雫は混乱している。
「雫・・・お・・・落ち着いてェッ!!」
京子が必死になだめる。
「やだやだ!お前の嫁になるくらいなら、死んでやる!」
「お前ら、帰れ」
剛が使い達に言う。
「・・・あ」
雫も人数が減ってだいぶ落ち着きを取り戻した。
「雫・・・、おいで。莉里は大丈夫だよ」
「う・・・」
雫がぽろぽろと涙を流す。止まらない。
「うぅっ・・・っ!~~~っ、うっ、ひっく・・・」
「雫・・・」
世界が雫の肩を抱こうとした・・・そのとき・・・
「雫に触んじゃねーーーーーっ!」
剛が拳を世界に向かって打とうとした。それは世界に避けられたが・・・!
「なんなんだよ!お前のもんじゃねぇんだぞ!!雫は物じゃねぇ!!」
雫は、ドキン・・・、と心臓がなったのを感じる。
「(雫は・・・物じゃねぇ・・・か)」
「世界・・・」
「ふんっ、ばかばかしい!俺はお前と身分が違う。」
剛は京子が作った料理を手に持って嘲笑う。
「こんな、ものを毎日食べなくてすむ。もっと豪華なものを・・・、毎に・・・」
バシッ
「・・・って・・・!」
雫が怒りの涙を流して剛を殴ったのだ。
世界も殴ろうとしたのか、構えた状態で止まっている。
「ふざけるな!桜風家の悪口をもう一言でも言ってみろ!あたしが許さない!!お前みたいなやつに、ここの家族の暖かさがわかってたまるか!!」
「ふん―――――!雫、お前もそいつらをかばうが、運の尽きだ。」
「うるさい!出てけ!」
「やだ。」
そういって剛は出て行った。
「ばか、あほ、しね」
「こらぁ、雫!女の子がそんな言葉をつかっちゃだめよ!」

「莉里ちゃん大丈夫かしら・・・あっ!」
京子が言いかけて口を閉じる。
「り・・・莉・・・里」
雫は莉里の名前を聞いてガクッと莉里の名前を呟く。
「莉里ィ・・・っ」
雫は莉里の事を考えると涙が止まらなくなる。
「雫、お前とりあえず部屋に戻れ」
世界がなだめるように言う。
「うん」

部屋に入って雫はベッドにひざを立てて座る。頭を腕の中に沈めて・・・。
「(同じ年齢で女の子で・・・、優しくて、大好きな莉里・・・!忙しくても話し掛けてくれて、私が元気がないと相談に乗ってくれて・・・!
誰よりも、誰よりも身近に感じられた・・・。姉妹みたいに仲良くしてくれた・・・莉里――!)」

莉里がいないとどうしたらいいかわかんないよ――・・・

「チイ・・・、こんな風に難しい問題でも、莉里は自分のことみたいに真剣に考えててくれてたんだよ、莉里は・・・!!でも、今は・・・、いないから・・・誰に相談したらいいか・・・わかんない」
「 く・・・ん 」

「雫ちゃん・・・雫ちゃん。」
雫の頭の中に"弥神莉里〟と言う名の少女の声が響く。
「も~雫ちゃん!またドライヤーしないで寝たでしょ~昨日!髪の毛が枝毛になっちゃうよ!もう・・・結んであげるv」
笑顔で言う莉里も・・・
「・・・雫ちゃん!大怪我したらどうするの!!?無理な修行はだめって京子おばさん言ってたじゃない!世界君も!
雫ちゃん女の子なんだから少しは気使ってよね!!」

怒る莉里も・・・
「ふぁ~~~・・・!雫ちゃんが負けちゃうと思ったよぉ・・・っ!
目に涙を浮かべながら心配してくれた莉里も。

「もう・・・剛め!絶ッッッ対許さないから!!!いつまでも泣いてたら始まらない!莉里を助けなきゃ!・・・ね?チイ」


がら・・・っ!居間の扉が開く音がして京子たちは振り向いた。
「し・・・雫!!」
京子が駆け寄った。
「おばさん・・・莉里を助けます。協力してください。」
「・・・雫・・・、もちろんよ。世界?」
「何」
「手伝ってよ。」
「うぃ~」

