2005年度版 凌の紹介状試案






いつもお世話になっております。たけのこ学級・1年1組の凌(りょう)
の両親のの夫婦と申します。
これから皆さんにお世話になる上で、現在の凌の状態をお知らせさせて
いただこうと思います。

私どもの二男・凌は平成15年7月、自閉傾向があることがわかりました。
そして色々検査をした結果、現在広汎性発達障害であると診断をうけました。
凌の場合はいわゆる高機能自閉症とADHD(注意欠陥性多動性障害)ですが、
広汎性発達障害は色々と種類がある為、次はどのような判定結果が出るかは分かりません。
自閉症というとよく“引きこもり”“躾のせい”等々の間違った情報が伝えられたりしますが、
全くの誤解です。
自閉症は生まれつき脳の中枢神経の一部に傷があったりセロトニンと言う脳内物質の不足で情報伝達がうまくいかない“コミュニケーション・認知障害(認知症ではありません)”だと言われています。
今の医学では原因ははっきり分かりませんし、今ある症状が軽くなって終わりということはありません。新たに“てんかん”等別の症状が出てくる場合もあります。
また年齢によってさまざまなことを乗り越えて行かなければいけません
発達障害といっても100人100様で1人1人症状は違いますし風邪が治るようには治りませんが確実にゆっくりですが成長はします。
実際、凌も保育所時代、保育士の先生方のご尽力と草津市で行われている「言葉の教室」、また「B学園でのOT(作業療法)・ST(言語指導)」などのお陰で年々少しずつですが、出来る事が増えてきました。
またとりあえず、「高機能自閉症」という事で知的障害は軽い自閉症です。
自閉症だからといって皆がみな知的障害になるとは限りません。

ここで凌のこといついてご説明させていただきたいと思います
★ 凌の自閉症の特徴として次のようなことが挙げられます。★

■ 言葉の発達が遅いです。
 その為、正確に自分が思っていることが伝えられませんし、また、イントネーションが おかしかったりします。まだまだ赤ちゃんぽさがぬけません。
 保育所の先生方のご尽力やお友達の影響でかなり発達はしましたが、やはり特徴のある喋り方をします。 
 時にはいわれたことのオウム返ししか出来ないこともあります。 その時は言い方を変えれば指示が通る場合があります。
 単語(意味の理解度は不明)はたくさん内に秘めているようですが
 使い方があまり上手でなく間違った言い方をしている時は正しい言い方で答えて頂ければそのうち正しい言い方を身に付けることも出来ます。

■ 色々なこと物などに強いこだわりをもちます。
その為いつもと違うと感じればとても不安になりパニック(かんしゃく)をおこします。
パニックが起これば手がつけられないほど暴れます。
(このパニックも頭をたたいたり掻きむしったり(自傷)と人それぞれですが、
凌の場合は人に攻撃的になったりまた近くにあるものなどを投げたり(他傷)します。
けれど最近は、すねる・ふくれる等の感情表現を習得したので泣き叫ぶ事はあっても
以前よりは多少なりとも攻撃的なところは少なくなっているようです)
 この場合治まるまで見守ることが大事で否定されたりやたらと声掛けをしたりかまわれると余計に酷くなります。
 パニックはいつもと違うことへの不安を自分なりに解消するための1つの手段です。
凌の場合は大変ご迷惑をお掛けすると思いますが泣いて暴れている時は
何か不安なことがあるのだと見守っていただければ幸いです。
落ち着くまでどこか一人になれる場所を作っていただけると早く落ち着けることもあります。
日本テレビ系で放映されていた、「光とともに・・・」をご覧になって
おられた方はご存知かもしれませんが、光君のようにダンボールハウスなどの狭いところは特に落ち着くようです
今でも家で時々洗濯物やクッションなど自分の周りに「巣作り」のように集めてその中でほんわかしてるときもあります。小さい頃はこれが頻繁にありました。
最近ではかなりなくなってきましたが、それも成長の一つだと思っております。
絵を描くのは筆圧が弱く下手ですが造形は好きなようで粘土で団子3兄弟を作ったり積み木でお家を作ったり、おままごとでご馳走を作ったりしています。
またちゃんとした絵にはなりませんがぐるぐる色鉛筆などで線を書き「迷路」だと言ったりしてます。
一番すきなのは水彩です。これも何が書いてあるのか分からないくらいですが、いろいろな画材の中で書きごごちがいいのだと思います。
ビデオ、絵本は大好きでその中にあったことを再現してもらおうとします。それができないとパニックを起こす事が多々あります。見て面白いと思ったことは再現しないときがすまないようです。
トミカやプラレール・トーマスは大好きで一日中やっていても飽きません。

■ 不快な事に関する感覚がビンカンです。
 そのため、少し服やズボンがぬれただけでも全部脱いでしまいます。
 それを所構わずやるのでたまに真っ裸で園内を走り回ってる事もあります。
 もしここで脱ぐ事を我慢させるとパニックを起こします。
そしておしっこを漏らすのが今では大っ嫌いなのでトイレの場所がわからないところに連れて行かれるとズボンとパンツを下ろしてその場でおしっこをしてしまいます。
長い間我慢するくせに自分からは「おしっこ!」となかなか言わないので
結果的にこうなってしまいます。
先生方にはできるだけ雨の日には晴れ間があっても校庭がぬれている場合はズボンの裾を長靴に入れていただき、また初めていった所ではトイレの場所をしっかり確認させ、何度となく声をかけていただけるとこういった失敗も少なくなると思います。また大きな音やガヤガヤした音が苦手でこうした場では耳をふさいで「うるさ~い!」と叫びます。このときもこういった言動をあたまから阻止しようとするとパニックを起こすので「そうやね~」などと本人の意思を肯定しながらでも「静かにする事」を教えていただくといいかとおもいます。自閉症の特徴に“赤ちゃんの泣き声を嫌がる”ということがありますが、凌は赤ちゃんが大好きで、「可愛い、可愛い」といっています。

