○・。Ｍooncalfの絵本。・○

21-25

21■■太陽と月と地平線と■■

貴方は太陽
積もり積もる罪の意識を
焦がすほど力強く
その生（せい）の躍動を
鼓動に刻んで伝える君

貴方は月
抗えぬ運命（さだめ）を
受け入れるほど儚く
そのひんやりした手で
そっと私の頭を撫でる君

貴方は地平線
心もとないこの私を
抱きしめるほど広く
その限りなく深い心で
私を許し、愛する君

そんな貴方だけど
ねえ
私が貴方のたとえに
太陽と月と地平線を思い描いた
その理由（わけ）を知っている？

貴方は太陽、月、そして地平線
手を伸ばせば届きそうなのに
走れば追いつけそうなのに
どんどん遠ざかってしまう
そんな彼らのように
貴方と私の距離は、縮まらないの

22■■それでも■■

私はこの言葉が好き
なんて心地よいんだろう
罪深くて
どうしようもない、こんな私の
全てを受け止めて
全てを許してくれるような
そんな、優しい言葉

それでも、好き
それでも、忘れられない
それでも、貴方の幸せを願う

言葉にするだけで、ほら
まるで洗いたてのシーツにくるまった
無邪気な赤ん坊のように
真っ白な光に
生まれ変わる

ねえ
罪深くて
どうしようもない、こんな私だけど
たった一言でいいの
耳元で囁いて

“それでも、僕は・・・”

23■■しらないまち1■■

ありったけのお金を
機械に投げ込んで
切符を買った
貴方と同じ
名前の町まで

貴方から離れるために
貴方を忘れるために
この町にさよならしようと
思っていたのに
気づけば　貴方の
名前ばかり心で叫ぶ
貴方の名の入った切符を
握りしめている

さあ
貴方と同じ名前の
しらない町へいこう
そして　いつか
一輪の花を買って
ありったけのお金
機械に投げ込んで
再び戻ってこよう

この町に
貴方のいるところに