濫読屋雑記

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2006年05月09日
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カテゴリ: 手に取った本
連休終わりの日曜日、いつもの様に書道のお稽古の帰りに、これまた毎回同じパターンですが名古屋・栄のマナ●ウスと○善、駅地下の△省堂さんに寄って来ました。今回はとくにお目当ての本もなく、今年度最初の選書で選ぶ本は何にしようかな~、という感じでブラブラと棚の間を回っていると、 平置きされた本に視線が吸い寄せられました 。その本とは 池上良太 著『 図解メイド 』(新紀元社、2006年)です。

図解メイド

平置きされているので、目で帯の宣伝文句を読んでみると「 図解でわかる!メイドのいた暮らし 仕事・恋愛・老後・犯罪…。 (以下略)」と興味のそそられる文句が書いてあります。そこで手にとって最初の「 はじめに 」を読んでみると昨今のメイドブーム(相当歪んでいる箇所もありますが…)云々からはじまり、メイドにていての簡単な説明、本書で扱う時代(当然、ヴィクトリア朝になるのですが)などが紹介されています。そしてその後に、「 すでに個人的に猛烈な研究をされており、メイドについて知らぬことは何一つない 」と 豪語する人や ヴィクトリア朝の専門家という人々 そういう方は、肩の力を抜いて「答えあわせでもしてやるか」といった具合に読んでいただければ幸いである 」と書いてあります。

私としては、 豪語できるほどの知識も無く、専門家でもありませんが 依然このブログでも紹介したように、関連書籍はかなり読み込んでいますし、若干の蔵書もあります 。そこで、「 はじめに 」の次に捲ったのが終わりの「 参考文献一覧 」です。 この参考文献を見てみれば大体の本の内容に関する「質」がわかる訳です 。では、どのような本が参考文献として出ていたかと言いますと、手元にある本では、

アジアの海の大英帝国 召使いたちの大英帝国 路地裏の大英帝国


横井勝彦 著『 アジアの海の大英帝国 』(講談社、2004年)と 小林章夫 著『 召使いたちの大英帝国 』(洋泉社、2005年)、 角山栄 川北稔 編著『 路地裏の大英帝国 』(平凡社、2001年)そして 森薫、村上リコ 著『 エマ ヴィクトリアンガイド 』(エンターブレイン、2003年、表紙画像なし!)という4冊が出ていました。

ここで、驚いたのが『 エマ ヴィクトリアンガイド 他の学術書の類と一緒に参考文献として並べられていたことです 。少々オーバーですが、これを見てこの本を購入してしまったようなものです。最も、この本の内容自体はしっかりしていますし、『 ヴィクトリアンガイド 』より本のサイズが大きいので文字のフォントも大きく読みやすく、用語1つにつき見開き2ページを当て、1ページは解説に、もう1ページは絵や図説用にして丁寧に説明されています。また、『 ヴィクトリアンガイド 』には 無い魅力、ドイツやフランスといった他国の使用人事情や「メイドと犯罪」といった裏事情、メイドの恋愛相手でもある陸軍兵士や警察官についての解説、メイドを雇う側の背景、雇われる側の背景なども事細かに書かれている、小技が効いている本でもあります

ちなみに、この『 図解メイド 』の参考文献で紹介されている本で、 私が面白いとお勧めするのが ヘンリー・メイヒュー 著、 ジョン・キャニング 編、 植松靖夫 訳『 ロンドン路地裏の生活誌(下) (上) 』(原書房、1992年)です。19世紀ヴィクトリア朝ロンドン街頭で、魚や野菜、オレンジ等を行商して歩く呼売商人、楽器を弾いて歩く盲目の老女、体じゅう煤だらけの煙突掃除夫、故買屋、羊の足を売る女など等。 社会の「どん底」に生きる人びとがあみだす珍商売・奇商売の数かずを、社会派ジャーナリストであったメイヒューが丹念に取材をし、専門の絵師に繁栄のさなかに巣食う貧困や喧騒に満たちロンドンで働く人々のスケッチを取らせて記録した、当時の社会調査的な側面も垣間見せる本です 。この『 路地裏の生活誌 』の中には、機能紹介した『 エマ 』の「 花売り娘 」、市場で花を仕入れて駅や街頭で売る商売も登場しています。この本は、本当に読んでいて厭きない面白い本です。手に入れたいのですが、絶版・在庫切れなので古本しか手に入らない状況なので、購入を躊躇している本でもあります。

他にも、 ヴィクトリア朝とメイド について紹介したい本は多々あるのですが、本日はこの位で。





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最終更新日  2006年05月10日 01時35分42秒
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目一度ですか  
KKC さん
エマガイドは情報量の割には
いまひとつ残るものに欠けるように感じました
私だったら
メイドの一日なんてドキュメンタリー風の章をいれるんだけど (2006年05月10日 17時57分44秒)

Re:目一度ですか(05/09)  
花開富貴  さん
KKCさん、懲りずにまたメードさんですよ!

