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「遅くなってごめん・・」
「ウソツキ・・・時間厳守って言ったのは誰よ、約束の時刻に来たのに・・・」
「ほんとにゴメンネ」
「雨の金曜日、ホテルのバーでカップルにまじり窓際の予約席に 1
「・・・食事は??」
「この時間だから済ませてきた。そういえば、私たちが初めて会ったのも雨の日だったよね」
2
「どうぞ・・この傘を使ってください・・・」
「そんな事をしたら貴男が困るでしょう??」
「いや、オレには迎えが来るから大丈夫ですよ・・」
「それでは、お借りします。明日のこの時刻、ここでお待ちしますから・・」
「気にしないでください、住んでいるのはこの近くじゃないので・・」
「あれっ・・お迎えの方は??」
「えっ・・あぁ、急用が出来たらしくて会えなかったです」
「待ち合わせは・・恋人・・・ですか??」
「いいえ、男の友人ですよ。迎えに来ないし電話連絡もないし家まで行ったのですが帰ってなくて・・仕方なく、このコンビニで傘を買おうかなと・・・」
「無責任な方ですね・・・」
「いやぁ、急用はウソで電話をしたら日を間違えていました。明日の約束だったのを私が勘違いしちゃったらしいです」
「ふふふっ・・・ずぶ濡れにしてしまってゴメンナサイ。私の家に来てください。このままじゃ風邪を引きますよ」
「いえ、大丈夫です・・・ぬれ鼠のオスを連れ帰るとご家族がビックリしますよ」
「うふふっ・・・一人住まいですから・・・夜食は何がいいですか??」
「それじゃ、お言葉に甘えて乾くまでお邪魔しようかな・・・」
「恥ずかしくて目を開けられないよ・・・あっちを向いてくれる」
翌朝、目が覚めたオレは腕の中で丸くなって眠る女の顔を見つめていた。
昨日まで赤の他人のオレに無防備な姿を晒し眠り込む女、愛しさがこみ上げる。見続けるのに飽きることがなかった。
心の内に密かに隠し持っていた赤い糸。これまで夢の中で何度か手繰り寄せては糸の先に気配のない事を感じていた・・・眠りから覚め、夢の中で迷子にならず寄り添う女を見た時の感動・・・
見つめていることを知られたとは思ってもいなかった。オレの視線が恥ずかしく、目を開けられないと可愛い事を言う女。
狭いベッドでハダカンボの身体を寄せ合って眠った 2
立ち上がったオレはカーテンを開ける・・・昨晩と打って変わり眩しい陽の光が部屋を照らす。
「あのね、今日が私の誕生日なの・・・」
「お祝いのキスをしてもいい??」
「・・・して欲しい・・・」
「そうだったね。あの日、雨が降らなかったらオレ達の出会いもなかった」
「夏のウソツキ雨を<狐雨>って言うけど春だとなんていうのかな??」
「さぁ・・・春時雨かなぁ・・・??」
「あの夫婦いいね。ベタベタするわけではなく、無関心でもなく・・あそこのカップルはどう見ても不倫としか見えないけど・・・貴男に結婚の予定は??」
「・・・すぐには・・ないかな」
「そぅ・・・・それはそうと今日は何、なんか用があるの??」
「初めて会った日の翌朝、誕生日おめでとうのキスをした。去年は出張だったから言葉でおめでとうを伝えただけだった、明日はお前の誕生日、日が変わったらすぐにおめでとうのキスをしたい」
「ありがとう・・・」
「それと、今日はオレ達が初めて会った日だから・・・記念にこれを受け取って欲しい」
「何だろう・・開けていい??」
「いいよ・・・」
「えっ・・これって・・・」
「オレと結婚して欲しい・・」
「結婚したくないって言わなかった??」
「すぐの予定はないよ。秋でもいいかな??」
「ウソツキ・・・ありがとう」