3 不在者と失踪宣告
1 不在者制度
1 意義
住所または居所を去って容易に帰ってくる見込みがない者を不在者という。
(居所とは、住所がないか、わからない場合にある程度継続して住んでいる場所)
2 不在者財産管理人制度
(1)不在者財産管理人の選任
相続時に相続人の一部が行方不明になっている場合など、不在者に法定代理人や
行方不明になる前に財産管理人を選任していた場合を除き、家庭裁判所が利害関係人
又は検察官の請求により不在者財産管理人を選任する(25)。
(2)不在者財産管理人の権限
不在者財産管理人は、権限の定めのない代理人として、
1、保存行為
2、代理の目的である物又は権利の性質を変えない範囲内において利用又は改良を
目的とする行為
以上を有する(103)。
売買や、遺産分割など権限を超える行為を必要とする場合は、家庭裁判所の許可を
得なければならない。
2 失踪宣告制度
1 意義
(1)普通失踪と特別失踪
失踪はその態様により普通失踪と特別失踪の2種類に分かれる。
(2)要件
普通失踪の場合は、不在者の生死が7年間明らかでないこと(30−1)。
特別失踪の場合は、死亡の可能性が高い危難に遭遇した不在者の生死が、危難の去った
後、1年間明らかでないこと(30−2)。
危難に遭遇とは、戦争に行った場合、船舶の沈没事故に巻き込まれる場合で、
戦争が終わったときから、あるいは沈没後1年たってもその者の生死が明らかでない
ときに認められる。
(3)効果
普通失踪の場合は、要件である7年間の期間満了時に死亡したものとみなされる。
特別失踪の場合は、危難の去った1年後でなく遡及して危難の去ったときに死亡したものと
みなされる(31)。
宣告を受けると、元の住所を中心とする法律関係については死亡したものとみなされ、
相続の開始、生命保険金の支払いがなされる。
2 失踪宣告の取消
(1)要件
失踪者が生存していること、又は31条に定められた期日と異なる期日に死亡したことが
証明された場合、家庭裁判所は本人又は利害関係人の請求により失踪宣告を取り消さなければ
ならない(32−1)。
(2)効果
失踪宣告が取り消されると、その宣告は遡及的に無効となる。
その結果、失踪宣告を原因として発生した法律関係は原則無効となるが、これでは失踪宣告
を信頼して取引をした者の利益を害するため、失踪宣告後、その取消前に善意で行った
法律行為には影響を及ぼさない(32−1後段)。
この善意は、法律行為の当事者双方であり失踪したAの相続人BとBと取引したCも善意で
あること必要(判例)。
失踪宣告を受けたことにより、財産を得た者は、宣告の取消により不当利得としてその財産
を返還しなければならないが、その返還は現存利益でよいとされる(32−2)。
失踪宣告後に再婚をしたが、宣告が取り消された場合、前婚と後婚の問題があるが、
双方が善意であった場合は、後婚のみが残り、双方または一方が悪意の場合は通常の
重婚と同じ扱いになり、前婚については離婚原因、後婚については取消原因となる。
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