たこたこのまったりライフ

たこたこのまったりライフ

とり残されて



小学校の保健教師をしている私は「あそぼ」とささやく子供の幻に出会う。
子供に引き寄せられ行った学校のプールに20年前にその学校で働いていた女性教師の死体があった。
交通事故で婚約者を失った私の憎しみに共鳴したのは
教師にひどい目に遭わされた子供のとり残された感情だった。

表題の「とり残されて」を始めとした6話の短編集。
ミステリアスな話の中で特に印象に残ったのは「おたすけぶち」
10年前に兄が事故死した場所を訪れた女性。
他の仲間は見つかったのに兄の死体だけはなかったことから
運転をしていたのではと責任を問われ、裁判沙汰となり残された家族は大変だった。
ところが小さな村で兄は生きており、妻や子供までいた。
この話を読んで行方不明になった人の多くは案外どこかで生きているのかもしれないと考えた。

最近別の作家の本ばかり読んでいて、久しぶりに読んだ宮部みゆきの本。
実家に帰ったような落ち着いた感じがした。

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