TRICK PARTY

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during night 5



手袋と帽子を返そうと言っても受け取ってくれないので、今はあたしのかばんのなかに入っている。

そして、8軒目まで配り終えた時。

「ちょっと寄り道していいか?」

ナストが久しぶりに口を開いた。

「いいよ、もちろん」

「じゃあついてきて」

ナストがあたしの手をとってわき道へそれた。男子と手をつなぐなんて小学校以来だったけど、あたしは拒絶しなかった。

森のような中、あたしたちが道なき道を進むこと5分ほど歩くと

急に視界が開けた。

「ここは……?」

ナストにたずねるまでもなかった。大きな石がたくさんそそり立つそこは

「墓地……」

「そう。やっぱり無視できねえよ」

そう言うと、ナスト迷うことなく小さな墓碑に向かった。

そこには、当然のように3番目に訪れた家の表札にあった苗字が書かれていた。ただ一つ違うのは、その下に女の子の名前が書かれていること。

ナストはひざをついて、大きく息をはいた。

あたしもその隣に正座する。

ナストは驚いたようにこっちを見た。

「お前……?」

「あたしだって他人のような気がしないもん。それに、“お前”って呼ぶなって何回言ったらわかるの?」

ナストはやわらかく笑った。

「ありがとな……」

あたしは目を閉じ、合掌した。

何を思ったんだろう?いろんな気持ちがごちゃまぜになって、何を思ったかあんまり覚えていない。

ただ、ものすごく哀しかったし、辛かった。

それだけは覚えてる。

事故の現場にいたわけじゃないのに、不思議だね。

目を開けると、ナストが綺麗に包装されたプレゼントを墓前に置いていた。

「終わった?」

こっちを見ずにナストが問う。

「うん……」

「なんかさ、不思議な気分だよな」

「うん……」

「こんなことしか出来なくてごめんな……」

墓碑につぶやいたナストの言葉を最後に、あたしたちは墓地を後にした。



もとの獣道の中、ナストはぶるぶると頭を振った。

「はい、もう終わり!このことはこれで忘れる!」

「忘れちゃダメじゃない?」

「オレの心ん中にはちゃんと刻まれてるさ」

ナストはウインクして、笑った。

今まで通りの表情で。

この時、あたしはナストは今までの人に戻ったと感じた。

「そうね!」

あたしも、とびっきりの笑顔で笑い返した。


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