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「痛ッ!」
頭を夜空は押さえる。
「ど・・・どしたの、急にバファ○ン飲む?」
魅琉奈がリュックから頭痛薬を出して言う。
「や・・・大丈夫。一瞬だったみたい~」
「そう?にしても・・・腹いっぱい・・・」
二人のお腹を見るとパンパンだ。
「量多いねこの・・・ホテル・・・ぅえっ」
魅琉奈がトイレに駆け込む。
「まぁ大手のホテルのディナーだからねぇ・・・」
夜空もお腹を擦りながらベットに寝そべった。

こんこん。

「ん?はーい」
次は引っかからないように、用心しながら夜空は扉を開けた。
「千歳先輩」
「お風呂入った?」
「え、・・・いえ食休みしてたんです」
「おぇ・・・あれ、先輩」
お腹を擦ってトイレから魅琉奈が出てきた。
「もう、二人ともだから無理しちゃ駄目って・・・橘君にも言われたのに――」
「「すいません゛~」」
「しょうがないわねぇ、ほら」
ポケットからゴソゴソと薬を取り出す。
「お風呂入るわよ、時間制限あるんだから」
「はーい」
「あり?ねぇ、魅琉奈~、洗顔石鹸ある?」
「ぬぃ?アーあるよ。忘れたん?」
「そー・・・」
「早くしなさい!」
千歳が少し語気を強めた。
「すんません~」
三人の少女はエレベータに乗り込み姿が見えなくなった。


「あ゛~、気゛持゛ぢい゛い゛ー・・・」
湯に浸かっている魅流奈が体を伸ばす。
「魅流奈おばくさい~!!」
夜空が笑う。
「しっかし・・・外から見えるだろ、この風呂――」
露天風呂から空を見上げながら魅流奈が言う。
「そうね・・・でも・・・私たちは男の人には見えないし、問題ないわね」
「は?」
「千歳先輩のぼせて、頭おかしくなっちゃったの?」
「え~、学年トップのあの優等生美女が~??!」

ごちっ・・・

「痛ぁい~・・・」
「千歳先輩何するんですかぁ」
二人が頭を抑える。
「どーもこーも。人のこと好き勝手言ってくれちゃって・・・( ̄∇ ̄#)」
「ごめんなさぁい」
「じゃあどーして男の人には私たちが見えないの?」
「私が術を掛けたの」
「他の女の人かわいそう~」
「人のことは自分のことの後!」

千歳は腰に手を当て言った。

「オニ。」
「なんか言った?」
「いえ~・・・」
観琉奈は湯船に潜った。


「いーお湯だったぁ~・・・」
「来て良かったネェv」
「本当・・・最近ずっと忙しかったから――疲れが取れるわ」
「うんうん」
「痛・・・」
「ちっ・・・千歳先輩!どうしたんですか!?」
「だ・・・っ大丈夫よ、傷が少し痛んだだけ」
傷とは、リュガイによって傷つけられたものである。
腰には包帯が巻いてある。
「もう夜遅いわ、二人は早く寝なさい、明日海で遊ぶんでしょ」
「・・・っわぁ」
「・・・//////」
二人は呆然とした。感嘆が漏れる。あの千歳が輝かしい笑顔で笑っているのだ。
「何?」
千歳がキョトンとした顔で二人に問う。
「いっ・・・いえ!!」
「(わー、わー、吃驚したなぁ。先輩やっぱり美人だなぁ。笑うときれいだなぁ)」

「はぁ・・・疲れた~、早く寝よっか?」
部屋に入って夜空は魅琉奈に訊いた。
「ばーか、夜空。こんな日に早く寝るなんてもったない!夜更かしするの!」
ニシニシと笑いながら歯をみがいた後、一つのベットに二人で寝そべった。
「ここで話そ?眠くなったらすぐ寝れるv」
「・・・うん~」
夜空は渋々同意した。

「わっ・・・悪いわね。かける・・・」
かけるが千歳の部屋に来ていた。
「あぁ・・・堕天の攻撃による傷は、聖天使は邪気を抜かないと・・・」
「・・・っっ」
僅かな痛みが走ったのか千歳が口の端を歪める。
「痛いか?」
「うん、我慢するから・・・早くやって・・・」
かけるは掌から眩く霞む様に放たれる光を千歳の傷口に翳した。

「ねぇ・・・」
「ん?」
「あの・・・堕天・・・」
「あぁ、初めてみるヤツだったな。おまけに天空魔法石なんかもって・・・何者だろう。魔力も強そうだったし。強敵かもな」
「違う違う!そうじゃない・・・そうゆうことじゃないのよ・・・」
「何?」
「あいつ・・・夜空に似てなかった?」
「・・・っ!!あぁ。僕も思ってた。」
「紙一重だわ。胸騒ぎが止まらないの・・・。どうして・・・あんなに・・・」
「偶然というには出来すぎ・・・と考えたほうが正解かもな。」
「えぇ・・・」

「夜空?さっきから無口だね」
「・・・え?あ。ごめん・・・ただ――」

『あたしは瑚雪・・・』

『私が怖いかい?夜空嬢。』

『氷の心は溶けやしない。』

瑚雪・・・さみしそうだったな。悲しみとか怒りとか憎しみが交じり合った表情がよく見れた。
なんかあったんだよね。やっぱ。堕天ってもともとの堕天と聖天使が堕天にされてしまった場合があるって
千歳先輩達言ってたもんね。
瑚雪って名前・・・あの人のイメージにあってない気がするな。深く考えすぎだろうけど。
親の事が気がかりなのかな。
なんか、大人の割りに不足した部分が多そうだったな。ボケてるって言うか・・・。

