My decision 






   人ががんばれることを私はがんばれない





   だって 意気地なしだから













       My decision [読み切り]









  あしたは体育祭。

  夏休みが終わったと思ったらあっという間だ。なんて短い夏だったんだろう。

  中学に入学して2回目の体育祭。みんなも慣れたせいか去年よりも張り切ってる。

  体育祭なんて、体力バカしか喜ばないよ。








   「おぃ!坂口!しっかり準備しろよ!?」


   「あ・・・うん。ごめん」


   「しっかりやらないと、俺が担任に怒られるんだぞ!実行委員なんだから。」


   「はいはい。迷惑かけない程度にさぼるから。」


   「……ったく。ちゃんとやれよ!!」





  そうだ。今は体育祭の準備途中。


  何でだろう紙で作った花なんか飾って。しかも明日とか間に合うのかよ。幼稚園の運動会みたい。


  できるならそのころに戻りたいけど。


  今は勉強部活の繰り返し。忙しくて他のことやるなんて無理。がんばれない。できないし、そんなこと。


  できないこと頑張っても無駄なだけ。体育祭もそう。


  うちのクラス運動神経悪い人ばっかそろってるし。優勝なんて無理無理。


  唯一運動神経抜群なのは、さっきあたしに話しかけてきた体育祭実行委員の1人。


  保坂啓太。



  何でも張り切っちゃって、バカみたい。まぁ自分は楽しいんだろうけど。





   「いいなぁ、美沙穂。啓太くんに話しかけられちゃって!!」


   「は…?何いってんの瑞綺。あんなヤツのどこがいい訳?」


   「…あんたかわってるよね。あんなに運動神経良くてカッコイイ人に惚れないなんて」


   「運動神経がいいのは認めるけどカッコイイ?瑞綺だけじゃないの?そう思ってるの」


   「そんなんじゃないよ!だってさ、あの軍団美沙穂のこと睨んでるじゃん?親衛隊とか言う人達」


   「あぁ。どおりで何か視線が痛いと思った…。あの子達か。でもあたしなんか別に気にしなくても…」 


   「何いってるの美沙穂!あんたは可愛いんだからねぇ、啓太くんが美沙穂に気があるってことも十分考えられるの!」


   「いや、それはない。考えすぎだよ、考えすぎ。」


   「はぁあ。わかってないんだから。まぁいいや。そろそろ帰ろうよ。暗くなるし」


   「うん、そーだね」










  保坂があたしに気があるとかは絶対あり得ない。


  こんな女、誰が好きになるかってーの。








   「あ!教室にケータイおいてきた!ごめん、待ってて!」


   「ばかだなぁ。いってらっしゃい~」





  ふぅ。9月ってまだ夏なんだなぁ。暑い…。


  昇降口ってじめじめするし。臭いし…。









   「坂口!!」


   「あ、保坂」


   「これ!! おまえの。花作る紙ねw 明日までにお花100個!よろしく!」


   「は!?自分でやってよ。あたしにやらせないで」


   「おまえがさぼってた分だよ。みんなやってるんだから、明日までに頼むぞ?」


   「はぁ。どうしようかな」


   「頼むぞ?じゃなかった。頼む!!おまえに選択肢などない!」


   「なんで」


   「さぼってるから!」


   「はぁ。やるきない。がんばるのやだ」


   「おまえさぁ、いつもなんか気が抜けてるっつーかやる気なくね?何故?」


   「なんか、がんばれないの。初めからダメってわかってることは特にね」


   「おまえ!まさかうちの保坂組が負けるとでも!?」


   「保坂組?ヤクザみたい。勝手につけるなよ(笑」


   「あ・・・笑った」


   「え?」


   「坂口ってあんま普段笑わなくね? 笑ってる方が数段可愛く見えるんだけど」


   「なにいってるんだか。そうやっていつも女口説いてるわけ?」


   「っ・・・そんなことねぇよ!」






 「美沙穂ごめん!ケータイあったよ!   あ!啓太くん♪どうしたの?」




   「あ、いや。偶然坂口と会ったから! んじゃ、俺帰るな!」



 「えーもう帰っちゃうの?一緒に帰ろうよ」



   「ごめん、おれ急いでるから!じゃっ」



   「ばいばい保坂」


 「じゃぁねぇ☆啓太くん!」





   「あ!言いそびれた!坂口に…」



   「ん?なに?」



   「がんばれないんじゃなくて、がんばろうとしてないんじゃねーのか?おまえは。」



   「・・・・・そう・・・かな」



   「きっとそうだ!じゃ、明日がんばろうぜ!!」







      ぅわ。足速っ!!!! あっという間に保坂見えなくなったよ。



  ってか、あたしはがんばろうとしてないだけなのかな……


  う~ん…。そんなこと考えたことはなかったんだけど。




     お花………作ろうかな。作らないと困るかもしれないし。


