濫読屋雑記

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2005年12月15日
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最近は『 彩雲国物語 』や『 十二国記 』について書き綴ってきましたので、今日は東洋から西洋へと趣向を変えまして、 私の大好きな 森薫 さんの『 エマ 』とその小説版、 久美沙織 さんの『 小説エマ 』、そしてアニメ版『 英國戀物語エマ 』について書いてみたいと思います。

この 森薫 エマ 』、昨今では様々な雑誌にも紹介されて絶賛されている作品です。とある雑誌には、うろ覚えですが「 作者がメイドさん&ヴィクトリア時代が好きだから描いているのでは? 」というコメントが載っていましたが、 私も全く以ってその通りだと思います 。作品を読んでいったら、 さんの「 私はコレが好きだから書いているの~!! 」というオーラがそこかしこから漂ってきます。

さて、 そんな作品ですから歴史や服飾等の風俗、社会の状況等の設定は凝っています 。とくに、原作はもちろんですが、アニメと小説はとくに顕著です。ですが、原作の『 エマ 』の方では若干の手落ちと言いますか、ちょっとした勘違いがあります。でも、コレは1巻目のお話。同人誌から、プロに上がった新人時代のことですからね。で、何でこの話を取り上げたかと言いますと、原作と小説版、そしてアニメ版と この作品が如何に設定をしっかり調べて作り上げているかという事を、強調したかったからです

それは、『 エマ(1) 』と『 小説エマ(1) エマ(1) 』の第一話「訪問」では、エマの主人ストウナー夫人がウィリアム君と会話していた時に電話が鳴り、ストウナー夫人が「電話だわ。ちょっと待ってて」と中座するシーンがあります。実は、 このシーンは誤りなのですね~ 。『 小説エマ(1) 』ではこのシーンは、エマが訪問カードを持って来てストウナー夫人が受け取り「グレアムさんだわ。バザーの件ね」と言ってグレアムさんの愛犬が粗相をするので、庭で合うわ、と場を中座するシーンとなっています。また同じく第五話「写真」では、雨漏りで困ったストウナー夫人がバーでトランプ遊びに興じる友人のアルにバーの電話を使って呼びつけるというシーンがあります。これも小説版では、アルは「“ ベイカー街イレギュラーズ ”(小説版では、このように引用が上手なのですよ。)の一員のような小僧」に「ストウナー夫人から救難呼び出しだよ」と呼びつけられ、仲間に冷やかされながら、小僧に駄賃を渡して出かけていきます。このように、 小説版では巧みに電話を使用するシーンが変更されたいます

でそれ以前にヨーロッパで発明されていて、これもうろ覚えですが、確かドイツ人が最初に作ったと言う説が今は有力らしいです。閑話休題。一方、電話先進地のアメリカでは、合理主義に後押しされ都市部を中心にあっという間に普及したのですが、イギリスでは官公庁ですら電話の普及が遅れていました。その代わりに、電信と伝達史が配備されていたのですが。(20世紀初頭になっても、電信しか引かれていなかった警察署があったそうです。)

この理由としては、イギリス人の手紙好きと電信網のがしっかりと全土に張り巡らせれていた(これは、鉄道の運行管理に絶対に飛鳥不可欠なものであった為です。)、という事情があったと思います。世界で一番最初に郵便制度を確立したのはイギリスです。しかし、郵便制度確立後も『 エマ 』にも描かれていますが、上級階級や金持ちたちは近所人と連絡する場合は、自分専用の紋章入りとかの封筒を使用人(制服を着せたメッセージボーイ等)とかに持たせて、先方に伝達したりしていました。また、 当時は礼儀作法に超が付くほどうるさかったヴィクトリア朝時代 。前述の「訪問カード」もその一例で、突然お宅を訪問するのは失礼に当たり、訪問前に手紙を送って確認をしてから、というのが常識。また、訪問の際は「訪問カード」を応対した使用人に渡してお伺いを立てるという習慣があり、手紙というものが非常に重んじられていた時代でもあったのです。また 電信も、郵便と同様、制服を着た配達人が配達したので、対面を重んじる当時の世相にあったのでしょう

原作と小説を読み比べると新しい発見や原作、この場合はコミックで書ききれなかった細かい描写や心情の変化が分かって、非常に面白いです これにアニメが加われば、動作や仕草、声が加味されて原作や小説版を読んだ時に、鮮やかに場面が頭の中にイメージすることができます

と言うことで(文章を書く時の癖だな、この遣いまわし…)、 『エマ』&『小説エマ』&『英國戀物語エマ』考 でした。最後に、このようなヴィクトリア朝の知識を簡単に調べられる本で、この日記を書く際に頭の引き出しから取り出して使用した本が『 図説ヴィクトリア朝百貨事典 』です。この本は、 ヴィジュアルも充実していて(カラー写真が豊富!)読んでいても、見ているだけでも楽しい一冊です 。近所の図書館にも置いてあると思いますので、是非、手にとって見て下さい。


エマ(1) 小説エマ(1)  英國戀物語エマ 通常版 1 図説ヴィクトリア朝百貨事典
↑原作・コミックです。  ↑小説版です。    ↑DVDの通常版。   ↑参考文献です。







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最終更新日  2005年12月15日 22時52分17秒コメント(0) | コメントを書く


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