『パフューム-ある人殺しの物語-』


18世紀のパリ。
悪臭漂う魚市場で産み落とされたグルヌイユは
驚異的な嗅覚を持っていました。
それゆえに周囲に疎まれることもあった彼でしたが
青年になったある日、街で出会ったプラム売りの
赤毛の少女が発する香りに夢中になり
気が付けば謝って殺してしまっていました。
その直後、彼女からは香りが消えてしまいました。
香りを永遠にとどめておく方法を探ろうと
グルヌイユは調香師バルディーニに弟子入りをするのですが・・
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1985年に出版されたパトリック・ジュースキントの小説が原作。

天才的な嗅覚を持った香水調合師が主人公ですが
こんなにも嫌悪感を覚えさせるキャラクター(しかも主人公)
はめずらしいかも。
はた目にはあきらかに変態です(-.-;)

作品全体の印象も、不愉快・汚い・グロい・・と、
なんだかろくでもない;
でも、約2時間半という長い時間、なぜか目が離せない
そんな摩訶不思議な映画でした。

主人公を見つめていくうちに、その孤独感やせつなさを
少し理解出来るようになります(完全には無理~;)

そして、もう一つの主役は‘香り’。
これは作品の中で最も重要な要素です。
スクリーンから香りが漂ってくる訳ではないのだけれど
(一部の試写会では香りが出る演出のものもあったらしいが)
鼻が曲がりそうなほど臭そうな魚市場や
フェロモンむんむんな(なのかな??)少女の体臭
(これを嗅いでいるグルヌイユの姿がなんとも気持ち悪い!)
人の気持ちをも一瞬にして変えてしまう幻の香水・・など、
全く想像のつかないものもあるけれど
なんか観てると、その香りの中に自分がいるような錯覚に陥ります。
完全に気のせいなんだけど
なんか匂ってる気がするから不思議。

ストーリーもぶっとんでます。
受け入れられる人とそうでない人が
パックリ分かれそうな感じ。

とんでもないエンディングが待ち構えています。
狂っているとしか思えないほどの。

でもおいらはその中にちらっとせつなさも感じたのです。
そして主人公には同情しました。
あの人の人生ってなんだったんだろう・・。
愛し愛されることを一度でも知ることが出来たなら
ああはならなかっただろうに・・。

サブタイトルにあるように人殺しなんですがね。
なんだか可哀想で。

あんなに暗くて変態で殺人鬼なのに・・
でも!ピュアでロマンティックな部分もあり・・
(最初に出会った方の赤毛の女の子への気持ちは
純愛だったんですよね)
その‘矛盾さ’だけをとれば
こんな風な複雑さというのは
人間誰しも持っているものだと思います。

理解出来そうで完全には絶対理解できない
グルヌイユという人物を演じ切った(しかもセリフが超少ないのに)
ベン・ウィショーは素晴らしいですね。
ほんとに複雑で奇妙だった!(誉め言葉です;)

ラストシーンは賛否両論あるのかな。
誰もあの終わりは想像出来なかったでしょう。
観終えた直後は『はぁっ!?』って感じでしたが
時間が経つにつれ、あれが唯一幸せな結末だったのかな?
と思えるようになりました。

最後にもう一度。
とにかく摩訶不思議な映画です。
すべてがありえません。
でも、たまにはこんなのもなかなか良いもんです。

ほんと、たまに、ね。
非日常的な感覚を味わいたい方・刺激に飢えてる方は、ぜひ(笑)。






Last updated 2007.03.26 22:14:39

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