていた磁器の人形(通称、古瀬戸)に多く見られる物です。
 購入希望者に郵送していた時期もあったそうですが、この前に出た手が破損しやすく、せっかくの作品が台無しになることから、その後郵送などは一切受け付けていないとの事です。
 これも徹夜で雛市に並ぶか、直接お願いして出来上がるのを待ち、直接受け取りに行くしかなく、あくまで副業のため、制作数は限られていて、極めて入手が難しい物であります。
 人気のが高い奈良さんの猫と比べれば、こちらはあくまで通好みでコレクターの間ではこちらを探している方が多い様です。福次のレア度☆☆☆☆☆、廃絶物意外ではもっとも手に入らない物かも知れません。
 同じ中野でも凄みのある猫、いかがでしたか、控えめな手がかなり通の心をくすぐるのですが。




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