たこたこのまったりライフ

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堪忍箱



近江屋につたわる喪の花・木蓮の細工がほどこされた黒い箱。
それは蓋を開けたら災いが降りかかる堪忍箱だった。

表題の「堪忍箱」を含む8編の江戸時代ものの短編集。
今まで読んだ短編集に比べるとブラックな感じがする。
それは人の抱える秘密が作品の伏線にあるからだろう。

一番印象に残ったのは「お墓の下まで」
拾われた子供達を親身になって育てる夫婦。
子供達もその気持ちに応えて立派に成長した。
だが実の母親が迎えに来たとき、捨て子のふりをしていたことが分かる。
一方、血のつながらない子供達を育てた夫婦にも隠し事があった。

人は大なり小なり秘密を抱えて生きている。
真実を貫くよりも隠し通して生きるほうが時として幸せなのかもしれない。


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