NOVELS 4枚目



 ビールが来る前に、お通しの枝豆がきて二人は会話を始めた。こういうところではやはり仕事の愚痴みたいなものから始まる。「ちくしょ~店長最近うるせ~よな」「昔ほどなんかパワーがなくなったしね。ちょっと店に出てきてはお小言じゃ参るよな~」ここらへんはそこらへんのサラリーマンの会話同様上司への不満からである。電気屋もそれにもれず同じようなもの。会話を見計らうようにそこへ「生中」が運ばれてきた。「生2つお待たせしました~」店員が笑顔で持っておいていった。

 「じゃあ おつかれさ~ん」やはりここでも笑次のほうがグイっといった。「おお~疲れた後のビールはおいし~」そこへいくと哲也はチビチビっと呑みだした。「そういえば、さっきの携帯の女の人の話聞かせてくれよ~」哲也は思い出したように聞いた。「あ~あの子ねえ。瞳ちゃんて言って高校の時俺が片想いしていた子だったけど、なにやらこないだ同窓会で俺の連れから電気屋で勤めてるのを聞いて来てくれたみたい。高校のころさ~なんか今と違って俺ってオクテでさ~なんにも言えなくて、卒業しちゃったんだよ~。もうかれこれ10年ぶりぐらいかな~」「そうなの?でもわざわざ来たってことは、笑次に気があるんじゃないのか~」
笑次はそんなこと考えもしなかったので、一瞬はっとした。(そうなんかな~それだったらかなりうれしいけど…)その時彼の頭では福山雅治の「squall」が流れてきた

♪私恋に落ちてる~ 悲しいくらい…
ずっと夢に見てたの 巡り会う事~ もう隠せない この切なさは~
さがし~てた あなた~だけ♪

 かれこれ10年ぐらいこんな「恋バナ」とは無縁だったので、いつしかそういうことも疎くなっていたそういう恋愛というやつに…(そうだよな~携帯屋なんて今どこへ行っても同じだし…)哲也に言われていろいろ考え始めていたが、そうなると呑まずにはいられない。けっこういいピッチでグイグイっといきだし、頼んでいたオツマミも来始めた。この笑次それなりに背も高いし、ルックスも悪くない。今までそういう話がなかったのが不思議なぐらいなんだけども。一方の哲也はいわゆる標準タイプ。まあ性格がどちらとも似通っているので、どちらにも言えるのが女性にオクテのタイプ。そんなところでのこのような出来事であった。

 笑次は「まあ女心というのは気まぐれっていうし、とりあえず今日は呑もう~」と哲也に促した。実のところ笑次はいろんな思いが駆け巡って呑んで考えすぎないようとこう言ったのだった。

 この時はまあそんなこんなで2時間ぐらい居酒屋で過ごし、次はカラオケに行こう~というコースになった。カラオケボックスに雪崩こみ、曲を選び始めると、歌本を見ていた笑次は妙にさっきの福山のsquallが歌いたくなってきた。

  ♪さっきまでの通り雨が ウソみたいに綺麗な空
  そんな風に微笑むから いつのまにかうれしくなる~♪

 曲が始まると、やはり瞳の事が思い出された。


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