濫読屋雑記

濫読屋雑記

2012年02月14日
XML
カテゴリ: 手に取った本

みなさま、お久しぶりです。元旦に更新して以来になります。ちょっと、1月中は書道の関係で忙しかったのと、それが終わったら鬱がまたひどくなって学校と家との往復と仕事でいっぱいいっぱいでしたので、長らくお暇をいただいていたわけです。

ということで、今日は体調が悪かった時に読んでいた本を紹介していきます。まずはタイトルにある 村山早紀 さんの『 海馬亭通信 』(ポプラ社、2012年1月)です。

この本は、日本でも名前が知られている児童文学作家の 村山早紀 先生が、今から20年ほど前の新人作家であった頃に出された『 やまんば娘、街へゆく~由布の海馬亭通信 』(理論社、1994年4月)を文庫化し、さらに主人公の やまんば娘 由布 が風早の街へ下りてきてから17年後の海馬亭の様子を描いた続編の前半を収録した作品となります。内容はといいますと、 村山 先生があとがきにも書かれているように「 いつもどおりの風早の街の物語です。神様とお化けと魔法と、少しの切なさと祝福と奇跡の物語 」だそうです。もう少し紹介を詳しくしますと、母親が7年に一度の山の神の寄り合いで4か月間、山を留守にする間に行方知れずの父親をさがして人間の街に下りてきた 由布 が自称ワルの小学生・ 千鶴 を助けたことがきっかけで、彼女の祖母が営む下宿「 海馬亭 」にやっかいになることになります。海からの風が吹きわたる風早の街の丘にある古い洋館「 海馬亭 」で繰り広げられる、 由布 と愉快な住人たちとの心温まる交流譚を、由布が山にいる姉への手紙を綴る形で物語は進んでいきます。 海馬亭の住人がどんな人がいるのか、そして由布は父親を見つけることができるのか、その辺は本書を読んでのお楽しみにしましょう。
村山 シェーラひめのぼうけん 』シリーズや『 魔女のルルー 』シリーズなどがあるのですが、高校の図書館に勤めてからは縁の薄い作家さんになってしまいました。ところがポプラ社がピュアフル文庫で『 コンビニたそがれ堂 』シリーズを刊行したので読んでみると読書の入門書にちょうど良いではありませんか。 ライトノベルも読書の入り口としては良いのですが、生徒によって好き嫌いが分かれるジャンルなのでお勧めするときに悩むことが多いのですが、 村山 先生の本だったら昔読んだり小学校の図書室に配架されていたことを覚えている生徒もいるので、紹介しやすいので助かっています。 村山 先生はこの他にも『 竜宮ホテル迷い猫 』(三笠書房、2011年11月)や『 カフェかもめ亭 』(ポプラ社、2011年1月)など、 最近古典的な意味でいうところのジュブナイル小説、最近の言葉だとヤングアダルト作品(=ライトノベルという見方が広がっているのは少々困りものですが)を書かれるようになったので、高校の図書館でも紹介できるようになったのは嬉しいですね。

 続いては、 沢村凛 さんの『 瞳の中の大河 』(角川書店、2011年10月)を紹介しましょうか。著者名の「凛」の「示」部分は正しくは「禾」ですが文字化けすると困るのでこうしました。

さて、著者の 沢村 さんは第10回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞した作家さんです。ファンタジーノベル大賞や本屋大賞(最近、選考が怪しくなってきていますが)などの受賞作やノミネート作品の著者をチェックしていた時に検索でヒットした中で面白そうな本だっので、購入したうちの一冊です。

内容はといいますと、端的に表すなら歴史大河ファンタジーです。で、いつものごとく紹介へと入りますと、この本の主人公は アマヨク・テミズ という軍人です。舞台はインド・イスラム系ぽい架空の王国です。主人公は貴族の血をひくものの、出生に複雑な事情を抱えています。その テミズ 少尉は軍学校を卒業し、西の駐屯地へ向かう小隊の隊長として赴任します。そこで少尉に下った命令は、王家の宝を盗んだ者たちの捜索でした。少尉は、野賊の六頭領のひとり、 オーマ の仕業であることを直感するも、逆に盗賊たちの策略にはまり、捕えられてしまいます。伝説の野賊として名高い オーマ との出会いをきっかけに、 アマヨク・テミズ の波乱に満ちた運命が幕を開ける、という感じで物語は始まります。