雫はその日から朝から晩まで道場で稽古続きだった。もちろんところどころに休憩は入れはしたが。

「はー・・・はー・・・」
雫は急に「ふっ」と笑った。
世界がそれを見て
「何急に笑ってんだよ」
「え?・・・や、べつに。莉里だったらもっとちゃんと休憩しなきゃだめっ!って怒るだろうな・・・って」
「弥神ならそういうだろ。絶対にな。」
「え?」
「知ってるか?朝、弥神は朝飯作りながらずっとお前のこと心配してんだぜ?稽古・・・無理してねぇか、って・・・」
「・・・・・・(知らなかった。)」
「ま、早いとこ助けてやれよ、雫」
笑顔で世界が言った。
「・・・!! うん・・・!」

ある日・・・
『ぴんぽーん』
チャイムの音がした。
「はい?どちらさま・・・!!」
京子がドアを開けた。
「・・・こっ・・・琴川君!な・・・何しにきたの。雫との約束の日は来週よ?」
「いやぁ、べつに。僕のお嫁さんがどんだけ頑張ってるか見に来たんですよ」
「だから・・・その話は・・・!!」

京子の声が聞こえたらしく世界と雫がやってきた。

「あ゛ーーーーーーーーーーっ!お・・・っお前!!」
雫が剛を指差し叫んだ。 
「お前じゃないって・・・」
剛がクスリと笑った。
が、次に剛の視界に世界が入る・・・と。

どんっ・・・!!

急にものすごい力で世界を押した。
「うわ・・・っち・・・ちょっ・・・」
世界が後ろに頭から倒れそうになり、思わず腕を伸ばす。
「え?」
雫が振り向こうとしたそのとき・・・

むにゅっ

その場にいた全員が目を見張る・・・。

「!?」
「あ゛・・・/////(汗;」
「・・・の、変態ヤローーーーーーーッ!!!」
世界の思わず伸ばした腕は手を腰に当てていた雫の腕の隙間を潜り抜け雫の胸を握っていた・・・!(作者も汗;)
「あー・・・雫今のは琴川君のせいだとおもう・・・ 世界も確かに悪いけど。。。 」

「もーやだぁ~~~~っ!!剛帰ってよ!バカ!」
雫がずんずんと気を失った世界に歩いていった。
「・・・もう///ばか・・・! ほら!! 手当てしてあげるからさっさと立つ!!」
「う゛ぅ・・・」

剛は世界をにらみつけていた。ジェラシー?(作者が訊くな。

「だいじょぶか、世界・・・」
「・・・・・//////」
「世界?」
「あの・・・その・・・触っちまってごめんな・・・」
「んっ!?」
「悪気なかったんだけど・・・ただ・・・!」
「わかってるってば、気にしなくていいよ・・・///////」

と、言ったものの・・・!

―夕飯―
カチャカチャ・・・、食器が鳴っている。
桜風家は夕飯を迎えていた。
莉里がいないと雫は話題が浮かばない。
しかも世界とあんなことがあったあとだ。
かなり静かな夕食である。
「――――――・・・・」
「・・・・モグモグ」


ガタ・・・・ッ!

「!!?」
玄関の方から一瞬音がした。
雫と京子が行って、扉をあけた。
「あ・・・・・・・・」
「!!? きゃあっ!だ・・・大丈夫?あんたっ!!」
「世界~、救急箱用意して~!」
京子が叫んだ。
「おうおう、何事だって・・・・ん??ぅわっ!!女の子?どーして家の前倒れてんだよ!」
「わからないわよ、何か訳ありなはずよ!とにかく、家の中で手当てしないと」
「怪我してるんだから!世界早く!どいて!」

「ん」
「あ、気がついた?」
「あっ、助けてください!私、私・・・っ!!」
「落ち着いて頂戴。大丈夫、私たちはあなたを保護したわ。」
笑いながら京子が言った。
「ほらよ、温かい牛乳飲んどけ。落ち着くし、胸もこうふっくらと・・・!」
ボカッ!
「こんなときまでくだらないこと言ってんじゃないの。。。」
雫がグーパンチで世界を殴っていた。
「ポッ・・・///」
少女が頬を赤らめた。雫はそれに気づいた。
「・・・む。」
雫は不満気な顔をする。
「まぁ、いいわ。とりあえずね、あなた名前は?」
京子が訊いた。
「わ・・・わたしっ、木久佐 菜由多って言います。」
「菜由多ちゃんね、どうして、そんなボロボロに?」
「―――・・・!」
雫は黙って話を聞く。
「私の母は・・・いえ、母の父は・・・借金を抱えた男でした。」
「それで?」
「父は・・・病気がちで、年が経つに連れて病院で生活する事が多くなってきていました。でも最近ではだいぶよくなってきたので家で一緒に生活してます。」
「そう。」
京子はあくまでも冷静だ。
「それで、ある日祖父は・・・お酒を飲んで酔ったんです、そして車に衝突し・・・死にました。母はそんな祖父の借金の肩代わりに
なってしまったんです。父は病院で働けないし。私はその頃まだ幼くてバイトもできなくて、生活費から何までお金の問題は
全て母が1人で頑張っていてくれたんです!!
でも・・・ある日疲れてしまったのでしょう。置手紙を残していなくなってしまったんです。」
「最低の母親よ・・・!」
雫が声をあげた。
「いくら辛くったって自分の夫と子供を置いて逃げるなんて最低の女のすること!そんなヤツ・・・母親の資格なんかない!」
「や・・・っやめてください!うちの母をそんな風に言うのは!母は辛くても私に八つ当たりすることなんかありませんでしたし、
ご飯も私にちゃんと・・・私が満腹になるまで食べさせてくれましたよ、毎日。母はご飯我慢してくれてたんですよ!?」
「何よ・・・」
じわり、熱い思いがこみ上げてくる。
「その方がまだマシよ!うらやましいくらいだわっ!」
ボロボロ雫が泣き出してしまった。手で顔を覆い隠しながら雫が続けた。
「うちの家庭もね、あんたとそっくりな状況だった。でも・・・っでも・・・っうちの母親は!お父さんなんか放っといて他の男と毎日夜、出かけては遊んでたのよ!あたしという子供もいるのに!!」

「雫・・・!」
世界はこんなに自分のことを話すところをはじめて見たためかオロオロし始めた。

「おまけに自分の借金なんか気にしてなかった!自分の父の借金で!相当の額があった。母は・・・それを
真面目に考えもしてなかった!!それどころか毎日毎日男の為のプレゼントにお金をはたいて・・・お父さんの病院に
お見舞いに来た事なんか1回しかないのよ!?あたしは学校が終わったら毎日病院に行ってたわっ!あんな女よりお父さんと呼べるお父さんが大好きだったから!!
そして、やっと借金の事に取り組み始めたと思ったら・・・勝手に私の許婚を決めた!お金持ちのお坊ちゃんが相手!!
そして・・・母は通帳だけを持って逃げた!借金からも私という子供からも、父という夫からも逃げたの!」

これ以上雫が怒ったら菜由多に手を出してしまうかもしれない。

「そして・・・父と一緒に暮らせるようになった!私が生まれてきて一番幸せな時間だった!
それなのに・・・そんな時間もつかの間!1ヵ月後にお父さんは死んだの!!
お墓を作ってやることも出来ないで・・・父の骨は病院に引き取ってもらった!
あたしはその時まだ11歳よ?これからどうしたらいいの!・・・そしたら誰かがお葬式をやるお金を出してくれたのよ。小さかったあたしは何のことかわからなかった!
ただわかった重くて苦しい事実は・・・母は私とお父さんを捨てた!そして・・・ お父さんが死んでしまったってコトよ! 」

