Slow Cafe そのままの君でいて

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地域活動における女性の参画について


 本日はこういう発言の機会を与えて頂いたこと、感謝いたします。
 私が知っていることはそんなにたくさんないと思いますが、皆さんの考えるきっかけになればと思いお引き受けいたしました。
 まず、
女性の参画の現状についてお話したいと思います。
地域活動と一言でいっても、多岐にわたっています。身近なところでは、自治会、自主防災、PTA、公民館活動、子育て支援、高齢者サロンなどでしょうか。他には、民生委員児童委員、母子保健推進員、人権啓発推進員、更生保護婦人会などもあります。そういう様々な地域の活動は女性の活躍によって維持されています。もちろん、地域の婦人会、母子保健推進員、更生保護婦人会など、女性限定の活動はもちろんですが、その他の活動についても、女性たちが頑張っています。
たとえば、橋本市の紀見ヶ丘自治会の自主防災の立ち上げの際も、女性たちが中心になって、市役所や消防署、業者などとの交渉をこなしました。 また、民生児童委員においても、旧来は男性委員が多かったのですが、今は女性委員が増えて、橋本市においても男女比が半々になっています。子育て支援の活動も盛んに行われており、各地に子育てサロンが開設されています。高齢者サロンも同様です。
男女共同参画についていいますと、
りいぶるでの様々な講座を通して、男女共同参画を学んだ女性たちが、新たなグループを立ち上げて活動しています。たとえば、和歌山市のあらんなとかこちらにいらっしゃる岩出市のマーマリング、伊都・橋本のITO☆WINNなどです。紀南のほうでは、こちらにいらっしゃる村上さんのウィメンズスタディ熊野やジェンダーブレイクあいあいなど、他にもいろいろあります。

次に、現状から
問題点について挙げてみたいと思います。
まず、先ほどあげました、婦人会や母子保健推進員、更生保護婦人会、母子寡婦福祉連合会などの女性団体は別として、男性が代表となるという考え方が根強く残っているようです。特に自治会などにおきましては、橋本市の場合、区長や自治会長はほとんど男性です。女性が長となっているのは、新興住宅地の自治会のみです。各自治会においては女性なくして活動が考えられないのに、区長会という全体について話し合う場には女性が参加していないというのは、どうなんだろうと思います。ただ、この男性が長になるということは、男性が女性の上に立つべきというジェンダー意識だけではないように思います。男性が地域活動に関わる状況というのが、会社を退職して、時間にゆとりができた場合がほとんどで、縦社会の中で、役職について仕事をしてきたプライドがあり、地域活動の中にもそれを持ち込んでしまって、地域活動の中でも役職につくことでモチベーションが上がる傾向が見られます。奉仕作業などをしていても、会長となったらとたんに張り切って参加している姿が見られます。
次に、全体に高齢化が進み、女性も仕事をもつことが当たり前になりつつある中、地域活動を担う担い手が不足してきていることが問題となっています。今まで述べてきたように、地域活動を支えてきたのは女性たちですが、中心になっていた方々の高齢化が進んでいます。そして、若い世代は、育児サークルやPTAで頑張って活動してきて、地域活動の大切さやノウハウを知っている人たちが、子どもが小学生・中学生と大きくなると、仕事に復帰したり、パートに出たりすることが当たり前のことになっています。特に最近の景気悪化の中では、それは避けられないことですし、女性もどんどん仕事をしていくことも大事なことだと思います。
そして、県で男女共同参画についての様々な地域リーダーを育成しても、市町村での活動をしていく時に、市町村からの理解や協力が不十分であることも問題点としてあげたいと思います。私たち、ITO☆WINNではりぃぶるの企画提案事業として、アンケート調査を行いました。かつらぎ町では町役場の職員の皆さんもご協力していただきました。橋本市でも、ご協力をお願いしに行ったところ、男女共同参画についての窓口は教育委員会にあるのですが、担当お1人のみで、そういうことだったら人権啓発推進室に紹介をするので、お願いしてほしいと言われました。そして、人権啓発推進室のご協力を得て、イベントでアンケート調査をさせていただきました。せっかく男女共同参画に関することという窓口を設けながら、独自の取組もなく、協力するところもないという現状です。人権啓発推進室では、他の人権の問題も扱っておりますし、雑談のなかで「男女共同参画って旬をすぎているからね」などと言われてしまいました。もちろん、市町村のなかでも、男女共同参画推進員活動を行っている岩出市や独自のセンターを持っている和歌山市・田辺市もあります。でも、県全体では意識のばらつきがあることは事実です。
ここに、橋本市議会の平成20年12月の議事録があり、男女共同参画についての一般質問と回答があります。たぶん橋本市の考え方がよく現われていますので、興味のある方はホームページなどで見てください。
さらに、既存の女性支援団体との連携についてです。これも実際に経験していることですが、私たちITO☆WINNはかつらぎ町で活動するために、WHPという団体に加盟しています。WHPは女性による人権と平和を守る会といって、町の婦人会や更生保護婦人会、母子寡婦福祉連合会、など既存の女性団体がから1~2名づつでて構成されている会です。まず、私たちが加盟するときは男性会員がいることを理由に難色を示されました。そこをクリアして加盟したわけですが、活動が町のイベントのお手伝いと年に一度の研修会、あとは動員だけという状況です。私たちが、その会の中で自分たちの活動の協力をお願いしたり、WHPの活動をと提案しても、なかなか理解されませんでした。それでも、私たちのグループが人権フェスティバルなどでパネル展示や啓発活動を行うと、それらはすべてWHPの活動として報告されている状況です。私たちは自分たちのグループを目立たせたいとかそういう欲からではなく、女性支援の活動を行っている既存の団体とともに、地域の男女共同参画を進めていきたいと考えているだけなのですが、それを理解していただくのは、なかなか難しいようです。この点については他の地域での状況について教えていただけたらありがたいと思っています。


