Jesus Christ! (3)


 分厚い灰色の雲が空を覆い、湿った生温い風がゆっくりと吹いていた。何となく辺りが薄暗く、空気が重い。気が滅入りそうな朝だった。
 まだ朝早く、人通りの少ない歩道を、俺は一人で歩いていた。
「一刃!」
 突然名前を呼ばれ、俺は振り返った。ジェライラだ。
「おはよう、一刃。」
ジェライラが俺の隣に並ぶ。
「一刃!ジェライラ!おはよう!」
 突然、俺達の後ろで声がした。振り返ると、カヲルが満面の笑みで立っていた。
「おはよう、カヲル。」
ジェライラはにっこり笑って挨拶を返した。
 ここまではいつもと同じ朝だ。
妙に嬉しそうなカヲルの笑顔に、俺は一ヶ月前の事件を思い出しながら、とりあえず訊いてみる事にした。
「カヲル。何か良い事あったのか?」
「よく分かったね。」
カヲルは本気で驚いているようだ。その様子に俺は呆れて、はぁ~っと嘆息した。
「分からない奴はいないと思うぜ。何があったんだ?」
カヲルはにっ、と笑った。自慢げな笑みだ。…何か、嫌な予感がする。
「昨日、急成長する薬が完成したんだ。」
 自分の顔が青ざめるのが分かった。こいつ、またそんな物作ったのか!
「へえ、出来たんだ。」
ジェライラは蒼い瞳を輝かせた。カヲルは嬉しそうに笑った。
「うん。これから学校で実験するんだけど…、見たい?」
「見せて!」
…ジェライラは一ヶ月前のあの事件を忘れているのだろうか?…少し、頭痛がしてきた。
「カヲル。その前に、元に戻す薬はあるのか?」
俺はこの場から逃げ出したい衝動を抑えながら訊いた。答えは分かりきっているのだが。
「ないよ。」
カヲルはあっさりそう答えた。ほら見ろ、やっぱり…。絶対に、一ヶ月前と同じ事になる。
「もう勘弁してくれ!これ以上俺を巻き込むな――!!」
 俺の叫び声が、曇り空に轟いた。

icon羽根2


…え~と。コレもアフォですね(爆)。コレは高1くらいの時に書きました(多少修正はしておりますが…)。僕の見た夢を元にして書きました。「ある日学校に行ったら、巨大ナメクジが大量発生していて、しかもソイツが人間まで食うというバケモノで、生徒がどんどん食われていって、最後に自分が食われてジ・エンド。」という、素晴らしく救いのない夢でした。当時の僕は何を考えていたのでしょう…(汗)。

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