江戸東京ぶらり旅

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世界の魚市場・築地から



 「カジキマグロ」と呼ばれることもあるのですが,これはスズキ目に属していてマグロとは何の関係もないのです。「カジキ」と言うのが正確で,この仲間では「マカジキ」が一番美味しいといいます。旬は冬ですから,今の内にたくさん食べておきたいですね。でも大型の魚というのは,プランクトンを食べる小型の魚,小型の魚を食べる中型の魚,これを食べるより大きな魚,そしてこれを食べる大型の魚,というように,大型の魚は食物連鎖の頂点にいますから,有害な物質も濃縮されているはず。だから妊婦はあまり頻繁にマグロやカジキを食べないようにと言われるのです。でも少しなら全く問題はないのですが。

 「マカジキ」の英名はStriped Marlin,青い縞模様が特徴です。刺身としてよりは切り身で売られています。これを照り焼き,ムニエル,フライでいただくのですが,やはり新鮮なものを刺身で食べるのが最高です。脂の乗った真っ白な肉に醤油をつけてもはじくようなもの,歯ごたえも十分で美味いですよ。ただ漁獲量がそれほど多くはないので,高価です。


 魚市場で見かけるマカジキは,鼻のあたりでノコギリでちょん切られたように,上顎が除かれています。この先には著しく尖った吻(ふん)があり,これが輸送に邪魔になるし,危険だから切り取ってしまうのです。それで,カジキの仲間はこの吻で舵木あるいは梶木(船の舵をとる硬い木板)を突き通すことから「舵木通し」と呼ばれ,それが「カジキ」という名前の由来だというのです。

●これで我慢してください,この美味さは誰にも教えてはいけません●



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 鉤にに引っかけて「釣るし切り」,アンコウは何から何まで食べられる優れもの。深海魚なのですが,肉食性で口がでかく,内側に向いたするどい歯があります。海底で獲物を静かに狙うのですから口は多少上に向いています。口の上には獲物をおびき寄せるための棒状の突起物がついています。この突起物に興味を示して近寄ると,でかい口でがぶっと食われるのです。英名はAngler fish,つまり「釣りする魚」,納得,合点していただけたでしょうか。

 「つるし切り」をするのはアンコウの体がグニャグニャ,ヌルヌルしているからでまな板の上で切ろうとしても無理。柳肉(身肉),皮,胃,肝臓,卵巣,えら,ヒレのどれも,これじゃ捨てる部分がないのですが,アンコウ鍋として食べることができます。


 私は白菜やネギ,キノコ類を加え味噌で調味した鍋が好みです。鍋の中から海のフォアグラとも呼ばれる肝臓(アンキモ)を発見したときの喜びは格別ですね。他の部分もつるつるとしてコラーゲンたっぷりといった感じ。これに熱燗があればなおよろしい。なお東京ではあっさり醤油味で上品にいただくのですあが,これも好みですからね。私は断然味噌味です。

 私たちが食べるアンコウはメスで,オスは大きくなりません。それどころかオスは産卵期にメスに食われてしまうのです。オスは大変ですね。旬は寒くなった暮れから年明け,でもその後だって美味しく食べられるのですが,なんと値段が下がり,ねらい目はこのあたりかな。


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 今日のテーマは,「料亭の味を家庭で演出」です。素材はアンコウの肝。それではどうぞ。

 メスのアンコウの肝臓がアンキモ,「海のフォアグラ」とも言われ,濃厚な味わいで酒の肴には絶好。料理屋で出されるアンキモは高価なので,家庭でこれをつくれないのか,ということですが,生のアンキモそのものはそれほど高くないので,一度挑戦してみたいですね。

 まずは生のアンキモを入手しなければならないのですが,これは魚市場に頼んでおくか,ネットで探すか,何らかの方法があります。それでアンキモの作り方ですが・・・

 キモに血合い(血管)があればこれを綺麗に除きます。表面の脂や汚れなども除きます。次に軽く塩を振ってキッチンペーパーに包み,1時間ほど冷蔵庫で寝かせます。

 寝かせ終わったら,お酒でキモの表面の塩をよく洗い流します。ここが肝腎なところなのですが,こうすることで臭みがとれます。サランラップに包んで太い棒状に成形。ラップの両端はねじっておきます。さらにアルミホイルで包んで,強火で30分ほど蒸します。これでできあがりです。

 冷え切らない内に適当な大きさにスライス,器に盛りつけ,紅葉おろしを添えていただきます。これが酒飲みにはたまらなく美味いのですね。料亭で二切れくらいのものがいくらするのでしょうか,どんでもない高いものでも,自分で作れば料亭の味をお安く堪能できるというわけです。さあ,やってみましょう。


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 冬の味覚,鱈ちりを熱燗でぐいっと一息。
 好みの野菜を入れ,絹ごし豆腐を沈めて,醤油おかかの出汁にちょいとつけて。

 マダラ(真鱈)はタラコをつくるスケトウダラより大型のタラ,大きいものは1mを超えます。体色は褐色で背中側にはまだら模様があり,これがマダラの語源のようです。

 このタラの中のタラ,マダラは下顎に1本のひげがあり腹部が大きく膨らんでいます。この魚は肉食性で,貝類,頭足類,甲殻類,小魚などいろいろ食べます。何でもたくさんたべてでかい腹,鱈腹食べての「鱈」なのです。

 今ご紹介するのですから旬は冬,身は柔らかい白身なのでソテーやムニエル,フライにも適した魚です。身を干物にしたものは「棒鱈」(ぼうだら)と呼ばれます。

 雄からとれる白子(しらこ),精巣ですが,新鮮なものなら生で食べられます。こくのあるとろっとした味で,天麩羅にすると最高級の料理,料亭の味となります。雌の卵は醤油と味醂で煮てご飯のおかずになりますが,こちらの方が値段は安い。マダラは何と言っても雌が大切にされます。なおマダラの新鮮な身は刺身でもいただけるので,土地によっては寿司ねたにされることもあるようです。


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