「雫・・・!」
京子もどうしたらいいかわからないらしい。

「1年してお金を出してくれたのが誰かわかったの。ここ!桜風家のお父さん!!死んじゃったけど、皆がいたからその事実も頑張って受け入れた!あたし今ここで幸せ真っ盛りよ!
だけど、もうあたしは・・・!!」

「あの・・・ごめんなさいっ・・・雫さん・・・!あのっ私そんなつもりじゃ」

「菜由多・・・!!あなた自分がどんだけ幸せな方か判ってる!?」

雫が菜由多に近づいていく。

「きゃ・・・!」
雫のつりあがっていた眉が下に下がる。
「あたしにはもう両親なんかいないのよ――・・・!」

それだけ言うと雫は自分の部屋の方へ走り去っていってしまった。

「あの・・・私――」
「菜由多さんは気にしなくていいよ、母さん俺雫見てくるな」
「あ・・・っ世界さん――」
「よろしくね。世界~~っ!」

「で?菜由多ちゃん、怪我のわけは」
「はい、借金を返せと向こうが仕掛けてきた暴力団に襲われたんです」
「お父さんは!?」
「父は偶々病院に行ってたので良かったです。私は逃げてきました」
「そう、追っ手に・・・!しばらくここにいて、その人たちから隠れてなさい」
「ありがと・・・うございます」
菜由多は雫の部屋の方を見ていた。微かに嫉妬の目が入っている。


「・・・・・・・・っっ」
コンコン、雫の部屋のドアが軽く叩かれた。
「・・・っ!誰・・・?」
「俺、世界」
チャッ・・・ドアが開いた音がする。
「雫・・・」
大粒の涙、すごい勢いで雫の頬を滑り落ちている。
「うぇ・・・っ、ふ・・・うっ、ぇ・・・ぇん・・・世・・・界」
「・・・雫」
「嘘なの・・・」
「え?」
「あたしに両親がいないなんて嘘なのよ、あたしお父さんがいてお父さんが大好きだったの――・・・」
「判ってるって」
「?」
ギシ、雫が腰掛けているベッドに世界も腰を降ろした。
「お前、“大好きなお父さん”って怒鳴ってただろ?」
「・・・・・・・・ぅん」
「俺も父さん居ないだろ?」
「うん」
「俺も親父大好きだから逝っちまったとき悲しかったよ、けど親父が逝ってからも親父を近くに感じたりするんだ」
「・・・・・うん」
「お前もそういう時ない?」
「・・・時々・・・・ある――かも」
「だろ?」
急に明るい笑顔で世界が言った。
「・・・へ?」
ちょっと吃驚しながら雫が涙を一粒落とした。
「肉体が死んでも心は永遠に生き続けるものだって親父が死んでから判ったんだよ。」
「・・・世界―――」
「お前の父さんの心はまだお前の近くに居ると思うよ、お前の心の 中 は?」
「お父さん?」
「うん、生きてる?お前の心の中から父さんが消えた事ある?」
「ない・・・ないよ・・・っ」
顔を手で覆い隠しながら雫がまた泣き出した。
「じゃあ、お前って幸せだと思わねぇ?」
「うん・・・~~~~~~」

世界は雫の肩を抱き寄せ、目の前のカレンダーを見つめていた。

雫の部屋のドアが一cmほど開いている。
綺麗な茶色の目が覗いている。菜由多だ。

「世界・・・ くん 、あなたは私が手に入れる・・・」
そう、一目惚れとはこの事。恋の事ならどんな手段も選ばない少女が目覚めている瞬間だった。

============「強くなれ!格闘娘☆月影雫」==========
第二部終わり。


「きゃっは~、ども~、楼希ですぅんvなんか意味判りません~、恋の方がメラメラ燃えてますね~w(何語)
三部はシリーズとしてるので名前ちょっと変わります。最終的には今の題にもどるんですけど」
でわこれからもよろしく~v

恋に勝て!思春期娘☆月影雫 へ飛ぶ★


© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: