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オキナワの中年
*『うらそえ文芸』第5号
2000/05/29
『うらそえ文芸』第5号を入手した時点において、「戦争への道・平和・歴史観」という雑誌全体の半分近くを占める特別企画に対して、私は批判的であった。新資料館問題をめぐる状況における政治的に偏ったものではないのか、という予断があったし、「文芸」の自律性という素朴な意識もあった。沖縄ではこれだけ沖縄戦に関する言説に満ちあふれているのに、何も文芸誌で特集を組むことは無いのではないか、という懐疑である。さらに四月に行われた小熊英二氏(慶応大学)の講演会の内容が気になっていたこともある。
小熊氏の講演のテーマは多岐に及び、一部分のみを強調するのは、公平性に欠けるのだが、その中に次のような趣旨があった。沖縄戦についての語りは既に硬直化してしまっており、もはや新しい世代に届くことは困難である。例えば「唯一の地上戦」という言い方に対して、硫黄島を別にしたとしても、アジア各地で地上戦はむしろ常態であり、日本本土の方が例外だ。沖縄はヤマトとの関係にのみ固執しすぎている、というように沖縄の言説を次々と相対化していく。日本軍の罪は強調されるが、沖縄の暗部については隠蔽(いんぺい)された部分もあるのではないか、という批判もあった。
聴衆の感想はさまざまのようだったが、世代も近く本土出身者である私には、うなずける点も多かった。確かに沖縄戦をめぐる言説の中には、反復される中で様式化され、硬直したものが少なくない。これは目取真俊「水滴」の一つのモチーフでもある。戦争の記憶は押しつけがましい説教と化し、若者達に忌避されていく。そのような状況下で、再び文芸誌上で「戦争」を特集する事に意味があるのか。私の懐疑はおおむね以上のような内容だった。
しかし本誌を読み進むうちに、不思議な感慨を覚えるようになった。この特集は期せずして、小熊氏の批判、あるいは私の懐疑に対する一つの答えを提起しているのではないか、という感覚である。
まず政治的偏向性であるが、これは全くない。一部現県政に批判的な論述もあるが、それは全く個人の立場からのものである。さらにこの特集の言説の多くは、他者の批判よりも自己の本質的な記憶への問いかけであって、硬直しかねない沖縄戦についての言説を、再活性化しようという意欲に満ちあふれている。
その筆頭にあげねばならないのは、船越義彰氏の「私も加害者だった」であろう。わずか三ページの短文であり、たんたんとした文体に激情はまったく現れていない。しかしその凄(すさ)まじいまでの自己凝視は、読む者の心を揺さぶらずにおかない。例えば船越氏の記憶は壕の中で、赤子の泣き声を聞いたときの自己の内面に溯航(そこう)する。泣き声に対するいら立ち、赤子の生死に関わらず、泣き声が止まったときの安堵(あんど)。さらにその後、結果的に自分の祖母を見捨てて生き残ってしまったという体験が想起される。氏はその時の自己を半世紀以上の時を経て、批判する。「私はこのように非人間的で、しかも、加害者であったことを率直に認めたところから、戦後の歳月を始めるべきであった」
一方で、ここまで自分に厳しくなる必要があるのか、という素朴な感想もある。何人たりとも、氏のような状況にいて、それ以上の倫理的な振る舞いが出来ようとは思えない。だがその一方、このような地点に出発するが故にこそ、戦争体験から遠く離れた私のような世代にも、あるいはおそらくはさらに下の世代にも、届き得る言葉が形作られていることは否定できない。戦争体験を伝えるということの、一つの極限的な形態がここにある。
嘉陽氏の「私の沖縄戦」は、沖縄戦に従軍した中では、おそらくきわめて幸運に恵まれた経験であろう。しかしその中で驚かされるのが、細部にわたる記憶の明せきさである。日本兵の一人一人の固有名や、その表情すらはっきり伝わってくる。出来事はすべてきわめて具体的で、しかもたった一度しか起こらなかった経験である。
問題は嘉陽氏らの経験を語り継ぐときに生じるのだろう。表情のあった一人一人が「日本兵」という抽象的な存在となり、一度しかあり得ない体験が、類型的な物語となる。その時、おそらく知識としての伝播は可能でも、感性に直接届く力は失われてしまう。そうなると先に掲げた、小熊氏の批判が一定の有効性を持ち始めることになるのである。
本来文学には、類型化し、陳腐化していく出来事を、虚構という方法を通じて、もう一度感性的に活性化するという力があったはずである。しかし新城郁夫氏「〈レイプ〉からの問い」に指摘されるとおり、沖縄戦そのものを描いた作品は思いのほか少ない。新城氏は敗戦後も持続する戦争すなわち、暴力、収奪、支配を告発するという点に戦後沖縄文学の役割を見いだし、私もその見解には同意するが、それにしても戦後沖縄文学が、「証言」のあまりのすさまじさ、現実の過酷さ故に、沖縄戦そのものへの表現を回避しがちだった、という点は否定しにくいように思われる。自己の創造力をこえるかもしれない現実への挑戦、そしてその再活性化、沖縄戦は決して語られすぎてはいない。むしろまるで足らない、というべきであろう。
したがって冒頭に述べた私の懐疑は、まったくの的外れである、と認めざるを得ない。文芸誌における証言の数々は、現実の側からの「文学」への挑発、もしくは告発という機能を持っている。きわめて非礼な物言いになるが、現実の証言者に残された時間はもはやそれ程多くはない。これは単に創作者のみならず、あらゆる言語表現に関わる、下の世代のわれわれに対する問いかけとして受け止められねばならないのである。
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