探偵Qちゃんの探偵な日々

探偵Qちゃんの探偵な日々

特殊調査 編



探偵というお仕事は、けっして綺麗なお仕事ばかりではありません・・・

最近もそうだったんですが・・・

『ゴミをあさる』

ってこともあるんですよ・・・

実は、家庭から出されるゴミというのは個人情報の宝庫なんですよね。

電話料金や、ガス、水道など公共料金の請求書や、個人宛のダイレクトメール、
その他にも情報は盛りだくさん・・・

今日はそんな『ゴミあさり』の話なんですが・・・

以前、こんな相談がありました。

相談者は僕の事務所に夫婦で訪れました。

相 「初めまして。」

Q 「初めまして。どうぞかけてください。」

相 「二人で押しかけてすみません・・・」

Q 「いえいえ、気になさらないで下さい。どういった御相談でしょうか?」

相 「はぁ、実は最近、嫌がらせの手紙が届くようになりまして・・・」

Q 「嫌がらせの手紙ですか。いつから?」

相 「一月くらいになります・・・」

Q 「今日はその手紙をお持ちですか?」

相 「はい。これなんですけど・・・」

相談者はカバンの中から手紙を取り出したんですがその量に驚きました!

相談者の取り出した手紙は20通以上!

どれも、茶封筒に入っていて、宛名は全て、筆跡を隠すために定規を当てて、直
線で書かれています・・・

Q 「中を見てもいいですか?」

相 「えぇ、どうぞ・・・とてもひどい内容なんですが・・・」

Q 「じゃ、失礼しますね。」

僕は、手紙を消印の古いものから順番に開いていきました。

封筒の中からはB5サイズのコピー用紙に、新聞や雑誌、ワープロでうった文字
をプリントアウトして切り出したようなものを貼り付けて作った文章が出てきま
した・・・

その内容はここでは公開できるようなものではありません・・・

普通の人間が書いてよこせるようなものではありません・・・

Q 「ひどいですね・・・」

相 「はい・・・、妻もまいってしまって・・・」

Q 「そうでしょうね・・・」

相 「なんでこんなものを送りつけてくるのか・・・」

Q 「ん?誰が送ってきてるのか、心当たりがあるんですね?」

相 「はぁ・・・はい・・・」

Q 「よければ聞かせてもらえますか?」

相 「単刀直入にいうと、恐らく、近所の人だと思うんです・・・」

Q 「よければ聞かせてもらえますか?」

相 「単刀直入にいうと、恐らく、近所の人だと思うんです・・・」

Q 「近所の方・・・ですか?」

相 「はぁ・・・」

Q 「それはどうして?」

相 「実は、以前にその方と些細な事でもめたことがあるんですけど、その人は
近所でもちょっと有名な人で・・・」

Q 「有名っていうのは?」

相 「えぇ、性格が悪くて有名なんですよ・・・」

Q 「性格・・・ですか?今までにもなにかあったんですか?」

相 「はい、町内の行事なんかでも、何かと文句を言っては役をやらなかったり
、すぐに人の悪口を言ったり・・・」

Q 「じゃ、結構、噂なんですね・・・」

相 「それはもう・・・」

Q 「じゃ、その人とひともんちゃくあったんですね?」

相 「そうなんですよ・・・それもかなりひどく・・・」

Q 「あぁ・・・なるほど・・・」

相 「それからなんですよ・・・」

Q 「わかりました。とにかく明確な証拠が必要ですね。」

相 「はい・・・お願いできますか・・・?」

Q 「もちろん!今回のように対象者がある程度、特定されているんですから、
そこから調査して行きます!任せてください!」

相 「ありがとうございます!よろしくお願いします!」

こうして、僕の「誹謗中傷手紙」の差出人特定の調査がはじまりました。

Q 「もちろん!今回のように対象者がある程度、特定されているんですから、
そこから調査して行きます!任せてください!」

相 「ありがとうございます!よろしくお願いします!」

こうして、僕の「誹謗中傷手紙」の差出人特定の調査がはじまりました。

まずは、特定されている人物の住居や、身辺の下見調査。

少し田舎だけど、新興住宅地。

綺麗に区画割された住宅地の一角に家はありました。

外見は特に気になるところもない・・・

下見もそこそこに調査員さんとミーティング。

手紙の送られてくるペースはほぼ毎日・・・

当然、どこかの郵便局で発送するか、どこかのポストに投函するわけです。

今までの手紙の消印はおおよそ、3っつの町の郵便局の消印がおされています。

今回の対象者の行動を調査をすれば、その辺は間単にわかるでしょう。

後は、今回の日記のメインテーマ『ゴミあさり』・・・

次の日から早速、行動を調査。

朝から対象者の自宅付近で張り込み待機。

対象者が現場作業員だということはわかってます。

