サリエリの独り言日記

サリエリの独り言日記

2012.01.28
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カテゴリ: カーネーション
「虚実皮膜」の狭間で、 … 

 逆にあまりに、きれいに整序されてしまうと、「何や、これ?」ということにもなるのですが、そうでもなくて「不倫」の話は終わったけれども、糸子の未熟者としての「気付きの旅」というテーマは、まだまだ続くというところは、キチンと押さえてある。

 お金で何でも押さえ込もうとする糸子の手からは、まさしくその身振りによって、こぼれ落ちていくものがある。そして、それに彼女自身が薄々気付いている。周防に用意した豪華な仕事机は、自身の心の不安を何とか消すためのものでしたが、それを見つめる周防の表情が、糸子に自分が何を隠そうとしているのか、無残にも露わにしてしまうのです。
 彼女は昨日もそうでしたが、どうしても時々の自分の気持を「裏切ることが出来ない」。正邪を問わず、心を「鎧う」ことが出来ない人ですね(まるで、子供みたいに)。ここの気持の切り替え(「周防さんに月賦で、売り飛ばしました」)と別れの切なさ、並みのドラマなら濃厚なラブシーンとなるところですが、いかにもサラッと済ませている。私的には、もうちょっと「切なく」という感じですが、まあそれは横に置いといて … 。

 話は変わりますが、昨日の子供の土下座シーン、これも秀逸。子供は親が社会道徳的な非難を浴びたとき、どういう態度を取るか。こういう時、子供は親のほうが何となく悪いと分かっていても、必ず親を「かばう」のです。よく心理をつかんでいる。

 昔、「朝ごはんを食べてこない子供たち」という問題が盛んに議論になったことがありました。このとき「なぜ、朝ごはん食べてこない?」と学校の先生が聞いたとき、「お母さんが、作ってくれないから」と言った子は、一人としていなかったそうです(今は知りません)。子供は自分の親が、何とはうまく説明できなくても、何となく社会道徳的に「悪い」ということを感知している。感知しているからこそ、口が裂けても「親が悪い」とは絶対言いません。
 なぜなら子供は、度々の詰まり、最後の最後で自分を庇護してくれるのは、「社会道徳=正義」の側ではなく、「親」であることを身体感覚的に知っているからです。そもそも「社会道徳」は、自分の命に換えて、子供を救ってはくれません。というより、そもそも「社会道徳」には、そのような規制はないのであって、こうした事態を整序する機能は持ち合わせていないのです。こうした事態とは「生きて行くための本能」ということです。

 このあたり、小篠三姉妹は実際に土下座したのだから(事実なのだから)しかたがない、という書き込みが散見しますが、もしそういう仕方でこのドラマを観ているのだとしたら、上の例を見れば分かるとおり、その時点で視聴者は自身の心から、あえて眼を逸らしていることになる。「事実なのだから」、「そういう時代だったのだから」という身振りでドラマを観ようとした瞬間に、ドラマは他人事の安心感に閉ざされて、「真実」を開示しなくなるのです。我が身の子供の時の体験、あるいは(目の前にいる)子供の振るまいかたに、ちょっと眼を向ければ、この土下座シーンが「何であるか?」にすぐ気付けるはずなのですが。
 小篠三姉妹の来歴をいくらほじくり返しても、そこからはスキャンダラスな下卑た好奇心をくすぐるだけの中味しか出て来ません(その時、観ている側は、はるか「心理的な安全地帯」に身を置いているのです)。


 と、また、ちょっと小難しい話をしてしまいました。すいません!

― つづく ―





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Last updated  2012.01.28 11:12:46
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TNサリエリ @ Re[1]:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) ナガノさんへ  コメントいただき、ありが…
ナガノ@ Re:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) 2年遅れで、この文章を読んで泣けてしまっ…
TNサリエリ@ ふたたび、コメントありがとうございます。 cocolateさんへ 私自身、彼女の演奏に刺激…
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cocolateさんへ@ コメントありがとうございます。 三年ほど前に826asukaさんのことを知り、…

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