深秘の華苑

深秘の華苑

PR

×

Profile

黒左右衛門

黒左右衛門

Calendar

2002.12.07
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
狡い誘い文句に勝てないあたしは未だ子供で、彼は大人なのだろう。でももう逢わない。
 余程苦痛だったのか、其の約束を思い出すのに酷く時間が掛かった。
 前日に彼から電話が有って(思い出して)、夕方位に待ち合わせをした。久々に逢ったタカユキさんは別段変わった所が無かった。其の代わり、彼と逢っていた頃ストレートだったあたしの髪がゆるゆるパーマになっていた事を指摘された。
「ストレートが似合っていると思っていたけど、此も良いね」
 いきなり誉めモードかい、と思ったけど其れは口にせず、いや、別に髪型が変わっても不細工には変わり有りませんから、と答えたら相変わらずだと笑われた。前の様に肩を抱いてくれて、車へ移動した。そして車に揺られ乍ら世間話をしつつ、彼が前にあたしを連れて行きたいと云っていた和食屋さんに入った。電話をしている為か何なのかよく解らないけど、今まで逢っていなかったのが嘘の様に前と同じような空気だった。其れに気付いてちょっと車の中が苦しくなった。
 その和食屋さんで何とかと云う名前の付いた天麩羅と茶碗蒸しとお刺身の揃った定食を頂いた。海老の天麩羅が御丁寧に頭を付けたまま身の部分に衣を付けて揚げてあるタイプの物で、海老の顔恐怖症のあたしは心で泣きながら頭をもいだ。親と来ていたら親に頭をもいで貰い兼ねない勢いで厭だった。其の時、余程悲しい顔をしていたのか彼に突っ込まれた。「海老の顔駄目なんです、怖いでしょ?」と正直に云ったら笑われた。確かにええ歳して云う事では無いけど、厭な物は厭なんだ。あの髭と目が怖い。伊勢海老だって、お刺身が縦割りされた殻の中に入れてある場合は箸を付けないかもしれない位に厭だ。と説明したらどんな育ちをしているのかと又笑われた。…普通の一般庶民の暮らしですよ、怖い物は怖いんです。と云い乍ら茶碗蒸しを頂いていたら、底に銀杏が入っていて又もショック。此は無言で口に放り込み殆ど咬まずに飲み込んだ。銀杏も駄目なのね。そこら辺りから食べ物の好き嫌いの話になって、あたしの貧乏舌っぷりを暴露した。嫌いな物の攻撃に遭ったものの、全般的に美味しかった。特に茶碗蒸しと鱚の天麩羅の軽っぷりが。タカユキさんが連れて行きたいと云ってくれたのが解ったような気がした。ビールを呑んでいたのも合って、再会した当初よりは気持ちが落ち着いた。でも横隔膜辺り(多分)が重いのには変わりが無かったけど。

 食事を終えてから少し別の店で呑む。酒量が上がってきた所為か、タカユキさんがおおっぴらに口説き始める。気持ちは変わらない、二度と逢えなくなるのは厭だ、云々。此処で曖昧にしたままだと良くないのは解っていたので、ストレートには云えなかったものの婉曲に元の関係に戻る事をお断りした。
「それでも、又逢ってくれる? 今日みたいに食事だけでいいから」
 卑怯だな。大人のやり方ね (by 中森明菜)。

 きっとここら辺りで勝てないあたしは未だ子供で、彼は大人なのだろう。

 でも、もう逢わない。逢っていたら何時か負ける。
 そう小さく思った。

 店を出て、最寄りの大きな駅に送って貰う。呑んでいた時、手を繋がれただけで本当に手出しはして来なかった。紳士だ。でも此の男は逢った其の日にホテルに誘った男だ。油断できへん、このままハンドル切られて駅の向こうに有るホテル街に突っ込まれたら逃げられへんやろな、と思っていたら普通に最寄り駅に到着した。食事と送ってくれた事に礼を云って左様ならを云って車のドアを開けたらタカユキさんも車から降りてきた。何やろ、と思ったら凄い勢いであたしの方に回ってきてぎゅう、とされた。吃驚した。
 漫画やんか此では。吃驚するわ本当に。
 彼は上着は着ていない。ワイシャツだけだ。寒いだろうに。て云うか、この駅のど真ん前って可成り人が居るのですが恥ずかしいですあたしと思ったけど口には出来なかった。
 久々にタカユキさんの匂いを嗅いで、一寸どきりとした。
「約束だからね。又逢って」 
 云われて解放された。改めて今日のお礼は云ったけど其の言葉に対する返事はしなかった。卑怯者だからね。

 電車に揺られて自分の家の最寄り駅に着いた。自転車を漕ぎながら今日の事を回想した。其の時電話が鳴った。彼氏さんからだ。
 今何処なん?外か。訊かれて学校帰りだと嘘を吐いた。他愛ない話をする。彼氏さんは今日は休日出勤で、明日も埼玉の山奥まで行かなければならないらしくブーブー云っていた。「ええやんか美味しいラーメン屋さん探しに行く序でに仕事に行けば」とラーメン大好き小池さんな彼氏さんに適当なアドバイス。意外にもひどく喜んで「そやな、ええ方に考えたら楽しそうやな。ええ事云うなお前。美味しかったら連れてったるわ」と電話当初の不機嫌が嘘の様に御機嫌さんになっていた。


 だから、もうタカユキさんには逢わない。
2002/12/08 3:22:22

タカユキさんとの関係解消後のこと。
 余り日記に残しても素敵な事では無かったので書いて居なかったけど、夏頃にお付き合いが有って、そして終わったタカユキさんとは終了後も偶に電話している。と云ってもねちねちと苛めれらた訳では無く、極普通の近況報告だの何だのみたいな話が大半なのだけど。

 彼と終わった原因は色々有るのだろうけど、あたしが彼との距離感を掴めなくなってしまった事が大きいのかね。だって向こうは妻子持ちやしあたしにも彼氏さんが居るし。でも、あたしは不真面目な人で、セックスはしたい時にしたい相手とすりゃええんじゃと思える人なので其の様に思えるタカユキさんとの関係は良かったのよ始まった当初。でも其のうちに距離感が掴めなくなってしまって悶々として限界越えてしまったようなので左様ならしました。

 あたしには不倫を善悪二元論で簡単には語る事なんて御大層な事は出来ない。て云うか良い大人なのだから責任(と云うか何と云うかは微妙)が取れていれば外野が偉そうに兎や角口を出すべき問題でも無いとあたしは(強調)思うし。そんな地獄に堕ちても本望位想って不倫してはる人の恋路を邪魔する外野は狒狒に蹴られてろ、てな物です。ああ遊びで「不倫ごっこ」して楽しんではる方は論外ね。考える価値無し←暴言。
 あたしは自分とタカユキさんとの関係は不倫では無いと思っていたのね。セフレだと思っていた。この表現はとても厭なのだけどね。厭な人とセックスする程暇では無いし飢えている訳でも無いけど、彼の総てを欲しい程感情は傾いていない。セックスもする友達。彼氏さんとタカユキさんのどちらかを選べと云われたら悩む事無くあっさり彼氏さんを選べる程度だった。そんな適当な女の為に家庭を壊すなんて事は簡単に、いくら錯乱していたって勢いで口に出すべきでは無い。第一お子さんが可哀相ではないか。こんな適当な女に父親を奪われるのなんて。奥さんだってそう。あたしはタカユキさんの所の夫婦事情を知らないけどさ。大体其処であたしが「じゃあ」と云って離婚迫ったらどうするのさ? あなたの仕事上離婚は余り宜しくないやん? 離婚云々と云われた瞬間はがひょーんとショックを受けて居たものの、そこら辺りに考えが及んで素に戻ったのを憶えている。
 で、其の場は終わる事になったのだけど、「また電話するから」と云われて。電話なり何なりでずるずる引きずるのも如何な物かと思うけど、此方が突然切り出した話だし、彼の友人はあたしのツレの彼氏な訳で無碍な態度も取れず、今までずるずると電話を受けていたのね。

 大半は世間話だったのだけど、大半以外の所では口説くのね遠回しに。こんな詰まらない女の何処を気に入ってくれたのか、他の、もっと近場に住んでいるええ女に標的を変更してくれたら良いのに変わらず口説く。でも逢ったり、挙げ句セックスしたら暫くはええかも知れないけど又色々考えるだろう。何より今では出会った当初とは違って、タカユキさんがあたしをお友達以上の場所に置いてくれているらしいから、そこら辺りの割り切りが出来ない。あたしは彼を「誰よりも愛し」ては居ないからね。
 だから忙しい事を口実に「食事だけでも」と云う誘いを断り続けて居たけど、うっかり「予備審査が終わったら少しは暇になる」と漏らしてしまって今日久々にタカユキさんに会ったのね。
2002/12/08 2:51:11





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2002.12.08 03:22:22
コメント(0) | コメントを書く


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約 に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: