たこたこのまったりライフ

たこたこのまったりライフ

孤宿の人



上巻・・・江戸の商家の若旦那が女中に産ませた女の子。
阿呆の「ほう」と名づけられ、商家に災いが続いたことから
讃岐の国に金比羅詣の旅に出されるのだが、
置き去りにされてしまい、金比羅に隣接する丸海藩の藩医井上家に預けられた。
平和な暮らしをしていた「ほう」が井上家で起きた事件の犯人を目撃し、
犯人を問い詰めたことで井上家を追い出され、
江戸で妻子や部下を殺し、丸海藩に流刑された勘定奉行加賀殿の住まいの手伝いをすることになった。

下巻・・・鬼と恐れられている加賀殿から字や算術を習うことになった「ほう」。
丸海藩は雷や火事で混乱を極め、加賀殿のせいにされていた。
人々が恐れる加賀殿の優しさに触れた「ほう」。
だが別れの時が迫っていた。

現代にも不条理だと感じることは時々あるが、江戸時代に比べればずっと少ないだろう。
身分が低いから、女だからなどの理由で罪に目をつぶらされたり
突然仕事を失ったり、この物語の主人公たちは悲しい思いをさせられる。
だがその中で必死に希望を見出そうとする人々に引き込まれてた。
最後に加賀が付けてくれた「ほう」の名前の漢字にじ~んときてしまった。
あまりに人が死にすぎるのでその点が惜しいなあ。

丸海のイメージは香川県の丸亀だと書いてあった。
これまで宮部みゆきの歴史物といえば、江戸が舞台だったので珍しい。
冒頭で海に見える白い小さな波を「うさぎ」と言い、
これが見えると半日も経たないうちに大風が吹き、雨が降ると書かれていた。
実際にそう言うのか調べてみたが分からなかった。
次に海を見たら「うさぎ」を探してしまいそう。
美しい瀬戸内海を思い浮かべながら、読んだお話だった。

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