サリエリの独り言日記

サリエリの独り言日記

2015.07.22
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カテゴリ: スポーツ
勝負の機微

 準決勝のアメリカ対ドイツ戦は、ランキングの点でも事実上の頂上決戦で、興味深く観たのですが、果敢に先制攻撃を仕掛けるドイツに対してアメリカも攻撃で応戦し、結果的にドイツのエースストライカー、シャチッチを完全に封じることに成功しましたね。男子サッカーでも点が入ると同時に選手の動きが変わると言うか、はっきり言えば「頭に血が昇った」感じでプレーし出す。まあそれが悪く出た場合は、先のような極度に集中を欠いてファウル退場を連発、自らゲームを潰してしまうこともあるのですが、基本的には「力には力で応戦する」のはmomentum(勢い)な対戦型ゲームでは当然の反応でしょう。

 しかし何度も言いますが、「なでしこ」はそうではなかった。反撃の素振りを見せると言うよりは、明らかに自分たちのペースを何とかつかもうと、試行を重ねていたのであって、ヘタに相手の挑発に乗って乱戦に入ってしまえば、それこそ戦力を無益に消耗する結果になったかもしれません。現に4点め以降、まあアメリカ側がクールダウンしたこともありますが、「なでしこ」の防御網はようやく活性化したように見える。
 ここまでの経緯は開始二十数分の間に起った出来事です。ほとんど有り得ない状況下でも、冷静に問題点を修正しそれを実行する。これって普通のチームではなかなか出来ないのではないか?それが証拠に、これ以後のボールポゼッションは「なでしこ」が六割がた支配し、いつもの自分たちのペースに持ち込んでいるのです。
 その結果が、あるいは本大会最も綺麗な大儀見さんのシュートを生んだのかもしれない(27分)。彼女の反転シュートが個人技として見事と言うばかりでなく、攻撃の起点になった宮間さんから、川澄さん大儀見さんに到るロングパスのプロセスが、ほとんど教科書的と言って好いパターンを示しているのです。練習でもこのように絵に描いたような形は、なかなか出来ないかもしれない。細かいパス回しの交換で、相手の守備陣を撹乱してゴールを奪う、という「なでしこ」お得意の「バルサ」のような攻撃でなく、少ないパスで短時間に得点するという、新たな彼女たちの形を見た気がしました。
 私は4点差という有り得ない状況下で、華麗なゴールをしてみせた「なでしこ」を称賛したいと思う。彼女たちが想定外の事態にあって、頭に血を昇らせずに目指していたものは、あるいはこれだったかもしれないからです。

 これは何も「美しいサッカー」を目指していたから、こうなったということではない。4点差を取り返し「勝ちに行く」のに、試合開始二十分の時点で何が一番必要なのか、全員が同じマインドを共有していた結果なのです。このゴール以後、明らかに試合は「なでしこ」のペースに傾きつつあった。アメリカの突進は彼女たちの網に封止されつつあったのです。
 ここで佐々木監督は敢えて守備の要、岩清水さんを下げて、攻撃的ミッドフィルダーとして澤さんを投入しました(33分)。後半に入る前、ペースが傾きつつあるこの一瞬にしか、追加点をもぎ取るチャンスはないと踏んだのでしょう。引き続いて(39分)フォワードの菅沢さんを川澄さんに換えて投入したところにも、チャンスの機微を嗅ぎ取った監督の姿勢が伺えますね。

 このあたり、「何で岩清水が、何で川澄が」という声も出そうですが、この時点で2点差でなく3点差だったというのが、決断の大きな理由でしょう。「この試合に勝つには、今使うしかない」「最低でも2点差で後半に持ち込めば、じゅうぶん勝機はある」。限りなくギャンブルに近いとしても、目下の試合の進行はそう告げている。持ち駒は使うタイミングを間違えると、持ち腐れになってしまうのです(将棋で手持ちの飛車角を、出し惜しみして負ける人いるでしょう)。結果としての取れる確率より、「今取る覚悟」を優先した結果なので、この采配を周りからどうこう言うことは誰にも出来ません。賭けでは、賭けに出た人に任せて、私たちはその人たちのツキを信じるしかないわけです。





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Last updated  2015.07.22 12:22:12
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TNサリエリ @ Re[1]:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) ナガノさんへ  コメントいただき、ありが…
ナガノ@ Re:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) 2年遅れで、この文章を読んで泣けてしまっ…
TNサリエリ@ ふたたび、コメントありがとうございます。 cocolateさんへ 私自身、彼女の演奏に刺激…
cocolate@ Re:エレクトーンというガラパゴス 1.(06/17) 再びおじゃまします。 826askaさんのYouT…
cocolateさんへ@ コメントありがとうございます。 三年ほど前に826asukaさんのことを知り、…

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