いつかはカナダ犬と北京生活

いつかはカナダ犬と北京生活

五七、今までどおり

五七、今までどおり


 数日後、私は思い切ってスタバへ。気まずい思いでスタバに来るのは何度目だろう?私がどんなに気まずいときでも、ビンビンはまるで何も起こらなかったかのように平然と「久しぶり。何飲む?」って聞いてくるから・・・気まずかったのは私ひとりだったんだと思い知る。

 彼は私を見つけるなり、いつもの爽やかな笑顔で「今日は何飲む?」と笑った。私は少しほっとして、いつものホットチョコを注文。彼の入れてくれるホットチョコ。その日、彼はいつになく頻繁に私のテーブルへやってきて、他愛もない話をあれこれ続けた。普段そんなに口数の多くない彼が、沈黙になる暇もないほどに。

 それは、必死に気まずさを打ち消そうとしているようにも見えた。一夜の「過ち」をなかったことにして、今まで通りの友達だと言いたい?

 午後四時。勤務が終わり、更衣室で着替えを済ませたビンビンが、私のテーブルにやってきた。何も言わず、正面に座ると、じっと私の目を見て言った。「何か、僕に話したいこと、ない?」


続く→


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