のほほん暮らそう。

のほほん暮らそう。

涙のわけ。part2


どのように受け止めているのかなどを確認していくことも大切です。
それによって不安な面を引き出して解決し、
手術にできるだけ安心して臨めるようにするのが目的です。
私の患者さんは、病気や手術について私に説明してくれるくらいに
自分で勉強して理解していました。
そして「手術してみないとわからないもの。でも大丈夫よ。なんとかなるわ」と
笑顔でお話してくれ、手術に対する不安を口にすることはなく、
手術当日に家族が集まってきても気丈に振舞っていて、
私も患者さんは手術についてきちんと受け止められているんだなと思っていました。

ところが。
手術室入室直前。
病室から手術室へ向かうストレッチャーの上で
今まで気丈に振舞っていた患者さんが、突然静かに涙を流していました。
それを見て私は、
「患者さんは本当は手術に対して不安があったんだ。
 乳房に傷がつくことに対して悲しみがあったんだ。
 手術をしたあとに前と同じように仕事ができるか心配だったんだ。」
などということにいっぺんに気づきました。
患者さんをわかっていたつもりでまったくわかっていなかったことや、
そのつらさをずっと抱えていたのかもしれないということや、
とにかく患者さんの気持ちに十分に寄り添えていなかったのではないかということに、
自分も不甲斐ないし、何よりも患者さんに申し訳なくて、
私自身も涙が出てきそうになって顔がゆがんでしまいました。

その後、看護師さんにその一連のことをお話したら、
患者さんが実は何度も仕事のことで家に電話をかけていたことや、
病気や手術に不安があるからこそ、パンフレットを何度も読み直して勉強していたんだろう、
ということを教えてくださいました。
そのお話をしながら看護師さんも目に涙をためていて、
ナースステーションでふたりでうるうるしていたのでした。


まず、不安の表れを、言葉だけでなく行動からもよく見ていかなければならないということ。
患者さん自身も何が不安なのか具体的にはわからないけど、
わからないことに対する不安があるということ。
パンフレットなどを読むことで知識で取り除ける不安もあれば、
何をもっても納得できないような、
決してなくならない心の問題もあるんだということを学びました。

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