旅の途中、寄り道の日々

旅の途中、寄り道の日々

アスファルト




何かの音で目が覚めた


窓が教えてくれた雨音


カーテンを開けて見えた外は


濡れた水を吸わない人工物の地面


汚れたくないけど


仕事へと出かける


ふと通りがかった公園で見た


彼は無邪気に遊んでいた


汚れることなど気にせずに


水を吸った砂場で遊んでいた


汚れることを恐れずに


無邪気に砂のお城を作る彼


それがすぐ崩れてしまう無駄な物だと気付かずに


無邪気に笑うその笑顔


知りたくなかったことも


知らなくてもよいことも


知ってしまった僕には


あの砂場にいる彼には戻れない


僕が立つ場所は深い地面の上にある


浅く水を弾く人工物の上だから


「終」

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