■ 人とのコミュニケーションを持つのが苦手で、他の人と感じ方がちがいます。
その為、「おはよう!」など声をかけていただいても反応しない場合が多々あります。
自分に言ってもらっていると分からないからです。
最近は以前より自分からいろんな方に大きな声で「おはよう」言えることも増えてきましたが、まだまだ挨拶は難しいようなので、もし挨拶して頂けるなら凌の顔の目の前で「おはよう」と言って頂ければ挨拶も出来るようになっていけると思います
そのほか、自分が嫌なことが他の人にとっても嫌なことなのだということが分かりません。
その為、喧嘩の時など自分は「たたくな!」といっておいて人を叩いたりしてしまいます。
相手の気持ちを理解することが難しいのです。
そして、しつこくされる事が大嫌いなので何か教えてもらうにしても覚えないからとしつこくされるとものすごく嫌がりパニックを起こしたりすることもあります。

■ 言葉を耳で聞いて理解するのが苦手です。目で見て覚えることは得意です。
その為、悪いことをしても言葉でダメといってもよくわかりません。
しかし、上記のようなことがあればダメなことはダメと分からせなければいけません。
なので目の前で大きく×をつくり「たたいてはだめ!痛いからだめ!」などと目を見て厳しく言っていただきたいと思います。
言葉で「だめ!」といわれるだけより、動作を交えて教えていただけるととても覚えやすいようです。そのときは泣いてパニックを起こすかもしれませんが少し間をおけば受け入れられるときもあります。
視覚に訴えられることを覚えるのは得意ですのでどんなことでも目で見てわかるようにしていただければ幸いです。
何かの順番や道などはとてもよく覚えていて(これもこだわりをもつ性質ゆえですが)違う事をするとこちらに注意してきます。
スーパーでもどこかへ行ってしまっても必ず戻ってきます。
(本人が迷子になったという意識が無いとも言えますが・・・)

★凌のADHDとしての特徴は次のようなことが挙げられます。★

■ 落ち着きがなく同じところにじっとしていることができません。
   そのため先生一人対生徒何十人といった場で他のお子さんのように席にじっと座っていられません。しかし療育(言葉の教室やびわこ学園で練習)の場ではマンツーマンなので30分でも課題をやり遂げる事は出来ます。
今のところ本人が何故ジッとしてられないのか言葉が未熟なため要領を得ませんが状況判断が出来ないためと、とても気が散りやすいためだと思われます。
  また、目を離すとすぐどこかに行ってしまったりします。(その時はとても素早いです)
  なので、保育所内でもあちこちを転々と放浪していた様です。
  特に職員室、保健室など大人ばかりで静かなところは大好きなようでいつもお邪魔させてもらっていました。

■ 気が散りやすく、こだわりのあること意外は持続出来ません。
凌のこだわりはモノの位置やどこかへ行く道順など1度インプットされた事はこだわりとなり変化を嫌います。何らかの変化が頻繁に起こればパニックはもちろんのこと今まで出来てたことも出来なくなってしまいます。
応用が利きません。変化を起こされる前には出来るだけ前もって
「○○を**します!」
など何度も教えて頂いてからであればなんとかなるときも増えてきます。
いろんなものに興味を引かれ特にパトカーや救急車の音には敏感ですぐ見に行こうとしたりします。好きなことは何時までもやっていますが、苦手な課題があったりすると特に集中できません。


 ☆ そしていま、凌の情緒は4歳児とかわりません。   ☆
人は好きなのでよっていきますが、自分が一番でないと嫌だったり、人に真似される事が嫌いだったり、我が通らなかったりでパニック(かんしゃく)をおこします。
遊びの取っ掛かりは「戦いごっこ」だったり一方的に喋りかけたりでなかなか「仲良く遊ぶ」ということの理解ができていない状態です。
恥ずかしい・みんなと同じにできないからしない、人数や雰囲気に圧倒されて1年1組の教室に入れなかったり、集団行動が取れなかったりします。
また人の真似はしますが、真似される事が大嫌いです。
たとえそれが凌が歌っている歌を一緒に歌おうと歌いだしたとしても「真似をされてる」と思ってしまい怒り出します。
また被害者意識が強く自分がしたこととそれによって生じた揉め事が自分のした事でとは思わず、「**しよんねん」とされた事だけ印象に残ります。
どうしてやればみんなと一緒になかよくできるか、ほかの子達に凌という子のことを理解してもらえるのか模索中です。
ゆっくりではありますが情緒の成長とともに解決していけることも多いと思います。


生涯付き合っていかなければいけない障害です。
これからご迷惑をお掛けすることが沢山あるかと思いますが、
決して障害があるから甘く見てくれということではありません。
凌の奇異な行動が障害から来ているものであり、まだ6才の自分では
どうしようもない、どうすればいいか分からないことなのだと
ご理解頂ければ幸いです。
とてもややこしい奴ですがこれから生活していく中で凌の障害を
“ちょっと変わった性格”的に思って頂いた方が良いかもしれません
どうぞ、宜しくお願い申し上げます。






© Rakuten Group, Inc.
X

Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: