BLUE HEARTS を聴きながら

BLUE HEARTS を聴きながら

1.10事件 (その4)


まるで刑事ドラマだ。

犯人がドアのすぐ脇に息を潜めているときのためにそうした。
考えた末の行動だ。

今、思い返すとかっこいい。


そこまで、考えてたのに後が悪い。

人間命を賭けるとき思いがけない行動をとってしまう。
身をもって体験した。


バーーン!!とあけたはいいが






オレ丸腰。






武器がない。





そういえば持ってない。





わすれちゃった・・・。  






持ってるのは針金一本。
長さ5cm。


よわ。


全然意味なし。




めちゃめちゃ後悔した。もっと考えてから開ければよかった・・・。
これで死に一歩近づいた。
イヤ、死に全速力で向かっていくようだった。



ここまでの行動、おそらく2、3秒。

でも、長く感じた。いろんなこと考えた。
いきついた結果は針金一本じゃどうしようもないこと。
でも、捨てられなかった。
何かにすがりたかった。

でも、すがってるのは針金。
自分の命を守るものは針金。
ピストルに対抗するのも針金。
バットでも針金。

てゆーか針金より弱い武器ありますか?

ここまで、針金に人生賭けられる人いないでしょ?




それと同時に部屋を確認した。

アドレナリン全快だったから、一瞬で部屋の様子が脳に届いた。
いまだに焼きついてる。


無造作に散らかされた衣類。
あきっぱなしのクローゼット。
壊されたスーツケース。
はずされた窓。

そこに、窓から逃げようとする黒い影。

目が合った。

一対一ならやれる。そう思った。こっちはすでに命すててる。
本気でやってやる。

でも、持ってるのは針金。

むこうはバールをもっていた。きっとあれで窓をこじ開けたのだろう。


針金 vs バール


むこう、マッチョ。身長180cmはある。

オレの身長は、さばよんで170cm。体型まで針金。


どうみても勝てない。



しかし、気合いは負けない。
空手の構えをかまえた。やったことないけど。
もう、ハッタリしかない。
それだけは得意。


そしたら





向こうは一目散に窓から逃げた。
2階から飛び降りて。


オレは呆然と立ち尽くした。
心臓はバクバクしてた。

チハルは痙攣してた。声がでなくてヒクヒクいってた。

こわかったもんね。





オレもよくやったと思う。
自分でもこんなことできるとは思わなかった。
背水の陣だったからだね。


つづく












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