深秘の華苑

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黒左右衛門

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2006.05.13
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別れ話をした。

前の日記に残した「無視」攻撃は翌日には解除してしまったのだけど
どうにもテンションの低いリアクションしか取れないのが伝わったらしく
「最近、元気無いよね」
「愛が冷めてない?」
みたいなお言葉を頂戴した。
此所暫く、彼との距離の取り方云々の前に仕事が超絶に惨い状態だったので
正直な所、余り複雑な事を考えたくなくなっていた。

ああもう、うだうだタイミング測ってないで、潔く別れちゃおう。


さよならのメェルを送ってみた。
既に彼は自宅でまったりしているだろう時間。面倒な事にはならないだろう。
本当は顔を合わせた時に話すべきなんだろうけど、そんな時間は取れそうにないし
抱き合っている時に切り出したら彼に丸め込まれそうだから、敢えてメェルにしてみた。
ややしてから返ってきたメェルは案外あっさりとした内容で
今迄有難う、仕事大変だろうけど無理しないでね、みたいな事が記されていた。
いやにあっさりしていて拍子抜けしたが、
彼も良い加減飽きていたのかな、最近仕事仕事でろくに逢う時間も作れてないし、
と妙に納得した。
引き止められたい訳ではないけど、もう少し盛り上がらないと其れは其れで物足りない。

何にしろ、以前の様にメェルでもしつこく食い下がられる事もなく

目出度い、と思いつつも寂寥感で心はみつしりとしていて、
目出度さと同時に彼を未だ好きな事を再認識させられた。
何となくMr.childrenの「星になれたら」と槇原敬之の「花水木」を鼻歌しつつ
部屋を片付けていると、彼から電話が入った。
どきどきし乍ら出ると、別にどうでも良い世間話で、メェルの事には全く触れない。

でも躊躇しているっぽいのが伝わった。
結局最後迄メェルの内容には触れず、でも「ありがとうね」「身体に気をつけて」を
繰り返していたので、きっと此れが最後の電話になるのかな、なんて思った。

電話を終えたのが22時を半ば過ぎた頃だった。
久々に比較的早く帰宅した日だったので、今日は此の儘寝てしまおうか、と思いつつ
本を読んだりしていると、突然、玄関でぴんぽん♪が鳴った。
ドアを開けると其処に彼が居た。本気で吃驚した。
「よ。久し振り」
「お久し振りです」
「お疲れ。大変なんやろ?」
「・・・うん」
巧く言葉が出ない。彼は変わらない笑顔でスーパーの袋を差し出した。
「差し入れ持って来た。身体壊したらあかんで」
「うん・・・有難う御座います」
彼からの手土産を受け取る。彼を部屋に上げて良いものか悩む前に
「じゃ、俺帰るわ」
と云われて更に吃驚した。
「え?」
「今日は黒ちゃんの顔を見に来ただけだから。余り無理するなよ?お休み」
あたしが言葉を返す前に彼はドアから手を離して去って行った。
本当に此の時は余りの事に、彼を引き止める事も何も出来なかった。
彼に貰った手土産を見ると、あたしが好きなお菓子やら何やらがこじゃんと入っていた。
本気で泣きそうになった。ちゅうか、ちょっぴり泣いた。
そして、一寸悩んだ挙げ句、彼に電話を入れた。
きちんとお礼が云えなかったし、此所で電話したら負けかな、とは思ったけど
電話せずには居られなかった。
「今、運転大丈夫ですか?」
『うん。車停めたし』
「ほんまで、差し入れくれる為にうち迄わざわざ来てくれたの?」
『わざわざ、って、車なら15分位だし。
 ・・・それに、黒ちゃんには色々お世話になったから、其のお礼も兼ねよかな、と思って』
其れは、終焉を迎えるに辺り、のお世話なのだろうか。軽く過去形なのも気になる。
此の時は何故か終わるのを厭だと思う自分が抑えられなかった。
でも、何時までも続けていく訳にもいかないし。
「・・・ありがとうございます」
其処迄話をしたら、また泣きそうになって言葉が少なくなってしまった。
彼は、以後は其の辺りの事には触れず、只いつもの様に世間話を続けた。
結構な時間、会話をしたと思う。
『今日もさ、もう一寸早かったらゆっくり話したかったんだけど』
と彼が言い出して、あ、やばいな、と思っているうちに彼がうちに引き返してくる事になった。
何故そう云う話の運びになったかは忘却。







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Last updated  2006.05.13 23:51:12
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