さて、どこの現場に行くのやら・・・

家を出て車に乗り込んだ対象者を、あとから追跡していきます。

対象者の車の行き先は、手紙の消印の押された郵便局のある町を通り過ぎ、隣町
の作業現場に着きました。

それから一日、対象者は仕事に従事しています・・・

仕事は真面目にしてるようですね・・・

しいて言うなら、昼の休憩のときは一人で車で寝てましたね・・・

一日の仕事が終わって、対象者も荷物を片付けて帰る準備です。

対象者の車が動き出し、また追跡開始・・・

朝来た道を戻っていきます・・・

調 「このまま帰るんでしょうかね?」

Q 「どうかな~」

調 「どうせなら、今日も手紙出してほしいですよね~」

Q 「そうりゃそうだけど、まだ100%対象者だって決まったわけじゃないし
ね・・・」

調 「そうですよね・・・」

Q 「ま、なるようになるよ。」

調査員さんとそんな話をしながら追跡してたとき、対象者の車が左のウインカー
をだして、車を路側に寄せて停まりました。

車の横を見ると、そこには・・・赤い箱

調 「よっしゃ~!!」

Q 「カメラ回してね。」

僕も調査員さんも対象者の動向を息を呑んで見守ります・・・

車から降りてきた対象者の左手には封筒のようなものが・・・

対象者はまっすぐポストに向かうと左手に持っていた封筒を投函しました。

僕も調査員さんも、思わずガッツポーズ!!

対象者は何事も無かったように車に乗り込むと、また家路へと車を走らせ始めま
した。

今、投函した封筒がクライアント宛の『誹謗中傷の手紙』なら、早ければ明日に
は配達されるでしょう・・・

僕たちの仕事は次の段階に進みます。

『ゴミあさり』

とは言っても、ゴミは収集される曜日が決まってますから、いつでもというわけ
にはいきません・・・

次のゴミの日は○曜日です・・・

とりあえずそれまでは様子を見ることに・・・

様子を見ている数日間も、クライアント宛ての『誹謗中傷の手紙』は届きました
・・・

待つこと数日・・・

待ちに待ったゴミの日です。(ゴミの日を待つというのも変な話ですね・・・)

家庭によっては夜中にゴミを出す家庭もあるので、夜中から張り込みです・・・

ちゃんと見ておかないと、よその家のゴミを間違えて持って帰ってきたなんてこ
とになりますからね・・・

結局、朝まで待ちぼうけ・・・

朝、対象者が出勤する時にゴミを持って出てきました!

車に乗って近くのゴミ収集所まで移動。

対象者がゴミ袋を収集所に置いて走り去るのを確認して、収集所に僕の調査車輌
を収集所の前に横付け!

後ろのドアを開けてゴミを車に放り込んですぐにドアを閉めて発進!!

その間、数秒・・・

後は何事も無かったように走り去る・・・

こうして、個人情報の宝庫=『ゴミ』の確保に成功しました!!

ゴミ袋を事務所の裏に持っていって、地面に敷いたダンボールの上にバサーって
な具合に広げます。

それから、これわ!って言うものを探していくんです。

とは言っても、これは『ゴミ』です・・・

まぎれもなく、家庭ゴミ・・・

当然、中には生ゴミもあれば、エタイの知れない物まで・・・

この日記は、暴露日記ではないので、具体的なことまでは書きませんが、でも、
触りたくないものが出てくるのは事実です・・・

調査員さんと二人で、もちろん、ゴム手袋をはめながらの作業です。

そして、答えは案外簡単に出ました!!

ゴミの中から、文字が切り抜かれた雑誌のページやら、新聞の切れ端やら、真ん
中を切り抜いたコピー用紙やら・・・

それを順番に拾い集めていくと、けっこうな量になりました・・・

この対象者の、どこからこんなまめな作業をするパワーが出てくるんでしょうか
・・・

雑誌や新聞から文字を切り抜き、わざわざプリンターで文字を打ち出して、それ
を一つずつ貼り付けていく・・・

宛名は定規をあてて、直線で文字を書くことで筆跡を消し・・・

でも、最後の詰め甘くて、それで出たゴミをそのまま家庭ゴミにして出してる・
・・

きっと、対象者本人には、これが『名誉毀損』という犯罪である認識が薄いんで
しょうね・・・

せいぜい、ちょっとした嫌がらせのつもりなんでしょう・・・

その手紙のせいで、罪の無い人が苦しんでいることを知っているんでしょうか・
・・

せいぜい、ちょっとした嫌がらせのつもりなんでしょう・・・

その手紙のせいで、罪の無い人が苦しんでいることを知っているんでしょうか・
・・

ゴミをあさって拾い集めた紙くずを事務所の中に持って入ります。

それからクライアントから預かった手紙(最近の物)を見ながら切り抜かれた文
字と合うものを探します。

この作業の結果、結構な枚数の手紙と一致する切り抜いた紙くずを見つけること
ができました!!

探偵の仕事って、けっこう地味でしょ・・・

対象者に対して示談をする材料は揃いました。

僕はクライアントに連絡をし、今までの調査の報告と今後の動向を説明。

クライアントも腹をくくっている様子で、対象者と示談することにも応じてくれ
ました。

僕は、必要な書類を作ってクライアントと一緒に対象者の家を訪ねました。

Q 「夜分にすみません。ちょっとお話がありまして。」

対 「は?」

対象者は僕の後ろに立っているクライアントにすぐに気がつきました。

対 「・・・・・私には何も話はありませんから!帰って下さい!」

Q 「いえ、こちらには話があるんです!」

僕はカバンから対象者がクライアントに宛てて出した手紙と、ゴミから拾い集め
た紙くずを取り出しました。

Q 「これに見覚えがありますよね?」

対 「・・・・・・・・知りません!」

Q 「本当ですか?本当に知らないんですか?」

対 「・・・ええ!知りません!」

Q 「この紙くずはあなたの家のゴミから出てきたんですよ!」

対 「・・・・・・・・・・・・」

Q 「それにあなたが毎日、仕事の帰りにポストに封筒を投函してることも確認
されてるんです!」

相 「なんでこんなことをするんだ!!」

Q 「まぁまぁ。落ち着いてください・・・」

相 「・・・・・・・・・・・・」

Q 「こちらとしては、事を大げさにするつもりはありません。こういった行為
をやめていただけるなら、穏便に済ませると○○さんもおっしゃっておられます
から。」

対 「どういう意味ですか?脅迫ですか?」

Q 「は?脅迫?」

対 「そうですよ!あんたの言ってることは脅迫じゃないか!」

Q 「あの~、僕の話のどのへんが脅迫なんでしょうか???」

対 「さっきから、大げさにしないとか、穏便に済ませるとか・・・」

Q 「じゃ、この手紙と、紙くず、こちらが調査したビデオテープをそろえて、
警察に届けてもよろしいですか?」

対 「・・・・・・・・・・・・警察って」

Q 「今回のことに関しては、事の発端は両者の口論から始まったことは私も聞
いています。でも、こういった形での攻撃は正当とはいえないでしょ?」

対 「・・・・・・・・・・・・・・はぁ」

相 「今回は私もこれ以上、どうにかしようとは思ってないから・・・」

Q 「この書類にサインをしてくれませんか?そして、今後こういった行為を一
切しないと約束してもらいたいんです!」

対 「・・・・・・・・・・わかりました」

こうして、対象者もそんなに声を荒げることなく、穏便に一件落着となりました


クライアントの家に帰る道中・・・

相 「今回は本当にお世話になりました。本当に助かりました。」

Q 「いえいえ、以外に、短期間で決着できて良かったですね!」

相 「これもQちゃんのおかげです。」

Q 「そんなことないですよ。たいしたことはしてませんからね。」

相 「あの手紙はどうしたらいいですかね?」

Q 「そうですね~。少し様子を見て、大丈夫そうなら燃やしてしまってもいい
んじゃないですかね。いつまでも大切に残しておくようなものでもないですしね
。」

相 「そうですか・・・。そうですね!私も妻もこんなことは早く忘れたいです
からね!」

Q 「また、何かあったら連絡を下さいね。」

相 「もちろんです!すぐに連絡しますよ!」

クライアントの顔に安堵の笑みが溢れてました。

Q 「それじゃこれで失礼しますね。」

相 「上がってお茶でも。」

Q 「いえいえ。一件落着してお疲れでしょうから、奥さんに報告してゆっくり
と休んでください。」

相 「そうですか。本当にお世話になりました。」

Q 「じゃ、失礼します。おやすみなさい。」

クライアントは何度も何度もお礼を言ってくれました。

今回のようなケースは珍しいかもしれませんね・・・

誹謗中傷の手紙を出してるのが、すぐ近所の住人なんて・・・

こういう行為は、自己中の極みでしょうね・・・

喧嘩の腹癒せに卑劣な内容の手紙を送りつけるなんて、あまりにも程度の低い行
為です・・・

でも、こういうことをする人間は、実は心がとっても寂しい人なんでしょうね・
・・

もっと、みんな仲良くすればいいのに・・・

お互いのことを思い合えば、こんなことにはならないと思うんですけどね。

これは、夫婦でも同じでしょうね。

僕はたくさんの離婚問題の相談を受けるけど、理由は色々だけど、結果的に今回
と同じような結果になってる夫婦もいますからね・・・


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