     ちょっとは  がんばろうとしてみようかな。



















    -体育祭当日-







  「おっすみんな!今日は全力尽くそうぜ~(≧▽≦)ノ」



  「おー!!!!!!!!」



   みんな元気だなぁ。あたしは昨日夜遅くまで花作ってて…眠い。



 『バシッ!!!』



  「痛っ!」


  「しっかりしろよ坂口!」


  「大きなお世話。っていうか、本気で背中思いっきりたたかないでよ…」


  「目、さめただろ?(笑」


  「ふざけんなっ」


  「今日さ~おまえ頑張る気ない?」


  「ない(即答」



  「じゃぁ、頑張ろうとする気も…ない?」


  「んー…わかんない」


  「おぉ!さすが坂口!!! 頑張ろうとする気はあるのか!」


  「って、おい。勝手に話し進めないでよ」


  「じゃぁ、おまえが出る徒競走200m!1位とれたらいいもんあげるよ」


  「え!?あたし200mも走れない!」


  「そんなはずはねぇ。おまえ幼稚園の頃走りまくってたじゃねぇか。楽しそうにw」


  「そーだっけ?確かに楽しかったのは覚えてるけど」


  「まぁ、とにかく。それだけでもいいから命かけるつもりで走れよ。そういうことも必要だ!」


  「わ、わかった…考えとく。」


  「OK!じゃ!俺これから障害物走でるから!じゃぁな!」


  「うん。」




    なんか、保坂といると自分が壊れていく気がする…。


    でも、せっかくだから本当にこんなコト最後かもしれないから。


    人からガンバレって言われることなんてもうないかもしれないから。




             死ぬ気で走る価値はあるかもしれない。








 「キャー!!啓太くん♪走ってる!!速い~!!」




   あ、そういえば出るって言ってたな。


      は、速ッ!!!! あっという間に1位だよ。




          かっこいー………って 



      かっこいい?なんで?そんなこと今まで思ってなかったのに。







 『女子200m走に出る選手は、スタート地点に集合してください』




     あ、行かなくちゃ!!





  あ、保坂だ。こっち見て笑ってるよ。ってか笑顔? かわいいじゃん。


    頑張ろうとする気だけでも保坂に伝わればいいのに……













  『位置について…用意…ドン!!』





      はぁ。いよいよ次だよ。緊張するよ。ニガテなんだよ。


      あ、また保坂。よく現れるなぁ。



  「美沙穂!ガンバレ!おまえなら大丈夫だ!」



  「うん。」        




                ありがとう保坂。








   『位置について…用意…ドン!!」









       頑張って走らなきゃ!



          保坂の笑顔が見たいよ。

























  『ゴール!! 1位2年A組坂口美沙穂さん!2位…』







       本当に1位とっちゃった…。










  「美沙穂!!」


  「あ、保坂。何で名前で呼ぶの?」


  「あ~それは…。とにかく1位おめでとう!!やればできるじゃん!」


  「保坂のおかげだよ。なんかがんばれる気がした。1番とったのなんて初めて。」


  「もういっこ1番になったものあるよ」


  「ん?何?」


  「俺の中で、おまえが一番。」


  「……どういういみ??」


  「さっきの質問の答え。何で名前で呼ぶのか。それは、俺がおまえのこと好きだから」


  「ほ、本当に?」


  「男に二言はない!」


  「あはははは!!!」


  「おい!なに笑ってんだ!?」


  「だって、保坂顔真っ赤なんだもん!!」


  「う、うるせぇ!で、おまえはどうなんだよ」


  「え?あたし?秘密。」


  「は!?ずるいだろそれは!」


  「うそ。あたしの中でも保坂が一番。」


  「保坂じゃない!啓太。俺の名前は啓太!名前で呼べよ。はい、もう一回。」


  「………あたしの中でも啓太が一番」


  「一番なに?」


  「好き…です」


  「はい、よくできました!」
















  「なぁ、なんで俺がおまえに花作らせたかわかる?」


  「知らない~」


  「幼稚園のこと思い出すかなって思って」


  「幼稚園?」


  「俺は幼稚園の頃からおまえのことが好きだから…」










                        -END-






   あとがき


 すいません!!なんか妙に長すぎ。

 読み切りニガテです。難しい。

 会話多いし……。

 呼んで下さった方、ありがとうございました!!





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