自然の狩人

自然の狩人

『真理子』(14)



いいや、それでも 確かな感情だから 今一番

確かな確実に感じるもの、将来の事、両親の事ではなく

目の前にある 「気になる異性」姿を見ただけで

心が晴れやかで 胸が(キューット)一瞬締め付けられるよう

いつまでも、見つめていたい

真理子は直にテニスコートの彼(渡辺君)を見つける

今までに無い高ぶり 身体を伸ばしてサーブを放す、伸びやかな肢体。

小さく聞こえる ボールに当たるラケツトの音

其の音に混じって 掛け声が BGMのよう

ふと夢で見た光景が過ぎって、 頭をかすめて

時の感覚がなくなるよう

ただ見つめて姿を追っているだけなのに 恍惚とした

ふと、我に返るように 廻りを見渡す

そう現実に戻されたように、誰か知り合い、クラスメートに

此処で見ている事を知られたら その思いが働いて

その場から立ち去る事に

自転車に乗つて帰宅の路上でも 浮かぶのは彼の姿

明日も学校で逢える、姿を見ることが出来る

真理子にはもう,ハツキリと自覚出来るほど

彼を『好き』になつている

大げさに言つてしまえば 希望が生まれた 眼前に

そして、更に自分に問い詰めて

自身に聞いたら 「二人きりで話してみたい」

「二人で手を繋いで歩いてみたい」そんな願望が湧いている

とてつもなく 早い速度で好きが加速して

心の中に新しい炎が燃え出していた。


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