○・。Mooncalfの絵本。・○

○・。Mooncalfの絵本。・○

36-40



36■■どうしようもない■■

私は今、すべての人があの人に見える
そしてあの人を思ってしまう
もう終わったことなのに
もう仕方のないことなのに
すべての人があの人に見える
あの人を思ってしまう
あの人はもう
遠い 遠い人なのに

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37■■桜草■■

恋は、いつからか始まっていた

春一番に咲くと言われる桜草でさえ
いつ咲いたのかわからないように
いつからか貴方は私の瞳に住みついて
桜草のように 淡く 淡く
私の心を塗り替えた

紫陽花が咲き始め
人知れず桜草が散るように
いつかこの恋が終わりを告げても
あの淡く優しい花を見るたびに
私は貴方へのこの想いを思い出すだろう

どんなに寒い冬がこようとも
どんなに長い冬がこようとも
必ず春は来て 桜草が咲くように
どんなにこの世界が変わっても
どんなに私が変わったとしても
春が来るたびに 貴方を想い
心に淡い花を咲かすだろう

そう
恋は、いつからか・・・

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38■■共犯者■■

ピリオドの言葉を言ったとき
君はその大きな瞳いっぱいに涙を浮かべて
無理ににこっと笑ってみせて
ネオンの明るい街の方へと駆けていった

わかってるんだ 
優しい君は今頃
自分の無力さを責めているだろう
でもその必要はまったくない
むしろ責めるべきは僕なのだから
優しい君は その慈悲深い心で
こんなどうしようもない僕を受け入れてくれた
わかっていたのに
そんな君への想いを 僕は捨てた
『あの頃』のように 裏切られて
取り残されたくなかったから
捨てられる前に捨ててしまおうと
気づいていたのに
優しい君へ募る想いに

ああ あそこで優しく光る月のように
誰にでも優しく照らしかける月のように
一握りでいい
一握の優しさが僕にあったなら
優しい君を 泣かせずにすんだのだろうか

ああ 全てを悟り
あやすように なだめるように
月が僕を照らす

そう、まるで共犯者のように

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39■■泡沫の世界■■

君が目を覚ましたら
私を忘れてしまうけど
私は霞の向こうから
呼び続けてる 君だけを

もしも夢が泡沫の世界なら
この世界は何なのだろう
もしも夢が泡沫の世界なら
人はなぜ夢で心通わすのだろう

誰もが皆
夢の通い路を通って
誰かに逢いに行っているのに
どうして 目が覚めたら
全てを霞の向こうに
置いていってしまうんだろう

それでも夢の通い路通うのは
愛しいあの人に逢いたいから
現(うつつ)の世界で泣くことになっても
愛しいあの人に逢いたいから

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40■■犯罪めいたシンパシー■■

彼だけは
好きになっちゃいけないよ
それは私の声なのか
神の声なのか
どちらにしろもう遅い
どうしようもないあの人に
犯罪めいたシンパシーを
感じてしまったから

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