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2021.05.17
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カテゴリ: 漫画
このあいだ,『結婚アフロ田中』が全10巻で完結した。
僕はこのアフロ田中シリーズとともに16年くらいの時間を過ごしてきた。つまり,僕と田中の付き合いも16年くらいということになる。


結婚アフロ田中(10)【電子書籍】[ のりつけ雅春 ]

16年近くもの付き合いとなると, 僕の中で田中という男は古い友人みたいな感覚 である。いや,現実の友だちなんて月1回会うかどうかということを考えたら,週1で漫画連載を追いかけている田中の方が現実の友だちよりも,いや別居する親たち以上に関わっている時間は長いとすら言える。
僕は田中より数歳年上である。しかし,田中は僕より先に合コンを経験し,就職し,結婚している。そういうわけで,田中は僕の先輩とも言えるのだ。
一時期,「Fateは文学,CLANNADは人生」と言われたものだが, 田中はまさしく人はどう生きるべきかを描いた哲学書である。 僕は田中の成功や失敗から学んだものだ。

さて,自分語りをしながら,アフロ田中の話をしていきたい。

もともと,アフロ田中はたぶん,シリーズ化する予定も何もなく,『高校アフロ田中』のタイトルで連載が始まった。


高校アフロ田中(1)【電子書籍】[ のりつけ雅春 ]

一昔というか,僕が小学生のころ『行け!稲中卓球部』という漫画があった。
普通,部活動をしている学生を主役にした漫画ならば,全国大会なんかを目指してまじめにスポーツに取り組むものなんだけど,『行け!稲中卓球部』は,部員たちが下ネタやあるあるネタなど,どうでもいいお喋りをしたりする日常漫画だった。
ある意味で,『高校アフロ田中』もそんな感じだろう。ボクシング部に入った田中だけれど,男の悲しき性欲ネタだの,あるあるネタなど延々と繰り広げていた。


転機になったのが,シリーズ2作目,『中退アフロ田中』である。
タイトルの通り,田中は何の目的もなく高校を中退し,ダラダラとバイトをしたり,友だちと遊んだり,合コンに行ったりする。もはや「高校生を主役にした学園漫画」という最低限の枠もなくなり,ただの男を描く漫画となってしまっている。


中退アフロ田中(1)【電子書籍】[ のりつけ雅春 ]

普通の漫画の主人公ならば,生まれたことに目的があるはずだ。たとえば,『ドラゴンボール』の孫悟空ならば孫悟空はドラゴンボールを集めるために生み出されたキャラクターだし,刃牙は最強になるために作り出されている。
ところが, 『中退アフロ田中』には主役の田中を描く以外に何の目的もない。 作者ですら,中退アフロの時点で,田中が将来結婚するなんてことは決めていなかっただろう。
だけど,人生って言うのはそんなものだと思う。もののたとえとして,「イチローはプロ野球選手になるために生まれてきたような男だ」ということがある。しかし,人間というものは実存が本質に先立つというやつだ。人間はまず意味もなく生まれてきて,生まれてきた意味というのは生まれてから探すものだ。
当時の僕は大学生。遊びに行った友だちの家で単行本を読み,これがずいぶんと面白くて,ハマったものである。



次の3作目が『上京アフロ田中』である。
ここで田中は地元を出て,東京に出て行った。


上京アフロ田中(1)【電子書籍】[ のりつけ雅春 ]

ここで画期的なのが,レギュラーだった地元の友人たちがリストラされてしまったことだ。僕は正直,悲しい気持ちになった。だって,田中の地元の友だちにも親しみがわいていたし,地元のいんらん娘なんか,結構好きだったのだ。
ところが,田中は地元を出て東京で新しい人間関係を作ることになった。就職で親や友人のいた地元を離れる,というのは現実ではよくある話であるが,漫画でそんなことをやるのはあんま見ない。
これは,結果的には大成功だったといえる。地元の友人たち以上に,田中が東京で知り合った人たちもまた魅力的なのだ。また,これまでモテないでいた田中にも,ついに恋人とができたりもする。
特に,僕は田中の上司,遊び人の鈴木さんが好きである。モテない田中のため,合コンをセッティングしてくれたり,口説き方,デートの仕方をアドバイスしてくれたりする。
鈴木さんが教えてくれた, 「初めてのデートは映画館に行け。上映中は会話をしなくていいから,口下手でもやっていける」 だとか, 「彼女の家に入りたいのならば,家でDVD見ようよ,と誘え。これで決まりだ」 などのテクニックは僕も実践したものも多い。僕は,田中には古い友人みたいな感情を抱いているが,鈴木さんには頼りになる兄貴分みたいな気持ちである。
鈴木さんは結婚してしまって,あまり田中と遊んでくれなくなったのが寂しいものだ。

4作目が,『さすらいアフロ田中』である。
失恋をしたり,仕事が嫌になった田中は地元の友人と2人でバイクで旅に出るのだ。


さすらいアフロ田中(1)【電子書籍】[ のりつけ雅春 ]

田中が上京することで大きく舞台を変え,それが成功した3作目に対し,4作目の『さすらいアフロ』について,「田中が旅に出る」という展開は結果的に失敗だったのかもしれない。
北海道から沖縄までさすらったものの,最終的に田中は上京アフロで就職した東京の建築会社に戻り,日常生活を送ることになる。
マンネリ展開にもどった,ともいえる。
そういえば,ちょうどの『さすらいアフロ』をやっていたころあの東日本大震災があり,田中たちがボランティアで東北に行く話なんかもあった。一生懸命,瓦礫を除去した田中であったが,それはほんの一部でしかなかった,というシーンは結構好きである。
なお,アフロ田中シリーズはこの『さすらいアフロ』をもっていったん完結してしまった。田中との別れは,少し寂しかったものだ。

5作目が,『しあわせアフロ田中』である。だいたい,『さすらいアフロ』のあと,2年ほど間隔があいている。
この連載再開は,古い友だちとまた連絡を取り合うようになったような感覚で,ずいぶんと嬉しかったのを覚えている。


しあわせアフロ田中(1)【電子書籍】[ のりつけ雅春 ]

復活した田中シリーズであるが,当初は田中が地元の友人とゲストハウスを作る,という話だった
これはこれで面白かったのだが,当時の僕は「東京の鈴木さんたちをもっと見たいなぁ」と思っていた。
結果として,田中のゲストハウスは火事で炎上し,田中はもとどおり,上京アフロで就職した会社に戻るのだ。
このゲストハウス炎上の話は,どういうわけかネットでコラージュが作られまくったのをよく覚えている。
もしやすると,ゲストハウス経営を田中たちにやらせるとなると,作者の方でもゲストハウスの取材なんかが必要になるだろうし,それがうまく行かなかったのかもしれない。

さて,ようやく6作目,『結婚アフロ田中』である。
前作ラストでプロポーズした田中は恋人と結婚し,子どもまで授かるのだ。



結婚アフロ田中(1)【電子書籍】[ のりつけ雅春 ]

田中に遅れること1年くらい,5巻が出たころ,僕も結婚することになったのだが,親への挨拶のやり方なんかは田中を参考にさせてもらったものだ。
たぶん,この『結婚アフロ田中』から読者のターゲット層が微妙に変わってきているのを感じる。もともと,前作の『しあわせアフロ』からその傾向はあったが,田中は恋人とそれなりにうまくいっており,モテないネタは田中ではなくて,田中の同僚たちがやるようになった。
田中も,妻とのセックスレスで悩んだり,子育てで悩む話はあるにせよ,「恋人がいない」という悩みはもうなくなっている。
子育て漫画,というのは古くから女性をターゲットに何作もあったのだろうが,『アフロ田中シリーズ』もついに子育て漫画となったのだ。つまり,女性が読んでも楽しめる漫画になりつつある。

最後に,自分語りのまとめである。
僕の友人にKという奴がいる。彼は恋人に「読め」と命じアフロ田中を読ませていたそうだ。当時の僕はKのことをさんざ馬鹿にしたものだが,僕も妻にアフロ田中を読ませてしまった。
なんというか,男というものは恋人に対し,ありのままの自分をさらけ出すのが嫌なのだ。だが,自分がどんな男なのか,知ってもらいたいのだ。
ここで,田中である。田中は僕と同じような感性を持っており,醜いところも,情けないところもあって,血が通った人間そのものだ。そんな田中に触れることで,男性読者はあるあるネタとして楽しめるだろうけれど,女性読者には男の心を理解する教科書になるだろう。
そう,女性には田中を通じて,間接的に男の優しさ,けなげさ,悲しさ,美しいところも醜いところも,全てのものを知って欲しいのだ。


子育てアフロ田中【電子書籍】[ のりつけ雅春 ]





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最終更新日  2021.05.17 21:12:36
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