この小説の面白いところは登場人物の心理が描写されず、その行動に納得がいかないように見える部分も多いところです。ですが、それがかえってリアリティを高めているように感じます。またそこに、あれこれとその登場人物たちの心中を想像する楽しみもあると思います。ですから人によって、登場人物の心中の解釈は分かれるでしょう。しかし、それを差し引いても本作は面白いです。まず、導入部での主人公と盗賊の首領 オーマ 、そしてその部下の女性、 カミーラ の登場の仕方とそのやり取りが上手で一気に物語に引き込まれます。主人公の アマヨク・テミズ は、国のために平和を取り戻すためなら愛する人を傷つけることも厭わないという人物です。ですので、恋人や息子とも敵対する場面があるのですが、そこが物語を盛り上げるのですよね。そして、 自分の計画が失敗し自身が反乱軍の汚名をかぶろうとも、国と民の為に理想の社会を築くために生き抜いく主人公がカッコ良いです。 また、 理想の為に力強く生きる主人公を魅力的に描いている本作ですが、それが出来ない弱い人間にも作者の愛は注がれているのが素晴らしいと思いました。 主人公の無骨ともいえる生き様を軸に、物語には、権謀うずまく貴族達の争い、父親との相克、道ならぬ恋、ラストシーンでの謎解きなど、 活劇としてのおもしろさがふんだんに盛り込まれている読んでみて損はしない作品に仕上がっています

という感じで、今日は文庫本2冊を紹介しました。それから疲れのためか、パソコンの細かい字が見にくかったのでフォントを一つ大きくしたのですが・・・見やすくなったでしょうか?では、そんなこんなで、今日はこのくらいで!






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2012年02月14日 22時10分05秒
コメント(1) | コメントを書く


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約 に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


選考も怪しいですが受賞作者はもっと怪しい??  
カズノリ さん
いや、ファンタジーノベル大賞は関係ないのかな・・・?

最近、ファンタジー大賞の作品にはまってしまって、
過去の受賞作家さんでいろいろ見ていたらたどり着きました。
歴史大河ファンタジーってカテゴリは面白そうですね。
ちょっと歴史っぽいのが好きなので、書評も楽しく拝読
いたしました。

はまったきっかけになった作品が、関俊介さん。
ワーカー改め「絶対服従者」。
虫たちの気持ち悪いファンタジーで何とも・・・。
ちなみにあんまり作者情報がないのですが、妙に詳しい
サイトが見つかっちゃいました。
http://www.birthday-energy.co.jp/
結構ご苦労されたみたいですね。
妙に動き回るとダメそうなので、作家一筋で極められるのか
試されるそうです。

ちなみに上のサイトの索引を見たら、いろんな作家さんの記事にも行き着きました。
森見さんの記事もありました。
それらも結構興味深いかも。 (2013年01月31日 15時29分04秒)

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

×

お気に入りブログ

sour grapesさん
ま、てきとうに Me162さん
怪鳥の【ちょ~『鈍… 白い怪鳥さん
とりあえず練習用の… バルディッシュさん
brog katu6448さん

コメント新着

背番号のないエース0829 @ 第二次世界大戦 映画〈ジョジョ・ラビット〉に、上記の内…
gordon@ nQdZmuLyMEEktLLsj KbT59H http://www.QS3PE5ZGdxC9IoVKTAPT2…
sammy@ LWuYJEqkFyjeGuJ 7VxFoY http://www.QS3PE5ZGdxC9IoVKTAPT2…
名無し@ Re:上話菜穂子さんの作品が、アニメ化されるので(07/10) タイトルが上話菜穂子さんになってますよ。
nhPSm3 nnrqsdt@ nhPSm3 <a href="http://nnrqsdtryito.com/">nnrqsdtryito</a>, [url=http://obzunpo nhPSm3 &lt;a href=&quot;http://nnrqsdt…

バックナンバー

2026年08月
2026年07月
2026年06月
2026年05月
2026年04月

カレンダー

キーワードサーチ

▼キーワード検索


© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: