3.北海道の自然に翻弄されるボクたち



朝6時、起床。
旦那もゴンも、久々にゆっくり眠れたらしく、
ようやくくつろいだ雰囲気になって、ほっと一安心。

宿や、仲良くなったお客のみんなと名残を惜しみつつ、先を急ぐ。
(しっかし、フレンチブルとビーグルって、ほんと、表情が人間くさい~!!
ゴールデンもかなりのもんだけど、さらにひょうきんな顔をするので笑ってしまった。
なんといっても、情けない表情をするときがいいよね~)

ほんとは、今日のうちに、思い切り北上する予定だったが、
昨日走り詰めだったこともあるし、今日はちょっと観光がてらのんびり行こう、ということになり、
急遽、積丹半島巡りを決行することに。

ニセコから、積丹半島へ出るルートは2種類ある。
せっかくだからと、今回は、ニセコパノラマラインを通ることにした。

ところが。
どんどん回りが煙っていく。山に登るに連れ、雲の中に入っていくようだ。
とうとう、10メートル先も見えないようになってしまった。
ねっとり濃いドライアイスの中を泳ぐようである。
こんなにすごい霧は生まれて初めて。
足下の道路がなければ、完全に道に迷うレベル。草原なんかにいたら、遭難するって。

北海道8

「ここは綺麗な沼があるんだって」
「・・・なんも見えん」
「ここからは下の町が綺麗に見渡せるんだってよ」
「・・・ぜんぜん見えん」
「なんか肌寒いね」
「・・・車外、16度だってさ」
「・・・・・・・・・」

せっかくのパノラマライン・・・けど、見えたのは雲だけでした(T_T)

ニセコの山並みを降りてくると、日本海に出ます。
ここでようやく雲が晴れ、薄日が射すように。
どことなく暗い色の日本海を左手に見つつ、右手は断崖絶壁。
間を縫うように、車は走る。
なんか、演歌のひとつも歌いたい気分。かもめも飛んでるし。

奇岩続きの海岸線、目指すは神威(かむい)岬。
なんたって、名前がかっこいいではないですか。神が住まう岬ですよ。
なんでも、神威岬の沖は日本屈指の難所で、遭難する船が続出。
つい最近まで、女子禁制の岬だったらしい。
はて。私はなるべくそういう伝説は尊重しようと思っているのですが。
(というより、そういう伝説があった方が楽しいじゃないですか)

ところが。
やはり、その気持ちが天に通じたか。
神威岬へ続く高台の途中には、「ここより女子禁制」とかかれた門があるのだが、
その門が、ぴっちり閉まっている。
なんと、強風のため通行止め!!
とにかく、ものすごい風が吹きまくってたの。思わず、よろけるくらい。
風上に向かって立つと、目も開けられない、息も出来ないほどの。
そりゃあ、足腰弱い観光バス組には危険でしょう。
で、仕方なく引き返す。

ここで、私がキレかける出来事が。
観光バスで来たおばちゃんたちがいたんだけど、
旦那がゴンをしっかりつかまえていたにも関わらず、
聞こえよがしに、
「やあねえ」「こんなとこにまで連れてこなくてもねえ」とのたまったのだ。

マジで喧嘩を買ってやろうかと思いましたよあたしゃ(笑)
犬が嫌いな人がいることは知ってる。「こんなとこまで・・・」と考えるのもわかる。
だから、そう考えるのは仕方ないし、後で文句を言い合うのも好きにしてください。
直接文句言ってくれたら、ちゃんと、不愉快な思いさせてすみませんね~、と謝るさっ。

けどね、聞こえよがしにいうのは「陰口」っていうんだよ!
文句があるなら、直接言えよ! 正々堂々と!!
聞こえよがしに言うのは、ガンたれてる、喧嘩売ってるのと同様なんだよっ!!
煙草のポイ捨てしてるおっさん相手にも、あんたら同じことすんのかよっっ!!

思わず私の顔色が変わったのでしょう。
慌てて旦那がその場を離れるように促したのは言うまでもありません(笑)

閑話休題。

神威岬を抜け、車は次の目的地、セタカムイ岩へ。
途中、痛ましい岩盤崩落事故のあったトンネルの横を通り抜ける。しばし黙祷。
目的のセタカムイ岩は、アイヌ語で「犬神」のこと。
なんでも、漁に出たままかえらない主人を待った犬が、岩になったものだそう。悲しい伝説である。

セタカムイ岩は、本当に、お座りして遠吠えしている犬のようだった。
その前でゴンと記念撮影。旅の無事を祈りつつ、次へ進む。

北海道9

積丹半島に別れを告げ、お腹が空いたので、どっかで駅弁を買うことに。
まだ、車に残しておくとゴンが大騒ぎするので、お弁当がいいだろうと思ったのだ。
りんごとウイスキーの町・余市は、なんと駅弁がない!
仕方なく、次の駅へ。小樽である。

無事に毛ガニ弁当を購入。ゴンを連れ、なのをベビーカーに乗せて、小樽運河へ。
記念撮影しつつ、ベンチでお弁当を食べる。いい気持ち。
旦那にウニアイスを食べさせたかったのだが、売り切れ。残念。

北海道11

さて3時。宿をどこにしよう。しばし相談する。
犬連れokのキャンプ場は、札幌付近にはなかなかない。
仕方ないので、いっそのこと、高速に乗って一気に北上することにする。
銭函から、旭川まで高速で2時間移動。

高速を降りてから、旭川の近くの愛別に、地図上でキャンプ場発見。
電話してみると犬可、だというので、喜んでそちらに伺うことにする。
有名な比布(ぴっぷ)駅を見つつ一時間半。
5時半に、石狩川のほとりのキャンプ場「愛別きのこの里オートキャンプ場」に到着した。

北海道12
北海道13


「愛別きのこの里オートキャンプ場」は、信じられないくらい綺麗なキャンプ場だった。
キャンプ場というより、どこぞの庭園という感じ。スタッフも親切ですごくきびきびしている。
林間キャンプになれている人には、綺麗すぎてワイルドさが足りない気がするだろうが、
アウトドア初心者、ファミリー向けには最適の場所だった。
水洗トイレ、シャワー、コインランドリー、自販機が、綺麗なロッジの中に完備されており、
キャンピングカーサイト、オートキャンプサイト、テントサイトがある。
小川が流れ、四阿があり、のんびり過ごすにはほんといいところ。
ロッジには、読書用の本まで備わっていた。しかも、なかなか品揃えよし。
欠点としては、先程述べたように、綺麗すぎる点。それから、国道が近いので車の音が気になる点。
しかし、これも、私たち以外にほとんどキャンパーがいなくて、静かすぎたからこそ気になった、というべきで。

初のキャンプ体験。旦那とテントを広げる。
今夜はバーベキュー。肉とトウモロコシなどの野菜、海鮮物を焼くのだ。
ほたてといかげそがすごく美味しかった。

ゴンは初めは広すぎる芝生の上で、なにやら落ち着かなかったが、
テントを張って中に入れてやると、ようやくくつろいだ様子になった。
それよりなの。暗くて静かすぎる雰囲気に圧倒されたのか、
普段は見られない大泣き。まるで引きつけ。
一瞬、病気ではないかと心配になったくらい。
ずっと寝付くまで抱っこする羽目になった。
車の音が聞こえて、かえって良かったね。静かすぎて怖いもの、と旦那と言い合う。

北海道14
北海道15
北海道16

途中、ぽつりぽつりと雨が落ちてくる。
早々にテントに引っ込み、就寝。

静かな夜でした。

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