>エマガイドは情報量の割には
>いまひとつ残るものに欠けるように感じました
>私だったら
>メイドの一日なんてドキュメンタリー風の章をいれるんだけど
-----
あっ、やっぱりそう思いましたか。『ヴィクトリアンガイド』は本当に事細かに調べて、解説されているのですが、余りにもそれぞれの事柄が細断化されて全体がぼやけてしまっているような気がします。『エマ』本編を読み込んで、他のメードさん関連の本を読んで、それから『ヴィクトリアンガイド』を手に取る、といった感じでしょうか。

一回、森さんが根性と情熱を出してエマの一日を一冊のビジュアル本にまとめて欲しいなあ~、とフッと思ってしまいました。 (2006年05月12日 01時05分29秒)

>社会の「どん底」  
sour grapes  さん
時代は違うでしょうが、
ジャック・ロンドンの『どん底の人々』というのを、文庫で読んだような気がします。あまりにも昔に読んだので、題に間違いがあるかもしれません。
警官が浮浪者を一晩中追い回して眠れせない話があったように思います。作者ジャック・ロンドンもそこに混じっているのです。

最近は、何処へ追い立てられたか、少なくなりましたが、大阪の市役所や日本橋の電気街などに、寝泊りしている人が、朝夕に驚くほど沢山居ました。
万余という話を聞いたこともあります。

東京は、対応がより一層厳しいようですが。
多摩川の河原に、青いシートが車窓から見えます。

駅前を追われて、地元の図書館にも、いつも数人来ています。

労働問題とか社会問題とかいう言葉を、最近は聞かなくなったように思いますが、立ち行かなくなっている人も居ます。 (2006年05月12日 17時04分03秒)

Re:>社会の「どん底」(05/09)  
花開富貴  さん
sour grapesさん
>時代は違うでしょうが、
>ジャック・ロンドンの『どん底の人々』というのを、文庫で読んだような気がします。

はい、これはジャック・ロンドン著、行方昭夫訳『どん底の人びと ロンドン1902』岩波書店、のことですね。時代的には、ちょうどエマの時代かそれより少し後くらいになります。

>東京は、対応がより一層厳しいようですが。
>多摩川の河原に、青いシートが車窓から見えます。

>駅前を追われて、地元の図書館にも、いつも数人来ています。

はい、私も時々そういう人をみかけますね。とくに、名古屋へ出ると。

>労働問題とか社会問題とかいう言葉を、最近は聞かなくなったように思いますが、立ち行かなくなっている人も居ます。
-----
全く以ってその通りです。万博の時、名古屋の中心部からホームレスを一掃してしまったように、都合の悪いことは適当にお茶を濁して隠してしまうというのが、日本の悪い風習ですね。 (2006年05月13日 22時17分43秒)

Re[1]:目一度ですか(05/09)  
KKC さん
>それぞれの事柄が細断化されて全体がぼやけてしまっているような気がします。

そうそう
身体性を感じないというか
読んでいて体が反応しないんです

あれの著者さんも女の方ですよね
なのに下着のつけかえとか洗面とか
そういう体で感じる部分については
ひどくあっさりしているのです (2006年05月14日 01時38分44秒)

Re[2]:目一度ですか(05/09)  
花開富貴  さん
KKCさん、結構読み込んでいらっしゃいますね~。何だか、嬉しいです。

>>それぞれの事柄が細断化されて全体がぼやけてしまっているような気がします。

>そうそう
>身体性を感じないというか
>読んでいて体が反応しないんです

>あれの著者さんも女の方ですよね
>なのに下着のつけかえとか洗面とか
>そういう体で感じる部分については
>ひどくあっさりしているのです
-----
そうですね。何だか他の本に書いてあることをまとめて、わかりやすく解説しただけのような印象を受ける箇所もありました。さらーっ、と上っ面を滑っていくと言う感じでしょうか?

「身体性を感じないというか、読んでいて体が反応しないんです」という表現が本当に的確だと思います。ヴィクトリア朝の風習、体に関する事は極力隠す、という悪習に森さんも村上さんも染まってしまったのか?と、疑いたくなりますね。ホンッと、妙なところには拘るクセに…

ただ、今度発売される『エマ・アニメーションガイド(3)』は“コルセット”について、森さんが熱く語られるそうなので、これは要チェックですよ! (2006年05月14日 10時21分56秒)

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