send off ~バス停での見送り~


でかいスーツケースをトランクに乗せ、
俺もタクシーに乗り込んだ。
母ちゃんはエプロン姿で俺を見送った。
駅に行く途中、
昨日ダチ達と飲んだ公園を通った、
そこにはまだ俺らが飲んだ、
空き缶やゴミが散らばっていた。
なんだか遠く昔のような気がした。
俺はタクシーに乗りながら外の景色を見て
この街の景色を目に、いや頭に焼き付けた。
駅に着き、
バスのターミナルに向かった。
予定より10分早く着いたのに
もうすでにバスはそこにいたので、
俺は走った。
バス停に着き、
チケットをポケットから出そうとすると、
横のベンチに座る、
俺の親友が目に入った。
まさかとは思ったが間違いなかった。
俺は言葉がみつからずただ、
「何してんだ?」
親友は目も合わさずに
「暇だからよぉ」
でもこの時、こいつは汚れた作業服を着ていた。
仕事をサボってきていたのか。
俺らは会話もせずにただ向き合っていた。
親友は油まみれの手で、
自分の首からネックレスを取り俺に渡した。
「これ持って行け、欲しがってただろう」
そのネックレスはこいつが初めての給料で買った、
大切なネックレスだったのを俺は知っていた。
よく俺はこいつにくれくれとせがんでいたことを思い出した。
俺は何も言わずに、
そのネックレスを俺は受け取った。
そして、俺は俺の安物のネックレスをあげた。
こいつは首にかけるなり
「軽いなこれ」
と言った。
俺はついつい吹出してしまった。
そして、二人で笑った。
最後に二人でタバコに火をつけてた。
そして俺はバスに乗り込んだ。
こいつはバスが出る前に下を向いて帰った。
俺はこの時のあいつの背中を今でも覚えてる。


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