tomochi’s  caffe

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「キェシロフスキ」

ーキェシロフスキ・コレクションー


・・・クシシュトフ・キェシロフスキについて・・・

   1941年ポーランド・ワルシャワ生まれ。
   57年演劇専門学校で学ぶ。67年ウッチ国立映画大学監督科入学。
   記録映画を学ぶ。69年卒業作品として、「Z Miasta Lodzi(ウッチの街から)」
   を製作これはワルシャワ国立ドキュメンタリー映画スタジオで製作された為事実上、
   プロデビュー作品となる。その後も多くのドキュメンタリー作品を制作。
   ポーランドの現実を彼の独自の視点でとらえ、差し迫った社会危機をはっきりと指摘
   した、最初の映画作家であった。その後数々の作品を手がけるが、
   96年3月13日持病の心臓病が悪化し
   突然の心臓発作で54歳の生涯を終える。
   遺稿となったダンテの《神曲》に基づいた、<地獄篇><地上篇
   <天井篇>の三部作の<天井篇>をトム・ティクヴァが「ヘヴン」(02)
   として映画化した。

      (ル・シネマ、キェシロフスキ・コレクションプログラムより)

・・・今回、ル・シネマで上映された作品・・・

1976年:傷跡 (最初の長編作品、ポーランドの復興のドキュメント&ドラマ)
1979年:アマチュア
1981年:偶然
1984年:終わりなし
1987年:殺人に関する短いフィルム
1988年:愛に関する短いフィルム
1991年:ふたりのベロニカ
1993年:トリコロール/青の愛
1994年:トリコロール/白の愛
1994年:トリコロール/赤の愛
1995年:キェシロフスキ:I’m so-so


・・・観た作品のコラム・・・

「傷跡」 :ポーランドの大戦中の出来事については映画等で、
ある程度知っていたが、その後の復興の状態については勉強不足だった。
建築技師のステファンが工事現場の監督官に任命され、 <町の人達の期待に答えようとする
ステファンだがそれは政治家たちのただのお飾りだった。
娘はそれに気付き「パパ抜きで動いているのよ、何もかも・・・」の言葉は印象的だった。
仕事に一途で家族を犠牲にした、ステファンの姿がせつない・・・
厳しいポーランドの情景だがキェシロフスキらしい、きれいな映像だった。

「アマチュア」 :これはキェシロフスキ自身の事を描いてるの?かと思った。
ドキュメントを撮りはじめたフィリップは撮影にのめりこみ、家族を失ってしまう。
キェシロフスキのキーワード「偶然」「運命」が込められていたように感じた。

「愛に関する短いフィルム」 :19歳のトメクは向かいのアパートの年上の女性
マグダの日常を望遠鏡でのぞいている。覗いてるだけなら良かったのにマグダに接触しようとする。
トメク・・・すべてをマグダに告白する。その後、トメクの姿は消え・・・
見られなくなってしまったマグダはトメクの視線の存在の大きさに気付く・・・
愛を獲得するスキルのないトメクはこんな方法でしか愛を伝えられなかったのか?と
思ったが実際、こんなものかなあと?・・・と感じた。これもまた「運命」であるのか・・・
純粋であればあるほど、このような愛の表現方法になってしまうのか?

「偶然」 :「運命」「偶然」を描く、キェシロフスキのこれぞ!究極の作品!!ヴィテクのもしも?
の3部作。「トリコロール」に通づるものを感じた。

「殺人に関する短いフィルム」 :殺人なんて、絶対起こさないと思ってる自分がもしも、
「偶然」が重なる事で起こすかも・・・



・・・キェシロフスキ様への手紙・・・
拝啓
キェシロフスキ様
あなたは「運命」に翻弄された人間の真の姿を繊細かつ忠実に描き、映像として、残してくれました。
私があなたの作品に最初に出会ったのは「トリコロール」でした。
その頃、私は自分自身にいろいろな出来事(特に悪い事)が起き、戸惑っていました。
どうして?と自分を責めたり、相手を責めたり・・・
今になって考えてみると、その様な考えでは解決策など見つかる訳がありません。
「トリコロ-ル」の3人の女性の「運命」「偶然」に出会う事で自分の出来事も「運命」だと思う様になりました。
悪い「運命」でも受け入れなければならない事もあります。
でも違う方法へ方向変換出来る事もあるかもしれません。
あなたの作品と照らし合わせながら自分をいろいな角度から視る様になりました。
「運命だからしょうがない」と終わらせてはいけないと、あなたは言ってる様にも私は感じました。
そして、どんな事をしても「運命」には逆らえないのだとあなたは 言ってる様に・・・
この様な2つの顔を持つ「運命」に一生、翻弄されるのでしょう。
あなたの作品に出逢わなければ、こんな事を考える私は存在しなかったでしょう。
「あなたに出逢った」これもまた「運命」なのですね。

今回の「キェシロフスキ・コレクション」であなたの他の作品に出逢い、
さらに「運命」「偶然」を考えることが出来ました。一人一人の出来事は些細な事であっても、
何処かで「偶然」がリンクしてしまうと多大な出来事と なってしまう・・・
それは良い事か?悪い事か?どちらの場合にも起きるのですね。「殺人」なんて、絶対、
私は起こさないと思っていましたが、もし、「偶然」に「偶然」が重なる事で「殺人」をしてしまう?
かもしれない、と思いました。今まで「殺人」をしなかったのも「運命」「偶然」なのですね。

あなたがこの世を去らず、逝き続けていてくれたら・・・と
今の世界をあなたが見たらどう感じるでしょう?どう描くのでしょう?
あなたの感じる今の世界に出逢いたかったです。
しかし、あなたの意思を受け継いでいる方もたくさんいます。
あなたの遺稿となった「天井篇」をトム・ティクヴァ監督「ヘヴン」として、完成させました。
ティクヴァ監督もあなたの「運命」「偶然」を忠実に描いていたと感じました。
ポーランドでもないフランスでもないイタリアを舞台に。
トリノという閉鎖的な街とトスカーナの田園風景の対照的な場面設定はより
いっそう二人の「運命」「偶然」を印象深くしていました。
もしあなたが「天井篇」映像化していたら、どの様な作品になっていたのでしょう。

もう、あなたの新たな作品には出逢う事は出来ません。とても悲しい事です。
でも、あなたに運命的な出逢いをした事を私は一生忘れないでしょう。絶対。               
                                           15.4.2003   tomochi


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