切 な い か ら



























































「わて・・何言ってるんや・・?」


忍足は辺りを警戒しながら一人呟いていた














「敵に塩まいてどうすんねん・・・何で手塚を殺せなかったんや・・」












































あの状態なら、いくらでも殺せたのに・・河村ん時みたいに殺せたのに












































ダンッ!!!





























忍足は木を思いきり殴った。手から少し血が出てきた















ポタッ・・ポタッ・・

































自分から出る赤い液体を見ながらさっきのことを思い出していた





























越前リョーマのことは本当や・・せやけど、桃城を殺した相手は
教えておらへん。わて・・言ったよな?
桃城が殺されるところ見たって
手塚のことやから、青学の連中とは思っとらへん・・でもな?手塚





























相手は、青学の菊丸英二なんやで?





























忍足は一息ついた。そして今、忍足の心の中にいるのは・・・



























































岳人・・はよ会いたいで・・・








































































































「侑士・・どこにいるんだよぉ・・侑士・・」








少しだけ小高い丘。目の前には海が広がっている
岳人はゲームが始まってからずっと不安におちいってた














「侑士どこだよぉ・・俺・・」







下をうつむくと、一輪の花が咲いていた


「花・・まだ小さいなぁ・・」










なんか・・今の俺みたい・・






本当なら、今日は侑士と出かける予定だったんだ・・
侑士と遊園地に行って・・ファミレスに行って・・楽しい日のはずだった
なのに・・どうして殺し合いなんだろう・・?
岳人の目には、涙が溢れてきた






















そんな時だった。












































パパン!!










「っ・・!!?」














岳人の横を銃弾が通った。幸運にも岳人は無傷だった













サクッ・・サクッと1歩・・また1歩と誰かが来る
そして、きっとその人物は狂っている奴・・
自分を殺そうと近づいて来ているはず













「あれぇ?向日君・・だっけ?」



「・・!千・・石・・」













その人物とは、ラッキー千石の異名を持つ『千石清純』だった













「あ~ぁ・・これ重くて使いずらいんだよねぇ・・しかもモデルガンだし
大した威力ないんだよねぇ~」


「あ・・ぁ・・」


千石は、岳人から半径1m以内にいた
「でもさ?モデルガンも、近距離で頭打てば一発でしょ?」

「っ・・・・」
岳人の肩は震えていた。そして、千石の銃口が岳人の頭に押し付けられた



























侑士っ・・・!























































ほら岳人!はよこいや~

ま・・待ってくれよ侑士!

まったく・・岳人は足おっそいなぁ~?そのうち転ぶで

なにぃ!?侑士が速いんだろ!?ってわ!!!

ズテン!

言わんこっちゃない・・

いってぇ~!クソクソ・・

ほら。手貸したるから、はよ行くで?

う・・うん!!





































































俺は死ねない
いや・・
絶対に死なない




岳人は、自分のズボンの中に入っている『それ』を掴んだ


























「俺はまだ・・死なない!!!」
「なっ・・!?」
岳人は『ナイフ』の刃を千石に向けた。そして、千石は
驚きのあまり引き金をひいたが岳人は回避し、かすっただけだった





















「なっ!?」

「千石ーーー!!!」














岳人のナイフの刃先は、千石の心臓辺りに深々と刺さった










ザクッ!!














「カハッ・・!!」

























千石はドサッと後ろに倒れ、その場で息絶えた。最初は勢い良く出てた
血も、数分後には大体おさまっていた・・岳人はその場にヘタレ込んでいた





























「殺・・した?俺が・・俺・・死んでない・・?」

岳人は呆然と立ち尽くした。ナイフは千石に刺さったまま・・
だけど抜こうとはしなかった。抜く気もなかった











































自分の少しぼやけた視界に、一人の人間が見えた



「岳人!!」
向こうの方から、聞きなれた声がきこえた
岳人が誰よりも好きで・・誰よりも信頼できる人物










「侑・・士?侑士!!?」
『忍足侑士』だった。岳人の目に透明な液体が流れた









「こいつ・・千石やないの?」
「ゴメン・・俺・・」
「岳人!血出てるやん!!」



先ほど千石がとっさに打った銃弾が岳人の腕をかすめていた
「だ・・大丈夫だよ侑士・・それよりも俺・・人を・・」







忍足は、岳人の口に手を当てた

「その先は言うんやない・・わかってる・・わかってんから・・」

その言葉は、岳人の心を安心させる言葉だった

「腕・・大丈夫かいな?」
「うん・・大丈夫だよ侑士」










それから少しの間。忍足は、岳人の肩に手を置き岳人を落ち着かせた















「さぁ・・行こか?」
「うん・・ねぇ侑士?俺達の他に・・信じられる人って・・いる?」
「いるで?青学の手塚。あいつは大丈夫や」
「そっか・・よかった・・」
「ほら。行くで!誰かが来ないうちにな」
「お・・おう!」





























岳人は振り向いた














「(あ・・!)」

さっき自分が座っていた場所。そこに一輪の花が咲いていたが
よく見てみるともう一輪、同じ花が咲いていた











お前も・・もう一人じゃないよな?



























































それぞれの思いを胸に秘め・・
さぁ・・歩きだそう
俺達はここから・・
希望に向かって歩きだすから












































千石清純(死亡)
生存者残り12人


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