TRICK PARTY

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during night 3



黒装束青年の言う“プレゼント配り”の道中、あたしはその隣で地図とにらめっこしていた。

「何からがいい?」

あたしに振るのかよ!

「まず地図の読み方を教えてくれないと仕事にならないと思うんですけど?」

「おっと、地図読めない?」

「読めます!でも目的地とかなんにも書いてないじゃない!」

「よく見ろ。ちゃんと赤く塗ってあるだろ?」

そう言われれば、地図のそこここに小ぃーさな赤い点があるのが見える。

「わかりづらっ!もう!あんたがやってよ」

「わりいな、地図は全く読めねえんだ。いやあ、助かった助かった」

じゃあ嘘のところに案内してもバレないんじゃないの?

そんなことしても何の得にもならないけど。

「ちゃんと全部案内してよ。見落としとかあったら上の人らに殺されるから」

「上の人?」

「そっ。サンタクロースにも上下関係あるんだぜ」

「なにそれ?」

「上の人らはお前らの予想してる“サンタさん”だろーな。赤服の白ひげじーさんだ。で、その下がオレら。俗称“黒サンタ”」

「へえ~」

「その下にもまだあるらしーんだけど、オレは知らねえな」

「初耳ね」

「カッコつけた言い方すんなよ。本物のサンタクロースだって今日初めて見たくせに」

「悪かったわね」

だいたいあんたがサンタクロースだっていまだに信じてないっての!

「ちょっと待って。あなたがなサンタクロースってんなら、子どもみんなにプレゼントを配るんでしょ?この赤いトコだけだったら全然足りなくない?」

「言ったろ?サンタは一人じゃねえ。それぞれ担当区域があるってことだ。まず“赤サンタ”がおおかたの家に届ける。オレらは“黒”はその配りもれたところを歩いて回るってわけだ」

「なるほど。なんか子どもの時聞いたのと全然違うのね」

「あんなの迷信にすぎねえからな。嘘ばっかだぜ。トナカイは空を飛ばないし、じーさんは一晩で家を回らない」

「ふーん」

あれ?

「ちょっと待って。もしかしてみんながこんな風に止まってるのって……」

「気付いた?その通り!オレらの一番上の人が時を止めたんだよ。じゃねえと一晩でプレゼント配りなんて絶対無理だし、第一オレらの存在がバレるだろ?」

「ほえ~」

そういうからくりだったのか……。

ちょっと待った。なんだ?この筋の通った説明は!?

「おっと、最初の家に着いたか?」

自称黒サンタの青年があたしの持っている地図を覗き込んで言った。

「え?ああ、うん」

「そっか。ここねぇ」

ちらりと表札を見ると、青年は右手でポケットから紙を取り出し、左手で持っていた袋の中をごそごそしだした。

「えっと……ここの家は………これか?」

1つのきれいに包装されたプレゼントを取り出すと、持っている紙と照らし合わせた。

「あってんな。よし、んじゃあちょっくら行ってくらあ」

そう言うと、青年はあたしにニッコリと笑いかけると、すっと壁を通り抜けて家の中へと入っていった。

「ふえ!?」

壁を通り抜けた!?

あたしは壁にかけよって、ぺたぺたと触ってみる。もちろん、手は壁をすり抜けなかったし、その壁は堅かった。

普通の壁……?

「なんじゃこりゃ!?」

サンタさんには超能力でもあるわけ??



2分ほどで、黒青年が笑顔で戻ってきた。

「ただいま~」

「ちょちょちょっと待って!そんなすました顔で戻ってこないでよ!」

「何さ?パニクった顔で戻って来なきゃあいけなかったのか?変なことを望むなあ……」

「じゃなくて!壁すり抜けって……」

「あ、それか。オレらは普通にできるんだなあ、コレが。じゃないとプレゼントを枕元に置くなんて無理だろ?まさか窓を叩き割るわけにもいかねえし」

なんてこと……。

もしかしてホントに普通の人間じゃないってこと!?

「信じた?オレらは本物のサンタさんなの」

コスプレとかそういうのじゃないってわけ!?

青年は何も言わず、ニコッと微笑んだ。

「んじゃ、次行こうか」

さっきと同じような混乱に陥りつつ、あたしは青年についていくことにした。 とりあえずついていくしかないでしょ?


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