『気になるあの子』(一話完結



あの子はいっつも笑ってた。悲しいときも、辛い時も。
皆は解っていない。あの子は心は泣いている。
きっと誰にも言えない悩みがあるんだ。
僕にすくってあげる事が出来ないだろうか。。。


『気になるあの子』


僕は『翼』小学3年生。あの子の名前は『葵』ちゃん。
葵ちゃんは、いつも皆の前では明るいけど、きっと心は違う…。僕はわかるんだ。
救ってあげたいけど…どうにも出来ない…きっかけが無いんだ。
ほら、今日も無理して笑ってる。僕には見える。あの子の心から滴る泪が。
何も出来ずに見守るだけの僕がとてももどかしい。。。

そんなある日の事だった。

放課後、教室に忘れ物を取りに行った僕は見てしまったんだ。
誰も居ない教室で一人涙を流している葵ちゃんを。

「翼君?!居たの?!」

葵ちゃんは僕に気付き、ビックリした様子で流れる涙を拭っていた。

「アハハッ!目にゴミ入っちゃってさ!」

解りやすい嘘。僕は切なくなった。やっぱり救う事は出来ないのかなって。
僕じゃ駄目なのかなって。
でも、僕聞いちゃったんだ。

「いいよ。嘘なんかつかなくて。僕、前から思ってたんだけど、葵ちゃん何か悩みがあるんじゃない?人に言えない悩みが。」

葵ちゃんは、下を俯いて仕舞った。でも、僕は止められなかった。

「それが皆に知られるのが嫌で、無理して明るく振舞ってるんじゃない?」

言ってしまった。僕は葵ちゃんを傷つけたかも…もう中途半端な事は出来ない…。僕はその時決心したんだ。

「…何でそう思うの?」

葵ちゃんはうつむきながら言った。

「僕には見えるから。心の泪が。聞こえるから、心の叫びが」本当の事だ。僕には解る。」

葵ちゃんはうつむいたまま喋り出した。

「翼君には見えちゃったか…。」

あぁ、やっぱりそうだったんだ…。辛かったんだろうな。。。僕は凄く胸が痛んだ。

「僕で良ければ力になるよ?」

僕には話を聞くぐらいしか出来ない。しかし出来るだけの事はしてあげたい!

「じつはね…」

葵ちゃんの話は小学生の抱える悩みにしては酷だった。小さい頃に母親が亡くなって、今まで父親が男手一つで育ててきたという。
父親の役に立ちたいという一心で色々頑張っているらしかったが、やはり母親が恋しくなり、夜は一人で泣いているんだと言った。

「そうなんだ…僕には何もしてあげられないかもしれないけど、泣きたい時はいつでも泣いていいんだよ。無理しないで…」

僕の精一杯の一言。嬉しい時に心から笑って、哀しい時には大声出して泣いて欲しいと僕は思ったんだ。

「翼君!ありがとう!話を聞いてくれる人が居て私嬉しい!ちょっと楽になったよ」

葵ちゃんは、真赤な目をしながら、だけど心の底から笑った。つられて僕も笑ったんだ。

次の日の葵ちゃんは心から笑っている気がした。皆に囲まれている葵ちゃんが、僕の方を向いて微笑んだ。
あの日から葵ちゃんは僕に何でも相談してくれる子になった。
これで葵ちゃんが救えたんだね!いつまでも明るい葵ちゃんで居てね。

*あとがき*
初めて書いた小説。中1とかの前くらいに書いたのかなぁ・・・。ありきたりな感じで…(汗)
BUMP OF CHICKENのアルエって曲が凄く好きで、それを少しイメージして書いたんだけどね。


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