記憶・・・途中が欠けてるみたいな――・・・

「夜空!!」
「はうっ!!?」
「もう!何回呼ばせんのよ!眠いの?寝る?」
「ううん・・・話のネタ。思いついちゃったv」
「え!?本当ッ??」
何が嬉しいのか知らないが魅琉奈が顔を輝かせる。
「何の話~?」
わくわくと魅琉奈が問う。

「瑚雪の話・・・」

その瞬間、魅琉奈の動きが止まり、二人は深刻な顔になった。
「気になってた・・・?」
「うん・・・」
「夜空と似てたよね・・・」
「自分じゃわかんない。けど・・・似通った点が少し・・・あったかも――」
「あの人・・・もう、二十代後半かなぁ・・・」
「うん多分・・・、青春は終わってる感じだった。」(←笑・
「そうだよね、じゃあ・・・夜空とはあかの他人かね?」
「そうだね・・・ただ、堕天ってだけだよ・・・・天空魔法石持ってるのが気になったけど。」
「そうよね!あんな色が穢れちゃって!堕天が持っていいものじゃないっちゅーのっ!!」
二人はいつの間にか眠っていた。


「橘先輩っ!」
「夜空・・・」
「へ?」
「橘なんて・・・柚紀って呼んでもいいんだよ?」
柚紀の唇が夜空の頬へと向かう。暖かな手が夜空の頬を包む。
「えっえっ!!せ、先輩っ!?////」
「しっ、黙って・・・」
「え・・・あ・・・はい・・・///」
二人の唇が重なる―――


どったん!!

「んぎゃっ!!」
「ばっかでぇ~夜空、ベットから落ちてる。」
「・・・(ゆ・・・め?)はぁ~~よかったぁぁ~~///」
「何が?」
「何でもっ!!夢・・・か」
夢だとわかった瞬間になんとなく感じた寂しさ。
「(そうだ!いつかあんなふうになる為に片思いがんばるんだ!)」
「?」
魅琉奈は夜空の思いを知る由もないのであった。


かちゃ。
目覚めの悪い朝と目覚めの良い朝。
それぞれ別の朝を迎えた二人はドアを開けた。
すると廊下には千歳とかけるが居た。
しかし雰囲気はどうやらいつものミステリアスな物とは違い、千歳は感情をむき出しにして怒っているようだった。

「最っ低!!こんなことするために私達を誘ったの!?私なら未だしも夜空たちにも手出しするなら・・・っ!!!」
「・・・ちげーよ」
「何が違うのよっ!!!?」
「落ち着け、千歳。まだ六時なんだぞ。」
「そうやって言い訳して!!本当に最悪だわ!!もうアンタには何があってもドア開けない!理由があったってだめよ!!
これじゃあ身体が幾つあったって足りない!次はないわね、次あんな状態になったらアンタに襲われ・・・!」

はっと二人の存在に気づき千歳とかけるは口げんかをやめた。
「な、なにかあったんですか・・・?」
不安そうに魅琉奈が訊く。
「え・・・!」
かけるが言葉に詰まる。
「なんでもないわっ、二人だけでかけるに近寄るんじゃないわよ、何されるかわかったもんじゃない・・・!」
かけるを睨みながら千歳は二人の部屋に夜空と魅琉奈を連れて一緒に入った。
「・・・・ったく・・・」
ふぅとかけるが溜息をつく。

「いー気味v」
「!?」
かけるが後ろをふりかえると満足そうに笑みを浮かべたリュガイが居た。
「何しにきた。」
「何って・・・千歳の見舞いv」
「ふざけるな!堕天のお前が千歳に近づいたら俺は・・・!」
「『俺は』・・・何?」
「・・・っ!」
「まぁ喧嘩してたみたいだし。俺としては大歓迎♪」
「あっそーかよ」
「何で喧嘩したのぉ?」
にたにた笑いながらリュガイは訊いた。
「お前に話す義理なんてない!」
バンッ!!勢い良く扉をしめてかけるは部屋に入った。

「あらら~vまっあいつと千歳が喧嘩してる方が俺には好都合だねv」


「千歳先輩・・・何があったんですか?」
「なんでもないわ。ごめんなさいね、起こしてしまって・・・!」
「いえ、私は平気ですけど夜空は自分でベットから落ちたんですv」
ぎゃははとわらって魅琉奈が言った。
「~む~~~!」
「くすっ」
「あ。」
「お。」
「何?」
「いえ、先輩が笑ったなーと」
「昨日で二回目だね!魅琉奈!!」
「まったく・・・」
優しげな笑みを浮かべる千歳の表情に曇りが出る。悲しげな寂しげな。
良く見ると右手はパジャマの中に潜り鎖骨辺りを触っている。
「怪我してるんですか?」
気づいた魅琉奈が訊く。
「なんでもないの・・・本当に」
「「(そういわれても・・・)」」
「(ねぇ)」
「ねぇ?)」

「「(これは絶対なんかあったな☆)」」

千歳の態度は二人の好奇心を煽ってしまったのだった。

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