南山タワーからソウルを一望~あかり~


慶姉さんは、フードコーディネーターになるため、28歳で一流企業をやめ、日本にきた。まったく日本語がわからないのに、一人きりで。

食文化はフランスより日本のほうが進んでいるという。私はそれをきいて驚いたのだけど、確かに日本のテレビ番組って、食べ物に関するものが多い気がする。そのへんからも、日本人の「食」への意識の高さが伺えるかもしれない。

日本語を学び、フードの学校に通って帰国した慶。今もソウルで、いろいろな学校に通いながら、自分の専門分野を見極めてる。

そんな慶の学校のある日だったので、私はその間、彼女の友人に、町を案内してもらうことになった。のちにそこにある学校に通うことになるのだけど、江南(かんなん)という地域にある、ロデオという町。東京で言えば渋谷というところだろうか。

その後、また別の友人も含め4人で、車で向かったのが「南山タワー」。別名ソウルタワーといわれるこの塔は、高さ230メートル。南山という山にたっている。
 タワーは1~3階までが一般展望台、5階が展望レストランになっていて、360度景色が楽しめるようになっている。無料だし、何よりソウルの夜景を見下ろしたときの感激は言葉では表せない。

「灯かりってどうしてきれいなんだろう?」と思ったことがある。
部屋でともすキャンドルの灯かりも、みんなで夕飯を食べるリビングの灯かりも、
こうして今眼下に広がっているソウルの町の一つ一つの光も・・・・。

私はその答えを、見つけた気がする。灯かりがきれいなのは、そこに人がいるから。夜景のひとつひとつの光のもとには、仕事をしていたり、語り合っていたり、うたたねしていたりする人々がいるだろう。人を照らすから、灯かりってきれいなのだ。
そしてだから、何を照らすでもなく恍惚としている光は、なんとなく寂しい気持ちにさせるんじゃないだろうか。








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