タコ社長,オーストラリア・メルボルンのスローライフな日々

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カテゴリ: 忘れられない人々
それはいったい誰の子だ?などという話しではない。遠い昔の話のことだ。


「タコ!電話だよ、、、、、、アミちゃんだよ。」
私は二階の階段を駆け下りて電話口に立った。
「タコちゃん、会社辞めるんだって?同期の酒井さんから聞いてビックリして。オーストラリアに行くんだって?」

1984年9月に約9年勤めたサラリーマン稼業から足を洗った。お世話になった方々など、いろいろな人に手紙や電話でその旨を伝えた。サラリーマン時代、4年ほど交際していた会社同期の亜由美からの電話だった。10月のことだった。家にも何度も来て泊まったりもしていて、母も気に入っている人だった。

「そうなの。思い切ったわね。タコちゃん、私と結婚してたら、、、絶対にできなかったわね。貴方の夢が叶わなかったわね。」
真剣に結婚を考えていた亜由美だったが、彼女は寿退社してこの3年前に私の前から完全に姿を消していた。そんな彼女からの電話は、まったく予期せぬものだった。

とりとめのないことを、まるでタイムスリップしたかのように話し続けた。

「そうそう、私に子供ができたのよ。孝子っていうの。」

全く手の届かぬところへ行ってしまった亜由美の声だけが、受話器を通して私に届いている。でもこれは、私の今の日常生活では小さな点のように消えていってしまう微かな声だった。

「じゃ、気をつけてね、タコちゃん。」
昔のようにひょうきんにおどけた甲高い声で言ってくれた。
「ありがとう、アミちゃんも、、、、幸せにね。」

「アミちゃん、元気にしていたかい?」
母はそう一言いっただけで、そのまま台所に立った。

10月の末から、代々木にある「パナリンガ学院」という日本語教師養成講座に通うことになっていた。オーストラリアで日本語教師になることを目指していた。

二階に戻って、そのパンフレットに目をやったが、ただ字を追いかけているだけで、内容は全く頭に入らなかった。

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Last updated  2012年06月01日 14時15分45秒
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