TRICK PARTY

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skyer-空人 1-1





七月の後半になると、青い天井はさまざまな模様を織りなすようになる。


真っ青で、何色にも染まらぬタピストリー。


白と青がかもしだす鮮やかなタピストリー。


時には浮き出るような紺碧のタピストリー。


人はこれらを「夏空」と呼ぶ。



「おーい、スカイー!」


ぼくは、ゆっくりと窓から目を離し、声のするほうを向いた。2人のうち1人が弁当を振っている。


「弁当食おうぜー」


弁当を振っているのは遠藤君。その隣は誰だろう?


ぼくはクラスメイトほとんどの名前を知らない。といって、誘いを断るわけにはいかないだろう。ぼくは弁当を持って、2人のほうに行った。


「よっ、スカイ。こいつ、谷口な。知ってるだろ?」


知らないよ


そう思いつつ、ぼくはぺこりと頭を下げた。


谷口がニコッと笑う。


「はじめまして。よろしくな、スカイ」


ふーん、ぼくは初対面の人にも「スカイ」って呼ばれちゃうんだ。


別に気に食わなかったわけではないけれど、何か不思議な気分だった。


「しっかしかったりーな。なんで補習なんかあんのかなあ……。夏休み中だぜ?な・つ・や・す・み!」


遠藤が弁当をほおばりながら愚痴った。


「だよね~」


谷口が愛想の良い微笑みで相槌を打つ。


この人って結構ひとなつっこい人なのかなあ……。


「そういやスカイ。お前また空を見上げてたよな?」


急に話をふられてびっくりした。遠藤の悪い癖だ。話の展開が飛びすぎてる。


「そんなのいつものことでしょ」


「まあそうだけど……。何か感じなかった?」


なんだ、その話か……


遠藤はこのことを遊びかなんかと間違えてるんじゃないだろうか?


ぼくはこの先の未来のことを少しだけ予感することができる。


というか、たまに直感的にわかってしまうのだ。


そのことをこのクラスで知っているのは遠藤だけだ。


「別に毎回感じるわけじゃないんだよ?」


「わかってるって。でもさっきは授業中ずっとだったからさ、何かあったのかなーと思って」


「そうだなあ……」


ぼーっと空を眺めみる。


遠藤と谷口が期待の視線を向ける。


ぼくは誰に話しかけるともなく、ぽつりと言った。


「弱くて小さいけれど、光を失って、光を秘めた風が吹くかもね」


谷口はぽかーんとぼくの顔を見つめた。


遠藤がくっくっくと笑う。


「ほんっとスカイの言うことっていつも意味深だよなー」


「そうかもね……」


口にしてなぜか確信がもてた気がする。


近い将来、ここにはきっとすばらしい風が吹く


明日、明後日、もしかしたら今日、1時間後、1分後……


そこまではわからない。


気付くとぼくは立ち上がっていた。


「おい!どこ行くんだよ?」


「いつもんとこ!」


「次の授業は?」


「さあ?わかんない」


ぼくは教室の後ろ手でドアを閉めた。


苦笑いをしている遠藤と、いまだにあ然としている谷口を置いて。




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