さて、次に、地域活動を行ってきた当事者として私自身の今までの取組について少しお話します。
まず、Slow Waveの活動を通して取り組んできたことについてです。
地域の公民館のサークル活動としてはじまったSlow Waveです。りぃぶるの地域リーダー養成講座を受け、男女共同参画審議委員を務められ、前代表であるMさんが始められたグループです。地区の公民館報の「妻でもなく母でもなく自分らしく生きたいと思いませんか」という呼びかけ文に惹かれてグループ立ち上げに参加したことがきっかけで私も活動を始めたわけです。フェミニストカウンセリングの講師を呼んでの講座をし、自分を見つめることからはじまりました。そのあと、いろいろありすぎて話し出すとたぶん時間がかかりますので、全て省略させていただいて、直近の活動について資料をお渡ししたいと思います。
一つは元気工房プロジェクトについてです。ここで目指したのは女性の再チャレンジであり、人材育成です。そして、もう一つは、そのプロジェクト修了生を巻き込んでの、ミニコミ紙づくりです。こちらでは当事者目線での子育て支援です。
次に、ITO☆WINNの活動を通して取り組んできたことについてです。私たちは、りぃぶるの男女共同参画推進員、伊都ブロックのメンバーが中心になって、事業終了後立ち上げたグループです。会員は22名。かつらぎ町で活動しています。主な活動は別紙にて見て頂いたとおりです。資料として、毎年一回発行している啓発パンフレットと先ほどちょっと触れましたアンケート調査の結果を見てください。私たちは推進員の時から一貫して、草の根の活動として、地域の人に男女共同参画について考えるきっかけをつくっていきたいと思っています。そのための啓発パンフレットです。そして、アンケートについてですが、この企画提案事業に応募する前から、毎年、アンケートを通して男女共同参画について考えてもらおうという取り組みを行ってきていました。そして補助を受け広範囲でアンケート調査を行うことができました。その結果を見て頂くとわかるのですが、女性の社会進出については理解が進んでいることがわかります。ただ、3歳までの子育ては母親で、とか、介護は女性の手で、とかいうように、本音の部分ではまだまだジェンダーが根強く残っていることがわかります。

今後の課題ですが、
更なる意識啓発の必要性、先ほど述べましたように、根強いジェンダー意識を変えていくことは時間がかかることだと思います。これからも、地道にコツコツと進めていかねばならないと思っています。
人材育成についてですが、地域活動の担い手が高齢化したり、女性も仕事を持ち、担い手が不足していることに対して、人材を常に新たに養成していかねばならないと思います。
また、同時に、ステップアップも考えていかねばなりません。
活動のあり方として、これからは、男女共に働くことを前提にして、考えていく必要があると思っています。今までの活動は継続していくとして、お休みの日や夜などの時間帯での活動や、ネットなども利用した違う切り口で活動していくこともできるのではないかと思っています。
そして、市町村からのバックアップをどう得られるかについてです。既存の活動は今まででも役所がバックアップしていますが、私たちのように新しく立ち上げたグループが市町村から認知してもらい、ともに活動していけるような方向を探っていかねばならないと考えています。
私たちのような地域活動は、利益を生むものではありません。だから、資金は会費制の持ち出しです。大きな事業は行政からの支援なしでは考えられません。しかし、行政も財政難であると思いますので、なるべく自分たちでスポンサーを探さねばなりません。Slow   Waveでは生命保険協会などの助成を受けた事業もあります。ITO☆WINNは今、かつらぎ町の学びの応援団という事業の助成を受けています。でも単年度の事業はやはり将来的に不安です。地域活動を安心して継続して行っていくための資金をどのように得るのか、それも大きな課題であると考えています。


