TRICK PARTY

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学業団 序章2



三村が目の前を通り過ぎると同時に、おれは消火器をどかして廊下に体をのり出し、持っていたボールを転がした。


よっしゃ!いけた!


投げた瞬間、そう思った。


おれが放ったボールは狙い通りに転がっていき、三村の足元で止まった。


何にも知らない三村はすたすたと歩いていき、その足がボールの上にのって………すってーん!


三村は見事な放物線を描いて前にぶっ倒れた。


「だ、誰だ!」


犯人を見つけようと思って言ったことなのだろうが、無駄なことだ。


もうおれは消火器の後ろだからな。


と、その時、相談した通り、ラケットを持った夏香がドアから飛び込んできた。


「あ、三村せんせーい。ここらへんにボール飛んできませんでしたぁ?」


夏香がおれの前を通り過ぎて、三村の方に向かって行った。


もちろん、その時に夏香が指でマルを作っていたことを、おれは見逃していない。


「これか?」


「ああ、それです。ありがとうございます。練習してたら、佐織がとんでもない方向に打っちゃって……。ところで先生、何で座ってるんです?」


おれは必死に笑いをこらえた。


ここでおれの居場所がバレたら台無しだ。


「え?えーっと、これは……、ほら、このノートを拾おうと思ってね」


「へぇー。でもノート拾うのにいちいち座るんですか?先生」


「あ、ああ。先生は律儀だからね」


だめだ、まだ我慢しろ。ほら、深呼吸だ。


「ふーん。それで……そのおでこ、どうしたんですか?」


深呼吸をしているところで不意をつかれ、おれはあやうくふきだしかけた。


「えーっと、これはさっきぶつけたんだよ。教室のドアでね」


「そーですか。お大事に」


夏香は適当に言った。


「ああ、お前も練習がんばれよ」


「はぁーい」


スリッパの音が遠ざかっていく。


きっとぶつけたおでこをさすりながら歩いているのだろう。


おれは廊下に出て、思いっきり笑った。


夏香も腹をかかえながら笑っている。


「裕基君、やったじゃない。大成功よ。先生の動揺ぶり、見せてあげたかったわ」


「いやあ、声だけでも十二分。お前の演技、最高だったぜ」


「あはは、ありがと」


おれたちが集合場所に行くと、剛と木ノ宮が涙を流して笑っていた。


2人とも、自分の仕事をしながら、廊下で立ち聞きしていたのだ。


「ボス、やりましたぜ」


おれはおどけて剛に敬礼した。


「ああ、よくやった。お前のおかげでちゃんと成功だ」


「そうそう。ちゃんと一球でやったんだもんな」


「さっすが裕基君」


「そんなに言うなよ、くすぐったいだろ」


おれはたまたま隣にいた木ノ宮をこづいた。


「何はともあれ、いつものやつやるか」


そう剛が言うと、4人は円になり、片手を出して、みんなの手に重ねた。


剛がかけ声をかける。


「俺達学業団―!!」


そこに木ノ宮の声が重なる。


「桐本の大活躍でー!」


最後は4人がそろえて声を出した。


「「「「任務、大成功―!!」」」」


そう言うと、おれたちはいっぺんに手を上げた。




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