そこで、行政への期待となります。
先ほど述べた課題の克服のために行政に期待することは、
一つは人材育成についてであります。
 私たち自身は様々な講座を受けて、学ばせて頂いたと思っています。でも、新たな担い手を養成することについては行政の力も貸して頂きたいと思っています。うちのグループ内でも、グループ立ち上げ時のメンバーは様々な学ぶ機会に恵まれていましたが、新しく加わったメンバーに対しての学びの保障がまだまだ不足していると思っています。機会あるごとに、資料などをつかって研修したり、ワークショップをしたりしているのですが、私たちが受けた素晴らしい講師の先生には遠く及びません。他のグループがどのようにしているのかの情報も教えて頂きたいと思います。
 先日奈良県の女性センターに研修に行ったのですが、そちらではまだ、いきいきサポーター養成講座をしているようです。もちろんステップアップの講座も必要ですが、入門編の講座は必要ではないでしょうか。堺市では女性大学という取り組みもあります。今各地で老人大学が盛んに行われていますが、女性問題の基本的な知識を学ぶ場があることは大切なことだと思います。これはりぃぶるだけでなく、地域活動の担い手を養成する講座でもよいと思います。女性問題に特化せず、NPOセンターや人権センター、生涯教育課など、横のつながりで、地域活動の担い手を養成し、ステップアップはそれぞれの専門分野で、ということを考えられないでしょうか。 
 実は私は、生涯学習課の人権学習ファシリテーター入門講座を受け、ステップアップ講座を経て、つい先日伊都、橋本でそのグループを立ち上げる準備に入りました。その時も県の方に、私たちが受けた講座が素晴らしかったので、また、入門編はできないかと尋ねたら、とても難しいといわれたのです。やはり人材を育成していくことは時間もお金もかかると思います。でも、そこに投資をすることで、地域活動が盛んになることが、行政にとって住みやすく暮らしやすい街づくりへとつながっていくのではないかと思いますがどうでしょう。
もう一つは地域活動への援助の在り方です。
 これまで、地域リーダーを養成してこられたと思いますが、その人が地域に帰って活動をしていく中で、地元からの十分な理解と協力がえられなかったり、子どものこと、親のこと、仕事のことなどの理由で、地域活動から離脱していく姿を見ました。もちろん、それぞれ個人の生き方の問題であり、そのことをどうにかすることはできないと思います。ただ、女性であるが故に離脱せねばならなくなっていることも多いように見受けられます。
また、その中で、あきらかに、頑張っている人が、過剰な期待に力尽きてしまっている例もあるのです。個人の力には限界があります。地域活動を継続していくためには、仲間が必要です。そのためにグループ化していくことを行政が仲立ちすることも重要なのかとおもいます。たとえば電話相談員の養成講座を行っていますが、受講生たちがうまくグループ化するような企画を考えるというのもあるのではないでしょうか。
 また、地域活動は行政の下請けではなく、対等な関係で協働していくべきものと考えています。もちろん、そのためには地域活動を行う団体やグループが自ら力をつけていかねばならないと思います。そして、行政はそれをどう援助するのか、団体支援について考えて頂きたいと思います。
 先ほど例にあげました、奈良県の女性センターでは、ステップアップ講座の修了生やその他公募により、さまざまな講座を企画した個人や団体を審査し、実際の講座の流れを見て、審査に通過したものについて一覧表をつくっています。それを各市町村へ配布して、宣伝しています。まだ始まったばかりの試みなので成果はこれからですが、そういう団体支援もあるかと思います。いわば、県の講座で育成された人材や団体を市町村へ営業するといったところでしょうか。そういう援助もあっていいのではないでしょうか。
 同時に市町村職員に対しての意識啓発についても、なお一層の努力をお願いしたいとおもっています。
 県が予算を使って、団体の企画にお金を出すことも良いのですが、予算には限りがあります。団体に対してお金を出す以外の方法での援助についても考えていってほしいと思います。
 してほしいということばかり並べましたが、行政への期待についてということだったので、ご了承ください。

以上、私のお話はこれまでです。つたない話を最後まで聞いてくださってありがとうございます。

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